書籍感想「入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください」
「これは友達から借りた本の話なんだけどね。」
-あらすじはこんな感じ-
仕事もうまくいかず、母親にお金をたかられている主人公は、何もかも投げ捨てて消えたい願望があった。でも、吹っ切れずにいた主人公は、今の自分にぴったりなバイト募集の張り紙を偶然見つけた。
『今すぐ人生がどうにかなってもいい人募集中! 月給15万〜 ※住み込み必須』張り紙にはそう書かれていた。
主人公はすぐにそのバイトを始めて、収入と住処を手に入れることができた。
また、仕事として住むうえで、1つやらなくてはいけないことが、隣人と仲良くすること。
それは、隣人が窓を叩いたら、ベランダに出てお喋りをすること。隣人は、怖い話が好きで、毎回いろんな話を主人公に聞かせて、その感想を楽しんでいた。
隣人が怖い話をするときは必ず、「これは友達から聞いた話なんだけどね」と言って話し始める。
でも主人公は、隣人に友達がいないと知っているし、話す内容も心から怖いと思えない。
なぜなら、毎回ベランダで話すたびに、隔て板の向こうから、黒く爛れた六本指がうねうねと動き、管状の口が見え隠れするからだ。
隣人は人間じゃない。話よりもお前が怖い。
主人公は、危険と分かりながらもそこに住み続けるという話。
-感想-
事故物件に住んで、色々変なことが起きる話かと思ったら、ガッツリ人間じゃない隣人が出てくるのが面白かった。
良くも悪くも、怪異の手を借りて主人公のネガティブな部分が、解決…してるような気がする。死にたがってた主人公が、「死にたくねぇー」って言うところが記憶に残っている。
1話1話が短めで、隙間時間に読みやすいのも良かった。
ただ、自己嫌悪、自己矛盾のループ表現は、表現としては正しい(なんならもっと長くてもいい)と思うが、やっぱりクドいので、サーっと読んでしまった。
隣人の正体とか、階段のアレとか、まだ分からないことが残っているので、続編がとても楽しみな作品。