「手紙の時間」- 夢見月、桃の節句の手紙 -
桃の節句にまつわる手紙
立春がすぎ、寒さはまだまだあるものの、気持ちの上では春を感じる季節になりました。POSTORY代表の近藤千草さんとおおくりする 今回の「手紙の時間」では、桃の節句にまつわる手紙をお届けしたいと思います。
桃の節句とは
桃の節句、別名ひな祭りは、雛人形を飾り、女の子の健康と幸福を祈ると同時に成長を祝う行事です。
元々は五節句の一つ「上巳の節句」にあたり、古代中国の風習が平安時代に日本に伝わり今に至ります。
現在、雛人形には様々なタイプがありますが、十二単や細やかな調度品を揃えた雛人形は宮廷文化を表しており、それらは有職飾りと呼ばれています。
観賞用の雛人形は室町時代、座っている雛人形が作られたのは江戸時代の寛永年間(1624〜1644)以降と言われていますので、時代とともに少しずつ雛人形のあり方も変化しているようです。
しかしどの時代においても、健やかにそして幸せにと願う気持ちに変わりはありません。
桃のように愛らしく、扇面のように末広がりな手紙をご紹介いたします。
うららかな春興の手紙
最初の画像でご紹介しているのは、幕末の絵師・柴田是真による
「花くらべ」シリーズの中から厳選した8絵柄を絵はがきに仕立てたものの内の1枚です。
絵はがきの《花くらべ》に寄せて「花束」の意匠と、「ひな祭り」の切手を合わせました。この時期のお手紙にぴったりな華やかさです。
一緒に写っている桃色と金色の和紙の色帯は、水引の代わりとして簡易的な包装に用いたり、様々な装飾に使用することができます。
春の訪れにわくわくする気持ちを乗せて届けたい、麗かなお手紙です。
色とりどりの美しさ
白、水色、黄緑、桃色、薄黄色の淡い色合いの和紙に、小さな紙片が散りばめられた便箋です。控えめでありながら美しい色使いの便箋と封筒は、雅な王朝文化をも思い起こさせます。
罫線が入っているため、筆記具やインクの色によってモダンな印象にもなります。
切手はひなまつりモチーフや、季節の鳥であるほおじろ、画家・蕗谷虹児の作品《花嫁》の意匠、そして王朝文化から連想して御所車を選んでみました。
小箱に収める楽しさ
こちらは榛原千代紙 風待ち草 を用いた名刺サイズの千代紙小箱です。
「風待草(かぜまちぐさ)」は、梅の花の別名で、この東風(こち)が吹くのを待って一斉に花開く事から、その名が付けられました。
千代紙小箱は身の回りの小さなものを整理するのにも、飾って整頓するのにも適しています。
例えばお気に入りの切手を入れたり、細かな文具を収納したり、
その他、当日いただく分だけお菓子を入れて、おもてなしに用いても素敵です。
お菓子の包みに使用しているのは「京花紙」です。ふんわりとやわらかい楮紙でアクセサリーや大切なものを包む用途やその他様々に使うことができます。
花びらのように薄く美しい「京花紙」の日常使いは、慎ましくも雅を楽しむ時間です。
(ご紹介している京花紙は、榛原日本橋本店でのみ取り扱っています。)
お菓子のような愛らしさ
右から、とき色、白色、草色の3色はまるで菱餅のような色彩のぽち袋です。
とき色とは鴇、別名桜花鳥が飛ぶときに見える、風切羽や尾羽の色が由来となっています。桜色や桃色同様、美しい春の色です。
こちらの「菊ぽち袋」は、この3色のほかに藤色と黄色の5枚入りで、どれも一年を通してお使いいただけます。
格調高く華やかな図案をお手元に
有職菱に双鳥が向かい合い、吉祥文様の笹と桐が描かれた寿ぎの絵はがきです。縁起のよい意匠と明るい色彩に、いただいた方もきっとお喜びになることでしょう。
切手は神社に参詣する光源氏を描いたもので、俵屋宗達によるもの。宗達の作品の中で国宝に指定された3点のうちの1つです。
御所車にひな祭りの宮廷文化の名残を思い、組み合わせました。
春の手紙の結びの言葉一例
※ 本連載に掲載の切手は、
日本郵便株式会社において販売終了しているものを含みます。
何卒ご理解の程お願い申し上げます。
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