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味噌作りと子育てが生み出すエモーショナルバリュー

三連休の最終日、子どもたちと一緒に水族館に行き、その後、家で味噌作りをしました。
昨年作った味噌は、秋にはすっかり食べ尽くしてしまいましたが、自分たちで仕込んだ味噌は、まさに手前みそながら最高の味わいでした。

今年も向山こども園で販売していた味噌作りキットを使い、子どもたちと一緒に味噌作りを楽しむことにしました。
今日はみそづくりを通して感じたことを書いてみたいと思います。


子どもたちと楽しむ味噌作り

昨年の体験があったからか、子どもたちは朝から「味噌作りまだ?」と待ちきれない様子でした。
味噌作りは、茹でた大豆、塩、玄米麹を混ぜるシンプルな工程ですが、その一つひとつが子どもたちにとって楽しいものになります。

豆がゆでられているので、楽しいとこどりです

まずは塩と麹を混ぜる作業からスタート。
麹の甘い香りが部屋に広がると、もう味噌ができたかのような気持ちになります。

この感触が最高です
気合が入りすぎています

そして次に、大豆を潰す作業。
昨年はジップロック越しに潰していたのですが、なかなかに大変だったので、今年はすり鉢を用意。子どもたちも力を込めて潰すことができました。

すり鉢最高!
大きいすり鉢は体力勝負でした。明日は筋肉痛かな?

ただ、お豆が美味しいようで、つぶしながらパクパクと口に運んでしまうので、止めるのが大変でした。

あ~ そのままいったか…

最後に、潰した大豆と塩きりした麹を混ぜ、味噌玉を作って容器に詰める工程へ。
空気が入らないように詰めるのがコツですが、上の子は楽しく丸め、下の子は一生懸命投げ入れようとするので、なかなかうまく入りません。

お団子のようにするのが楽しい様子

それでも、机の上に豆や味噌をこぼしながら、無事に8キロ分の味噌を仕込みました。カビ防止のために塩を振り、アルコールでしっかり消毒して蓋を閉め、秋の完成を楽しみに待つことにしました。

美味しいみそにな~れ!

子育ては、自分の時間を奪うものなのか?

最近では、結婚や子どもを持つことに対して慎重な若者が増えていると、研修で聞きました。
自信のなさをこたえる方も多いというのですが、読み解いていくと、「自分の時間がなくなることへの不安」もあるように感じられます。

確かに、子育てをしていると自分の時間は減ります。
それは否定しません。
しかし、その代わりに、子どもがいることで気づくこともたくさんあります。
たとえば、霜柱が建ったり、氷が張っていることで季節の移り変わりに気づけたり、アリやダンゴムシがいることにいちいち立ち止まることで、小さな生き物の世界に思いをはせたり感動したり、月の満ち欠けをじっと眺める時間が生まれたりします。
いつしか、当たり前で通り過ぎてしまって灰色になっていた景色が、子どもと一緒にいることで、彩り豊かに輝きだし、新鮮な感動をもって見えてきたりすることがあります。

その意味で、子どもがいることは、私から、スマホを見る時間や自分のペースで仕事をする時間は奪ったかもしれませんが、日常にあふれる豊かなものに気づかせてくれ、感動する瞬間をたくさんもらえているような気もします。

食の体験を通じた気づき

また、子どもがいると、食への意識も変わります。
夜は子どもたちと寝落ちをして、慌ててnoteの記事を書いてから食べるので、野菜スープを作って簡単にに済ませてしまいますが、子どもと一緒に食べるときには、「良いものを食べてほしい」「できるだけ安全な食材を選びたい」と思います。
手作りするものはその最たるものかもしれません。
自分だけなら絶対に作りませんが、子どもたちといることで、梅シロップや梅干し、柚子甘茶や干し芋、そして味噌といった、手作りするものが増えてきます。
買った方が安価ですぐに食べらるのですが、子どもたちと一緒に作ることで、そこのはストーリーが付加され、何倍も価値のあるエモーショナルな体験(感情が強く揺さぶられる体験)になります。

食べることだけでなく、作る過程を楽しみ、時間をかけて発酵を待つという経験は、私にとっても子どもにとっても貴重なものになります。

エモーショナル・バリュー(情緒的価値)としての子育て

現代社会では、AIやインターネットを活用して便利な暮らしが実現しています。
私たちはオンラインでほとんどのものを手に入れ、情報を瞬時に得ることができます。
今週届く新たなカメラも、品ぞろえ最高のヨドバシカメラの店頭では売っていない、マニアックな機材です。
しかし、YouTubeとAmazonを駆使すれば、そんなマニアックなプロ機材も、クリックを何回かすれば手に入れることができます(使ってみて、noteでも紹介する予定です)。

また、AIにはお世話になりっぱなしで、何曲も作ってもらっているし、メールの文章作成からアイディア出しまで様々なところで活用しています。

しかし、そうした便利さとAIの台頭により、どんどん、新たな情報と新たなものに対してのアクセスが簡素化され、その価値が一般化されていく中で、様々な「価値」が陳腐化していく時代だといえると思います。
そんな時代の中で、人間が人間である理由や、人間が最も価値を感じるのは「身体性を伴う感情体験から生まれる価値」つまり「エモーショナルバリュー(情緒的価値)」ではないかと私は考えています。

子どもと一緒に体験を共有し、心を揺さぶられる瞬間は、何物にも代えがたいものです。
AIは多くのこと生成し助けてくれますが、人と人が共に過ごし、感動を分かち合う経験はAIには生み出せません。
子育てはまさに「エモーショナルバリューの塊」と言えると思います。

味噌作りという小さなイベントを通して、私は改めて子育ての豊かさを実感しています。
もし、子育てに対して不安を感じている方がいたら、「子育てって意外と楽しいですよ」と伝えたいです。
そして、向山こども園でも、子育てをより楽しめる仕掛けを提供し続けたいと思っています。

秋に完成する味噌を楽しみにしながら、これからも子どもたちとさまざまな体験を共有していきたいと思います。

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