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保護者との良好なコミュニケーション~スーパーバイザー制度がもたらす新しい保育の形~

保育者が抱える多岐にわたる業務

保育者の仕事は、子どもたちと直接関わることだけに限られません。日々の業務には、記録や個人情報の管理や雑務、そして何よりも保護者対応といった重要な仕事が含まれています。
多岐にわたる仕事の中で保護者対応は、保育者にとって大きなハードルと感じられることが少なくありません。
今回は、そんな保護者対応に関して向山こども園で取り組んでいるスーパーバイザーの制度についてお伝えします。


保護者対応が抱える難しさ

保護者対応が難しいと感じられる理由は、多様な価値観を持つ保護者と向き合うことや、育児と保育の違いに関する理解が求められるためです。保護者との良好なコミュニケーションは、保育や子育てのスムーズな進行に欠かせませんが、その一方で神経を使う業務であることも確かです。

近年、向山こども園で行ったヒアリングでは、保護者対応が若い保育者にとって特に大きな負担に感じられることがわかりました。
見学に来た学生や若手保育者に話を聞くと、「最初から保護者対応を担当するのは難しい」という声が多く、保護者対応に対する不安感が強いことが明らかになっています。

若手保育者が抱える保護者対応への苦手意識

保育者としてキャリアを積んでいく中で、保護者対応が重要な業務の一環であることは誰もが理解しています。しかし、新任保育者にとってはその負担が大きく感じられるのも事実です。特に、22歳で保育者になったばかりの若手職員が、年齢や経験に差がある保護者と対等に話をすることに不安を感じるのは当然のことです。

たとえば、22歳の保育者が32歳の初めての子育てをしている保護者と向き合う場面を考えてみると、その年齢差や経験の違いから、保護者が安心して相談できる状況を作るのは難しいと感じるのは無理もありません。

保育者が保護者対応を苦手に感じるのは、単なるスキル不足ではなく、年齢や経験の差が影響していると言えるでしょう。

スーパーバイザー制度の導入による負担軽減

こうした状況を改善するために、向山こども園では「スーパーバイザー制度」を導入しました。
この制度は、学年主任のような立ち位置の職員が保護者対応や指導計画の管理、保育者のマネジメントを担うというものです。スーパーバイザーは、保育時間を短くし、保護者対応に専念できる体制を整えることで、保育者全体の負担軽減を図っています。

スーパーバイザー同士は、子どもから離れた職員室でのランチミーティングを通じて学年ごとの状況を共有し、全体的な運営方針を迅速に決定できるようにしています。
また、保護者からのクレームや悩みにも、スーパーバイザーがチームで対応することで、個々の保育者が一人で抱え込む必要が少しでもなくなるように工夫しています。
このように、スーパーバイザー制度は保育現場全体の業務を円滑にし、保育者の負担を軽減する大きな役割を果たしています。

専門職としての分業の重要性

保育者があらゆる業務を一手に引き受けることが当然とされてきた風潮がある中で、スーパーバイザー制度は、保育者の業務を分担し、適材適所で人員を配置するという新しい働き方を模索しています。

専門職としての保育者には、子どもたちと関わることはもちろん重要ですが、保護者対応やマネジメント業務を適切に分業することで、組織全体が安定し、より質の高い保育が提供できるようになるのです。

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