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お金の使い方と投資の考え方について

新しい挑戦や取り組みを始めるとき、お金をどう使うかという課題に直面します。
それは、単なる消費や浪費ではなく、自分が目指す未来に向けた「投資」となっているのかという問いです。
今回、動画編集を始めたころに使っていたPCが少し調子が悪くなってきたので、PCを購入したことをきっかけに、お金について、私の考え方を書いてみたいと思います。
ちなみに、新しいPCは42万円。浪費でないと言い切れるといいのですが…。

ずいぶん小さな筐体に、高性能の先進技術が詰め込まれています

動画制作を始めたきっかけとその価値

コロナ禍がもたらした変化の中で、私が最初に直面したのは、「どうすれば自宅にいる子どもたちが園とのつながりを持てるのか」という課題でした。当時、園として「誰も孤立させない」「誰も解雇しない」という方針を掲げる一方で、対面を前提に作られてきた園運営を、どのようにしたらいいのか頭を抱えていました。
休校要請の期間はもちろん、その後も、懇談会などができず、子どもたちの日常的な活動や成長をどのように可視化し、共有するかが大きなテーマでした。

動画制作は、その解決策の一つでした。
しかし、当時の園では、休校要請期間中の給食やバス代をいただけないという部分と、週2回の保育教材の郵送などで100万円単位でかかる通信費と、出勤していない教職員へも支払う人件費と…という、出費ばかりがかさむ経営状況でした。
そのため、いくら動画が大切だといっても、動画機材や編集ソフトを購入することは難しく、私は自ら機材を購入し、個人事業として動画制作に挑戦することにしました。
動画編集に耐えられるパソコンやカメラ、編集ソフトを自費で揃え、動画制作に挑みました。
最初は試行錯誤の連続で、お金をもらえるクオリティーではなかったなと思うのですが、1本2000円という価格設定で編集業務を請け負いながら、少しずつ技術を磨いていきました。
ちなみに価格設定としては、他社の1/30~1/100の値段にしました。

この取り組みを通じて実感したのは、動画制作が教育現場を支え、発信するための強力なツールだということです。
映像には、子どもたちの笑顔や保育者とのコミュニケーション、遊びや学びに夢中になる姿など、文字では伝えきれない情報を直感的に届ける力があります。
その価値を広く共有することで、幼児教育の魅力を保護者や地域社会に伝えることが、以前よりはできていると思っています。

動画制作と教育をつなぐ意義

動画制作が教育現場にもたらす最大の意義は、「教育の現場を見える化する」という点です。
保育の価値は、その日常的な関わりや積み重ねにありますが、それを文章や口頭で正確に伝えるのは難しいものです。
動画は、子どもたちの成長や活動をリアルタイムで記録し、保護者や地域社会にその価値を視覚的に届ける力を持っています。

例えば、コロナ禍で、1家族1名までというソーシャルディスタンスをとるために行った措置の代わりとして、卒園式や行事のオンライン配信を行いました。これは参加できないご両親のみならず、遠方に住む祖父母や、小さいお子さんを連れている保護者にとって大きな意味を持ちました。
また、配信映像はアーカイブとして残り、子どもたち自身が成長を振り返ることができる「記録」としても価値を持つようになりました。

さらに、動画は保育者同士の学び合いや研修にも活用され、教育現場全体の質を向上させるための一助となります。
動画を通じて、教育現場の努力や取り組みを共有することで、保育者同士が互いに学び合い、より良い保育環境を築くことが可能になります。

自分で言うのもどうかと思いますが、向山から動画での発信がなくなってしまい、以前の、文章を中心としたお手紙になってしまったら、様々な不具合が起きると思います。そのくらい現在では、動画がインフラ化していると感じています。

お金の使い方と「投資」の捉え方

私は、お金は大切だとは思っているのですが、海外旅行や高級な服や時計などには全く興味がありません。
私にとって「投資」とは、未来をつくるための道具です。
金融投資のようにお金を増やすことを目的とするのではなく、自分が信じる価値や目標のために資源を注ぎ込むことだと考えています。

動画制作における機材やソフトの購入は、単なる支出ではありません。
幼児教育の価値を広め、より良い未来を築くための基盤を作る「未来への投資」なのです。
また、最近ではAI技術の活用にも目を向けています。
AIは、保育の現場で子どもたちの興味や学びを個別最適化する可能性を持っていますが、その価値を現場で確信するには実験的な取り組みが必要です。
立場上、この実験のために園の予算を動かすことはできるのですが、不確定要素が多いものに対して、子どものためにお預かりしたお金を使うのは、少し気が引けてしまいます。

そのため、まずは個人のリソースを使い、小規模な試みを始めています。このような先行投資を通じて得た知見を、将来的には園の教育全体で活用できる形にしたいと考えています。

早く行きたいなら一人で行け。遠くに行きたいならみんなで行け。

このアフリカのことわざを知ったとき、私は、2者択一のことわざなのだと思い、ワンマンプレーではなくチームプレーを大切にしようという格言なのだと理解していました。
しかし、いろいろなことにチャレンジするとき、みんなを待っていられないと思うことも多々あります。
そこで、改めてこのことわざを見てみると、2者択一ではなく、使い分けるという意味でも取れると思うようになりました。
まずは一人で新しい道を切り開き山の上に立って、その先に広がる風景を確認する。そして、みんなのところに戻って、その風景を皆と共有しながら、一緒に山を越え遠くを目指す。
これが私の目指す活動の形です。

動画制作やAIの活用といった取り組みは、最初は個人の挑戦から始まります。
一人で試行錯誤し、新しい可能性を見つけ出す。
それによって得られた成果や学びを保育者や保護者、地域社会と共有し、より良い未来を築くために役立てていく。この一連の流れが、私にとっての「一人で見て、みんなで行く」方法です。

投資の目的とその可能性

投資とは、未来を豊かにするための種をまくことだと思っています。
教育現場の質を高めるための挑戦が、子どもたちの未来や社会全体に良い影響を与えると信じています。
すぐに成果が見えるわけではなく、時には失敗することもあるかもしれません。それでも、新しい可能性を追求することが未来を切り拓く唯一の方法です。
未来を創るためにはお金が必要です。
だからこそ、様々なところで少しずつお金をいただいて、新たなチャレンジに全振りして前に進みたいと思っています。

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