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詩「折れないために・・・」

いま、詩を書くということ

存在を肯定することばは足し算なのに
存在を否定することばが掛け算なのはなぜだろう?
十人の「あなたがいてほしい」は
だんだんとその人の居場所をつくるが
十人の「おまえなんか消えろ」は
いっぺんにその人の居場所をうばう

残念ながらことばの純度は
否定語のほうが高い
肯定語のほうが夾雑物が多い
否定語のほうが硬くて強い
「あなたはかけがえのない存在だ」は
「死ね」の一言より弱い

それでも私は
この不利な戦いに身を投じたい
遅々とした足し算を続けながら
しなやかな肯定語をつくりたい
軟らかくて弱くても
折れないことばを

願わくは詩が
その手段となることを祈りつつ

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