詩「悲観・楽観・諦観」

そして、ことばとなる

傾く国で
私が私になろうとすることは
いかなることか

あるいは私は
大きな文脈の中にしか存在せず
あるいはこの国は
過去と未来とからしか断じられないのかも知れない
それでもこの国が「傾く」と感じることは
私が一つの目であり耳であることの証だ

私が私になることは
線であると同時に点になること
文脈であると同時にことばになること

無名の人は
ことばとならなければ伝えられまい
無力の人は
伝えることでしか力となれまい
わが身は遺伝子の柩として朽ちようとも
ことばの柩にはなりたくないのだ

願わくば破綻のない一文になりたいが
一つの動詞、一つの名詞、一文字の助詞でもいい
それが紛れもない私であるなら

私がことばになろうとすることも
傾くこの国の力になろうとすることも
私を超えた文脈の支配することかも知れない
それでも一語として
私がある限り
その可能性はゼロではあるまい

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