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忙しいスローライフ

子育ての日常は驚くほど忙しい。
なんて、いつも仕事に追われ、子育てを妻にお願いすることが多い私が言うのもお門違いだと思いますが、やっぱり忙しいなと思います。というより、自分のペースでできないのが、忙しいと感じる気持ちに拍車をかけます。
しかし、その中には、人生を豊かにしてくれる瞬間がたくさん詰まっているなと感じることもあります。
今回は、「忙しいスローライフ」というテーマで、子どもたちと過ごした2時間の間に感じたことを書いてみたいと思います。


子どもの欲求と自分の理想

今日は仕事を終えて、いつもより少し早めの18時20分に帰宅できました。
家に着き、「ただいま」と声をかけたのですが、妻がひょっこり顔を出してくれるだけで、子どもたちは誰も迎えてくれませんでした。
いつもは嬉しそうに迎えに来てくれる子どもたちが来ないなんて、「こんなに早く孤独な帰宅を経験するなんて」と思いながら部屋に入ると、上の子がくちゃくちゃの泣き顔で出迎えてくれました。
下の子の詳しい解説と本人の話から、どうやら車で少しだけ観た「おかあさんといっしょ」の続きを観たいとのこと。

私はせっかく早く帰れたのだから、テレビではなく一緒に夕食を準備し、楽しい時間を過ごしたいと考えていました。
保育者としても、メディアが子どもに与える悪影響を理解しているだけに、可能な限り避けたいと思っています。
しかし、途中で止められた映画の続きを観たくなるような気持ちは私にも覚えがあり、上の子の小さな訴えを無視することもできませんでした。

さらに、「おかあさんといっしょ」を制作しているNHKのスタッフの皆さんと意見交換をする会議に出席させていただいていたことがあるのですが、そのスタッフさんの顔も脳裏によぎりました。
どの方も、本当に勉強熱心で、子どものことを考えて番組を作っていらっしゃったので、「Eテレなら少しだけ見よう」と妥協することにしました。
テレビをつけると、最初は不満そうだった上の子も、次第にキャラクターの登場に嬉しそうに話をはじめ、ニコニコしながら感想を伝えてくれました。

そして、数分ずつで場面が切り替わるとても素晴らしい作りになっているので、いいころ合いを見て、「次で終わりにしよう」と提案し、数分だけ見て満足することができました。

家庭で過ごす素敵な夕食

その間に、妻がテキパキ夕食の準備とモノの片づけをしてくれて、温かい夕食が食卓に並びました。
夕食は祖母が用意してくれた私も大好きな豆腐料理、妻が作り置きしてくれた2種類の家庭的な副菜、そして温かい味噌汁という素敵な献立。
対して運動もしていないくせにおなかだけはやたらと減るので、子どもたちと「おいしいね」と声を掛け合いながら食べました。
何気ない夕食なのですが、1人でYouTubeのニュースを見ながらスープをすする夕食の何倍も心が温かくなる瞬間でした。

食後にはメルカリで買った無農薬の柚子で作った柚子甘茶をお湯で割り、家族みんなでほっと一息。
家族とご飯が食べられるのってやっぱりいいなと思いました。

ほっとしたのもつかの間…

その後、上の子は疲れ果ててお風呂で体を洗ってあげているときに撃沈。
体をふくために脱衣所に出ると、「さむい!!!」と大泣き。
一難去ってまた一難…
妻がなだめすかして着替えの後に髪を乾かして…と奮闘してくれました。

一方で下の子は、お昼寝のおかげで少しだけ体力が余っていたのか、大声でクリスマスの曲を熱唱した後、パジャマの上に着るボタン付きのベストを自分で着ることに夢中。
「やってあげれば早いな」と何度も勝手に手が動きそうになるのを何とかこらえ、手を出さずに見守ることにしました。

下の子は小さな手でボタンをつまみ、ぱちんと止めようと一生懸命格闘していました。
ボタンがずれてうまくいかないのですが、何度も挑戦し、パチンと一つ止まるたびに、嬉しそうな驚いたような表情で私をちらりと見て、また視線をボタンに戻していきます。
この一生懸命さは、なんとも言えず微笑ましいものでした。

パチン … パチン … …

結局、5分ほどかけてすべてのボタンを留め終えた下の子は、満足げな表情。
本当によく頑張りました + 自分、よく待てました(笑)

忙しさとスローライフ

スローライフと聞くと、ヨーロッパの晴れた田園風景の中、老夫婦が穏やかに笑っている景色をイメージします。
しかし、子どもたちの世界は、目の前の瞬間に全力を注ぎ、その時起きたことで喜んだり悲しんだりして、思い切り感情を吐き出したり受け止めたりするもので、その姿もまた究極のスローライフなんだよな…としみじみ思いました。

大人の私は忙しくなればなるほど、日常の些細な喜びなんて感じることすらできず、できなかったことやうまくいかなかったことにばかり目が行ってしまいます。
そんな中、子どもたちの姿に触れることで、目の前の一瞬を大切にすることの喜びを感じさせてもらえているような気がします。

子育ては忙しいけれど…

子育ては、決して理想通りにはいかないことばかりで、何より自分のペースでできなくなるので、とんでもなく忙しいと思ってしまいます。
しかし、子どもと生活するからこそ、大人だけで生活していては気が付かない些細な喜びに気が付けたり、相手の気持ちを一生懸命推し量る究極の人間的な生活を送ることができるような気もします。
超スローライフの中で生きる子どもたち。
一つひとつの出来事を大切に受け止め、丁寧に生きる。
そんな人たちがそばにいてくれることで、大人の私の日々がより豊かになっていくのだと、改めて感じさせてもらいました。

今年の目標である「早く帰ること」にはまだ1回も達成できていませんが、超スローライフな人たちと生活できるように、早く帰るぞ!と心に決めた今日の夜でした。

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