俳句「ケアラーの目、息子の目」
介護者の目となり母の裸視る
もう母の裸を見ることに特別の感慨はない。近頃はベッド柵をしっかり持てない日もあるので、母の身体を支えながら清拭や着替えをするのに精一杯で、何かを思うゆとりもない。
ただ、母の身体をよく視ておく必要はある。朝は何もなかったのに、夜ヘルパーさんから汗疹が出来ていたとスマホの画像を見せられることもある。いま左の太腿の付け根あたりに床擦れがあるが、その状態も毎日良くなったり、悪くなったりする。
息子の目で見れば、母の裸を見ることには多少の照れくささもあるが、介護者の目で見れば照れくささはない。もっとも、赤みがあったり、傷があったりしたときには、介護者というより息子になっているけれども……。
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