「手紙の時間」- 菖蒲月、端午の節句の手紙 -
端午の節句の手紙
四季の中で最も過ごしやすい季節とも言える五月。春の長雨と梅雨の合間のこの時期には、五節句のうちの一つ「端午の節句」があります。
今回は、この端午の節句の時期にぴったりな手紙の時間を
POSTORY代表の近藤千草さんとお届けしたいと思います。
変幻自在な清々しい手紙
罫線のない便箋は、ていねいな手紙を書くときのほか、自由なフォーマットで書けるという楽しさがあります。真っ白な手紙で清々しい季節のお便りはいかがでしょうか。
今回の手紙に合わせた切手には、燕子花が描かれています。
5月から6月にかけて凛とした美しい花を咲かせるこのかきつばたは、平安時代を代表する文学作品である伊勢物語にも登場するなど、古来から愛されてきました。
従来、黒やブルーブラックのインクで手紙を書きますが、ご友人やご家族宛など身近な方へのお手紙であれば、かきつばたの花の色のような、少し明るめの青のインクで書くのもおすすめです。その他の好きな色でもいいですし、例えば五月なら、夏の色である若苗色なども素敵です。
端午の節句、こどもの日について
澄み渡る風を湛えた絵葉書
深呼吸をしたくなるような清々しさで、受け取ったらどなたも笑顔になりそうな絵葉書です。(こちらの商品は、榛原の店舗のみで販売しています。)
切手は江戸琳派の立役者・酒井抱一(1761−1828)が描いた《四季花鳥図巻》の中の燕子花です。抱一は尾形光琳(1658−1716)に私淑し、上方の伝統を江戸に引き継いだ存在です。若い頃から俳諧を嗜み文人としての顔を持つ酒井抱一が、この絵葉書の富士山と江の島を見たらどのような句を詠むのでしょうか。そんな想像をはたらかせる1枚です。
言葉を引き立てる絶妙な差し色
一見無地の葉書に見えますが、ふち染が施されており、
そのさりげなさがスタイリッシュな葉書です。
金色の葉書はこのまま使用しても良いですし、糊で和紙や千代紙を貼り、その上から文字を書いても素敵です。
合わせた切手は尾形光琳の《燕子花図》を図案としたもの。この作品を所蔵する根津美術館(東京都港区)の庭園には毎年美しい燕子花がその姿を現します。同じ頃、国宝・燕子花図屏風も展示され、見事な競演となります。
菖蒲と燕子花について
懐かしくも新しい表情豊かなお便り
「漆絵」を開拓し、国内はもちろんのこと、万博を通じて海外でも高い人気を得た画家・工芸家である柴田是真(1807−91)による愛らしい絵葉書です。こどもの日にちなんで選んだ玩具の絵葉書は、緑や黄色、赤の明るい色彩が、ひとときの平安を感じさせてくれます。
切手は紙風船をモチーフにしたものを合わせました。束の間、童心にかえり、懐かしい人へのお便りはいかがでしょうか。
手のひらに納まる実力派
幾何学文様である麻の葉文は魔除けの意味をもちます。麻の葉の成長速度にあやかり、子どもの健やかな成長への願いが込められてきた文様です。
蛇腹の便箋部分にもさりげなく麻の葉文様が施されており、封筒付きですですので贈りものに同梱して送るなど、切手を用いることなく使用できます。箱入りで持ち運びしやすいため、特別感のあるメモ帳としても使える小さくとも頼もしい存在です。
凛とした気品、瑞々しい一葉
明治期に榛原の美術顧問を務めた画家・伊藤綾春(1881−1932)。その四季折々のスケッチの中から厳選し、復刻された絵葉書です。瑞々しくやわらかな筆致に存在感のある絵柄で文字を乗せやすく、この時期のお便りにぴったりです。
端午の節句から連想し、矢羽文様の千代紙を用いました。兜や鎧とともに飾る矢をイメージしています。端午の節句のモチーフは兜や鎧、矢など勇ましい品々ですが、そこには健やかな成長へのお祝いと祈りが古来から連綿と受け継がれています。
結びの言葉一例
端午の節句の時期に送る手紙をご紹介して参りましたが、この時期に手紙を書く方や書いてみたい方へお届けしていますので、
動機はご自由に、思い立ったが吉日。
手紙の時間が大切な方々を思う時間になりましたら幸いです。
※郵便料金に関しましては、所定の切手委をお貼りください。
※ 本連載に掲載の切手は、
日本郵便株式会社において販売終了しているものを含みます。
何卒ご理解の程お願い申し上げます。
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