映画感想「エル・スール」
-あらすじ-
ある日の朝、主人公の少女エストレイリヤは母が父を呼ぶ叫び声で目を覚ます。
彼女の枕元には、父が大切にしていた振り子が置かれていた。
彼女は、父が二度と家には帰ってこないことを悟り、彼と過ごした今までの日々を思い出していく。
-感想-
1.絵画
シーンごとの迫力が重厚な絵画のようで凄い。
影に入って見えなくなったり、逆に影から出てくるシーンが印象に残っている。
コントラストが高いシーンはゆっくりと、逆に淡い感じのシーンはストーリーが淡々と進んでいっているように感じた。
2.懐古
知らない土地で言語や文化も違うのにとても懐かしさを感じる。
この作品自体が、昔を思い出すように進んでいくためそう思わせるのか、主人公の行動が自分の子供時代を想起させるからなのか。
3.背景
時代背景がスペイン内戦あたりのため、その辺の知識が無いと分からない部分があった。
父と祖父との確執を政権に例えていたりしたが、当時どういった政権があり、どういった主張をしていたかを知っていないと、今作で登場しない祖父の人物像は分からないままだ。父の持つ考え方も同様に。
4.父
重々しく謎めいていて、弱々しく陳腐でもある。
精神的な不倫をしていて、それを実行に移そうとするができない。
悪い事をしているのかもしれないが、嫌いになれない悲しさがある。
4.南へ
作品名の「エル・スール」は、日本語で「南」という意味らしい。
作中では、父の故郷かつ想い人が住んでいる場所。
主人公は、父の乳母の話や、絵はがきからその場所を想像する。そして見ている私も、南とはどんなところなのかを期待する。
一通り回想を終え、物語の冒頭、主人公が南へ向かう準備をしたところでエンドロール。
なんでや。
続編も作られていないところを見るに、何かがあって南のシーンは無し。何があったんですかね。
一応、小説が出ていてそこでは続きが書かれているらしいので購入。
腑に落ちないラストで終わった。
-まとめ-
昔の作品だが、リバイバルで上映していたため鑑賞。
好みの作品。
映像美で引き込まれる感じ。
ストーリーは、少し知識が必要で、難しいところがあった。
映画を見つけなかったら、電車に乗れていたら、父親の運命は変わっていたのだろうか。
それとも、もっと昔にこうなる事が決まっていたのだろうか。