夏の日、キャンプ場でコックリさんをした。
子供の頃、コックリさんをやってみた方は多いと思います。
私も子供の頃にやりましたが、今回は大人になってから行った話です。
ある夏の日、
美術短大時代の同級生数名の奥多摩にキャンプに行きました。
絵画科のメンバーで、卒業後はそれぞれの道を歩んでいましたが何かしらの理由を見つけては時折り10名ほどで集っていました。
天気に恵まれ、昼間は川遊び。
少し流されるのを楽しんだり、周りの大学生男子グループが大変盛り上がっていましたが、こちらも男女混合、社会人グループも負けずに遊んでいました。
そして夜はバーベキュー。
キャンプ場の食器洗い用スポンジの小ささに文句を言いながらも、学生時代と変わらずお腹がよじれるほど笑い、
私はイタリア土産で持っていった塩をひたすら自慢していました。
食後はザリガニを釣ったり、川辺で花火。
キャンプは、テントでは無く
小さなバンガロー。
ロフトタイプでしたが、登るのが面倒くさいので寝るギリギリまでは1階部分に集いおしゃべりしてました。
各々の近況を確認したあとは、お楽しみのコックリさんです。
夜も更けていき、隣の男子大学生グループも大人しくなってきた頃合いを見計らい私が書いた文字の上に10円玉をのせて、コックリさんに質問していきます。
「コックリさん、コックリさん…」
何を質問したのかは忘れてしまいましたが、紙の上でゆっくり弧を描いていたのと急に雷雨になり気温も低くなり
雨の匂いが強くなったのは覚えています。
山の天気は変わりやすい。
と言えども、タイミング良く怪しくなったものです。
昼の疲れもあり、早々にコックリさんを終了し私たちは眠りにつきました。
翌朝。
夜の雷雨が嘘のように晴れ
少し濁った多摩川を眺めたりしました。
早々に荷物をまとめ、私たちは温泉へ移動。
そして重要な事がひとつ。
昨日コックリさんに使った10円玉を24時間以内に使用しなければいけない為、皆忘れないようにと声を掛け合いました。
どこで使おうか?
その辺の自販機で使ってみよう。
と、飲み物を買う為の自動販売機や温泉の券売機も、コックリさんに使った10円を入れたのですが…
釣り銭が出てくるところに10円が戻って出てきます。
チャンリン。
と幾度となく、使用出来ずに戻ってくる10円玉に気味の悪さを感じ、
偶然と呼ぶには多すぎる事象に私たちは戸惑い始めました。
24時間以内に10円玉を使い切る事が出来るのか?
不安が過ります。
温泉の食堂で、帰ってくる10円玉の恐怖を共有した時うどんの麺のおかわりは、食堂のカウンターで現金会計で出来ることを1人が気付きました。
すぐにカウンターへ行き、会計。
レジの小銭を入れるところに収まった10円玉を見送り、私たちは安堵しました。
生きていた中で一番緊張したお会計でした。
帰ってくる10円玉はただの偶然だったのか。
コックリさんのイタズラだったのかは不明ですが、小銭に捨てたいと思ったのはあの時だけです。
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