排気口の秋は読書だ!!ミステリー国内編の巻。

 まだまだ貧乏だ。労働三昧である。排気口noteへのサポートも台本購入の収入も全部、私の借金返済に充てられる。ほんの少し前の様に皆さんのサポートがお酒に変わっていた頃合いに早く戻りたい。

 という訳でお金が有り余っている皆さん、うっかりな行政の皆さん、私にも誤送金で4960万円振り込んで下さい。私は先達のようにインターネットカジノで全てを溶かしたりなどせず、粛々とお金を酒に変えて酩酊する所存です。

 サポートして頂いた皆さん、台本購入して頂いた皆さん。本当にありがとうございます。尽きない感謝を何度でも。

 さて秋だ。暑いが秋だ。暑いのもまた秋だ。だから秋だ。秋はスポーツの秋、食欲の秋、芸術の秋とあるが、何と言っても読書の秋。

 という訳で静謐で豊かな秋の夜長には心躍る本のお供を。趣味が飲酒と読書の私が今回はミステリー国内編と題して勝手気ままな読書案内。皆さんの少しでも参考になれば幸いです。

 排気口のアキラ氏が今年から突然読書に目覚め、中でもミステリーが好きになり、猛然とした勢いでミステリー街道を驀進中な今日。そんなアキラ氏に最初におススメしたのが国内ミステリーのクラシック綾辻行人『十角館の殺人』これはもうマスト。映像化が記憶に新しいが(私は未見)インターネットや酒宴でネタバレを喰らう前に読むべし。また『十角館の殺人』から続く「館シリーズ」もおススメ。私のイチ推しは『黒猫館の殺人』『時計館の殺人』の2つ。館シリーズではないが『霧越邸殺人事件』もおススメ。閉ざされた館に謎めいた住人、見立て殺人、美しい美少女、と、これぞミステリーの美味しい所どり。著者最高傑作の呼び声も高い。

 綾辻行人を中心とした新本格と呼ばれる新しいミステリーの始まり。その同世代の作家である有栖川有栖の傑作『月光ゲーム』もおススメ。本作を1作目とする「学生アリスシリーズ」は青春ミステリーと高度なトリックが両立した素晴らしいシリーズ。作中屈指の大作『双頭の悪魔』では何と都合3回も読者への挑戦状が!!臨床犯罪学者・火村英生を探偵に据えたもう一つは「作家アリスシリーズ」こちらは『スイス時計の謎』をおススメしたい。また『臨床犯罪学者 火村英生の推理』でドラマ化もされている。私は未見。
個人的には『ロシア紅茶の謎』に収録されている「屋根裏の散歩者」(乱歩じゃないよ)がとても印象深い。

 同じく法月綸太郎は大傑作『密閉教室』をおススメ。痛いほどの青春がここにある。怪奇趣味が素晴らしい『赤い部屋異聞』もおススメ。トリックの素晴らしさで言えば『法月綸太郎の新冒険』も。快哉するようなこれぞミステリーな一冊。

 さてどんどん駆け足で行きましょう。

 バラバラ殺人はミステリーの美学。西澤保彦『解体諸因』は英知の限りを尽くした全編バラバラ殺人の短篇種。人の記憶の頼りなさが主題の『夏の夜会』もおススメ。不確かな記憶のなかから浮かび上がる真相は如何に。『神のロジック 人間のマジック』もおススメなのだが、西澤保彦入門は上記の作品からの方が吉。

  森博嗣『すべてがFになる』も最早クラシック。ネタバレを喰らう前に読むべし!!著者の作品で一番好きなのは『スカイ・クロラ』なのだが(映画版もとても良かった)こちらはSF。『すべてがFになる』は繰り返すが必読。是非ともシリーズ最終作『有限と微小のパン』まで歩みを進めて欲しい。短篇なら傑作『今夜はパラシュート博物館へ』がおススメ。

 少し時間を過去に。

 新本格の登場以前、横溝正史が筆を納めた後、島田壮司が現れるまで、たった一人で日本ミステリーを支えてきたと言っても過言ではない(by二階堂黎人)こと鮎川哲也。

 島田壮司はクラシック『占星術殺人事件』ネタバレを喰らう前に読むべし。注意しなくていけないのは金田一少年の事件簿『異人館村殺人事件』は『占星術殺人事件』のトリックを流用している。先に読まない様に。個人的なおススメは『異邦の騎士』著者の作品でもとりわけロマンチック。これを読むとインスタント麺が無性に食べたくなる。余談だが大藪春彦『蘇える金狼』を読むとホルモンが無性に食べたくなる。『占星術殺人事件』に並ぶとも劣らない大傑作『斜め屋敷の犯罪』もおススメ。でも個人的には『御手洗潔の挨拶』はどうでしょう?『火刑都市』も非常に印象深い。4年前に完全改訂版が出ています。

 鮎川哲也と言えば『りら荘事件』こちらもネタバレ喰らう前に読むべし。同じく長編『白の恐怖』も素晴らしい。寡作な著者であるので作品数も抑えめ。しかし上質揃い。本当は鮎川哲也長編推理小説全集全6巻をおススメしたい。

 さて二階堂黎人にも触れよう。大傑作『地獄の奇術師』『吸血の家』はマスト。作中の名探偵二階堂蘭子は私の大好きな名探偵の1人。ミステリーの二郎系かのようなてんこ盛りの要素も著者の端正な文章と蘭子の魅力で一気読み必至。そうして何よりもトリックの素晴らしさ。上記2作品を読んだら『聖アウスラ修道院の惨劇』も是非。ギネスに認定されている世界で一番長いミステリー小説こと『人狼城の恐怖』も面白すぎて長さをそこまで感じず。でもやっぱり長いは長いので注意!!

 東京創元社が主宰する鮎川哲也賞の選考委員でもあったのは紀田順一郎。おススメは『古本屋探偵の事件簿』三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』が淡麗系なら『古本屋探偵の事件簿』は家系ラーメン。こってりな味わい。そのこってりにやられるのだ。『第三閲覧室』は傑作こちらもおススメ。「本集めの極意はね、殺意です」というパンチライン飛び出す『神保町の怪人』が個人的にはイチ推し。紀田順一郎と言えば『ブラックウッド傑作集』『M.R.ジェイムズ傑作集』の翻訳もやっている。実は最初の出会いはそっちだったり。

 同じく選考委員を務めていた麻耶雄嵩。『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』はマスト。驚愕すぎるラストが鮮やか超えて唖然の『蛍』大傑作『隻眼の少女』もおススメ。『さよなら神様』も印象深いが『貴族探偵』が愉快でおススメ。こちらドラマ化されている。私は未見。一度ハマったら麻耶雄嵩でしか味わえないものがある。

 意外と長くなってしまった。有名どころからと思ってあげていったがあれもこれもまだまだ紹介していない。疲れたのでまずはここまで。パート2に続く。

 皆さんの穏やかさを祈って。

 

 

 

 

 

 

 


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