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ママはコミュニケーションお化け 第三話

20年 10月18日

「ええ、ええ、遠~い親戚の子で…」
「本当にまぁ、可愛い子ですねぇ。リンゴのようなお目々でべべは雪だるまのように。お参りするに廃殿さまなのか麗ちゃんなのか、そげん楽しみありますわ」
「そうですねぇ、皆さんに良くしてくれて、あの子も楽しんでますよ」

 ウララが来て3日目。
 神社に据え付きの児童館にて、近所じゃちょっとしたアイドルになっており、先程の浦木さんなんかは日に何度もウララを見に来るほどだ。
 本当は、何か面倒事にならないように隠しておきたいのだが…。

「公安に届けようにも、親に阻まれる…」

 今日もこっそりとお巡りさんに知らせようとしたが、尽く、手紙なら送り返され、通りがかりに声を掛けようとすれば、もっと困った人が運悪くお巡りさんを引き連れていってしまう…。
 
 さてはて、この子をどうしてこんな平凡な所に送り込んできたのか。あの母の霊力…のような力を持ってすれば、もっと良い地主なりの家に上がり込ませれば幸せだろうに。
 
 今日も社務所に併設された、私だけが住む居住区を片付ける。
 日頃から片しているのだが、もう一人分が入るには、少しばかり狭い。そして、走り回ったりするだろうから壊れては困るものを社庫に移す。

「日頃見ているが、こうやって手を入れると思い出が蘇ってくるなぁ」

 外で、ウララを千代さんに任せた。その間にちゃっちゃと作業をしようにもそんな調子で手が止まる。
 
 今は物置として使っていた書斎にて、「ははぁ」とインテリアのように、書斎を彩っていた書物にため息が出る。先祖代々、積み上げた歴史を見て取ったのだが、私は一向に文には向いてなく…「ははは、ホコリが立ってしょうが無い…払って、あの子の部屋にしてしまおうか」
神道の本や、聖書に哲学書、、、どれも古い文体で、年期が入っている。中には、和装本もある。ご先祖の息遣いが聞こえてくるようだ。

 今日の進捗は、書斎をひっくり返しただけで、「逆に散らかってしまったなぁ」。

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 書斎の本が侵略してきた寝室。齢40まで一人で過ごしてきたせいかこそばゆい感覚に襲われながらウララと寝るのであった。

 どこからか見られている気配を感じながら……。 



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