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子どもも大人も挑戦!リトルフェスティバルの新たな試み

明後日は年長のリトルフェスティバルが開催されます。
今年も、年長の子どもたちが自分たちで企画し、運営する劇を披露します。そして今回は、新たな撮影機材を導入することで、より魅力的な中継を目指します。
リトルフェスティバルの様子とともに、新しい挑戦の楽しさについて書いてみたいと思います。


子どもたちがつくる、自由な劇の世界

年長の子どもたちは、お気に入りの絵本を題材にしながら、クラスみんなで意見を出し合い、一つの劇を作り上げていきます。
「クラスのみんなが活躍できること」「観ている人が楽しいこと」「力を合わせること」の3つを大事にしながら、基本的には自由に劇を作り上げます。
その過程は約1か月にわたり、子どもたちにとっては大きな挑戦です。

劇の運営もすべて子どもたちが担うため、俳優さんだけでなく、ナレーター、照明、大道具係など、それぞれの役割を果たします。
ここまで聞くとなんだか壮大で素晴らしいものを想像されると思ます。
確かに、子どもたちが行うという点ではすごいのですが、そこは子どもたちの劇。
ステージの上には、演じている子どもも、裏方さんも、ナレーターさんもみんな忙しそうに歩き回るともあれば、急に話し合いが始まることもあります。
ナレーターの子どもたちは、マイクを通して話すのが楽しいものだから、ナレーションのほかに、開始のタイミングなど、すべてのやりとりがマイクを通してなされます…

正直、解説なしに見ると何をやっているかは、プロの保育者でもほとんどわかりません。
しかし、決して整った舞台ではないのですが、子どもたちが夢中になって表現し、楽しんでいる様子は、整然とした劇では伝わらない気迫のようなものを大人たちに伝えてくれます。

「成長を子どもを使って伝える場」ではなく「成長を感じる場」に

成長するのは子ども、伝えるのは大人

多くの幼児教育の現場では、「成長を子どもを使って伝える場」として発表会を位置付けることがあります。
何度も練習を重ね、時には子どもを叱りながら、大人が想定する完璧な劇を作り上げようとする場面も少なくありません。

私が学生時代にアルバイトをしていた幼稚園では、合奏をする際に、うまくできない子のピアニカの息を吹き込むホースを抜いたり、太鼓の中に毛布を詰めて聞こえにくくするといったことをしていると、現場の先生が話しているのを聞きました。
20年前の話で、今はそんなことをしているところはないと願いますが、これもまた幼児教育の恐ろしい一面でもあると思います。
いったい何のための発表会なのか?と、胸が苦しくなります。

大切なのは、子どもたちが主体的に作り上げ、その中で学び、成長すること。そのためには、子どもにとっては最高に楽しいものでなければ意味がありません。
そして、その姿をどう伝えるかは、大人に問われていると私は思っています。

どう伝えるか?

向山こども園では劇を生中継し、保育者が副音声で解説を入れる試みを行っています。
子どもたちの劇の背景には、どんな話し合いがあったのか、どんな工夫をしているのか。そうしたプロセスを伝えることで、見た目の完成度ではなく、子どもたちの成長をしっかりと感じてもらえるようにしています。

昨年のフェスティバルでは、劇の途中で子どもたちが話し合いを始める場面がありました。その音声は会場では流さず、配信だけで保護者に届けました。
子どもたちが一生懸命考え、意見を交わし合う様子に、多くの保護者が涙し、笑いながら見守ってくださいました。
「劇の完成度」よりも「子どもたちが育っていく瞬間」を見てもらう——それこそがリトルフェスティバルの本当の意味だと私は考えています。

さらに進化する中継、新たな挑戦

今回、リトルフェスティバルの中継をさらに魅力的にするため、新しい機材を導入しました。
それが「ワイラルライト」というワイヤーカメラです。
ワイヤーを張った空間をスムーズに移動するこのカメラを使うことで、ドローンのような臨場感ある映像を撮影できるようになります。

もともとは、運動会である「リトルオリンピック」や、新しくできた「野のはなホール」での活用を想定して導入した機材ですが、「せっかくならリトルフェスティバルでも活用してみよう」ということで試してみることにしました。

いろいろ考えて、無線で飛ばすことにしました
シューンと動くのは何とも爽快! 無駄に何度もやりたくなります(笑)

特にステージ裏の様子を空中から撮影することで、劇の準備をする子どもたちの真剣な表情や、舞台袖でのやりとりをリアルに伝えることができるのではないかと考えています。

やるからには楽しまなきゃ!

新しい機材を導入するには、それなりの費用がかかります。
私は映像制作の仕事を個人事業として行い、その収益をすべて機材に投資しています。
映像制作は本業ではないので、面白そうなことに積極的に投資できます。
私自身が「こんな映像を撮ったら面白いのではないか」と思い、実際に試してみるのが楽しいものです。
子どもたちが整然とできる年齢ではない分、伝える技術を磨くのは、やりがいがあります。

仕事というのは「やらされるもの」だと苦痛になりますが、「こうしたら面白いのでは?」と自分で考え、挑戦することで、楽しいものへと変わります。
私はプロのカメラマンではないので、技術を磨く時間もセンスもないのですが、良い機材を使うことで、よりクオリティの高い配信ができることにワクワクしています。

今回のワイヤーカメラがどれだけ活躍できるのかは、まだ分かりません。実際に運用してみて、思うようにいかないこともあるかもしれません。
それでも、こうした新しい挑戦をすることで、「大人になっても新しいことに挑戦するって楽しい!」という姿を子どもたちに見せることができたら、こんなに嬉しいことはありません。

未来へつながる一歩

こども園は、子どもたちが成長する場であり、大人もまた成長し続ける場でもあります。
新しい機材を使った配信も、子どもたちが作る劇も、すべてが試行錯誤の連続です。でも、その中にこそ、新しい発見や喜びがあり、成長の瞬間があります。

今年のリトルフェスティバルが、子どもたちにとっても、大人にとっても、忘れられない挑戦の場になることを楽しみにしています。

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