詩「大人とは」
哀しい大人
子どものころ揺るがぬ幹のように見えた大人は
実は風に揺れる果実だった
五十を過ぎたころ そう思った
しかし同じ果実だとしても
なんと僕は青いのだろう
恥じ入るばかりでは赤くはならない
おそらく成熟とは
ひとの哀しみを知ることなのだ
これまで幾度も哀しい思いはしたが
僕にはまだ哀しみが分かっていない
分かることと言えば
哀しいと哀しみの違い
哀しいは状態だが哀しみは存在なのだ
哀しみの分からない未熟な大人の僕は
青い果実のまま枝から落ち
そのまま朽ちていくのだろうか
そう思うと
哀しい
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