傷口を縫う思考の糸
純粋な言葉とは、一体何なのだろう。
子どもが発した言葉なのか
口にする前の思考なのか
分からないなりに思考を伸ばしても
あの手・この手でその糸を外野が手繰ろうとしに来る。
いっそ、切断してしまえば楽なのだろう。
その瞬間にこの生命が堕ちるのは重力と同じもの
きっと説明するまでもないのだと思うが…
人間は思考の糸を切った瞬間から人間ではなくなる。
では何になるのか?
単なる肉塊でもないんだと思う。
ケダモノでもないような気はする。
…名前をつけるような何かでもないんだろう。
少しだけ寂しい気がするので、口の端を少し上げる。
指の先が少しだけ痺れる感覚を知りながら
思考の根を空想の海中に這わせる。
空に伸びないのは、剪定者の目を盗むため。
この温度の時だけ浮かび上がる傷跡。
誰かを思ってつけたわけじゃない
これは私の記号なんだと口を閉じる。
自分自身に傷をつけることが精一杯の抵抗だった。
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