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俳句「芋たこなんきん」

母は蛸好まざれども半夏生

 半夏生に蛸を食べる習慣は関西のものらしいが、私の生まれ育った和歌山県の山間の町にはなかった。いまほど流通が発達していなかった時代は、山間では新鮮な海産物が手に入りにくかったことも理由かも知れない。

 元来の習慣にないことなので、今日蛸を食べることにあまりこだわりはない。ただ、せっかくの機会だから今日は蛸を食べるのも悪くない。もっとも老母は昔から蛸を好まない。ましていまは、歯ごたえのある蛸を食べるのはむずかしい。

 「芋たこなんきん」ということばもあるから、母には蛸つながりで、芋となんきんでも食べてもらおうか。それとも蛸煎餅でも食べてもらおうか。

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