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短歌「空腹の訴え」

足痛し背中痒しと変はりゆき腹が減れるに愁訴終われり

 「お腹がすいた」そのことばでほっとした。こう書こうとして、ちょっと逡巡した。少なくともこれは、食べたいときに食べられる立場にいられる者だから言えることである。お腹いっぱい食べられない人への思いやりを欠いたことばであることをお詫びしつつ、病人に寄り添う者、介護をする者の正直な気持ちとして記すことをお許しいただきたい。

 お腹がすく、食べられるということは体調をはかるうえでは大きなバロメーターだと思う。これまでの母を振り返っても、重篤になるときはたいてい食事が食べられなくなってきたときだった。

 私にとっての母の「お腹がすいた」は「大丈夫」と同じ響きをもつ。

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