「手紙の時間」-重陽の節句、菊月の手紙-
菊月の手紙
9月の別名、菊月。
菊の花が咲く月として、菊咲月ともいいます。
今回は五節句の一つ、『重陽の節句』をテーマに POSTORY代表の近藤千草さんと、菊のお手紙をお届けしたいと思います。
重陽の節句とは
『重陽の節句』は長寿を祝う節句です。
奇数を縁起のよい陽の数字と捉える考え方から、
奇数の最大数の9が重なるので『重陽』と呼ばれました。
旧暦の9月は現在でいうとひと月遅い10月9日ごろになり、
菊の見頃な時期です。
五節句というとこの重陽の節句のほかに、人日の節句(春の七草)、上巳の節句(ひなまつり)、端午の節句(こどもの日)、七夕の節句があります。
ひなまつりが桃の節句ともいわれるように、重陽の節句は菊の節句とも表されます。
現在、その他と比較すると菊の節句はあまりおこなわれていませんが、
いにしえの美しい風習をお手紙で取り入れられたら素敵だなと思います。
浮彫和紙による菊花のふくよかなカード
この時期にぴったりの、その名も「重陽」のグリーティングカード。
お祝い事や季節のご挨拶でお送りする時には、華やかな切手を選ぶと手紙の美しさが際立ちます。
ふっくらとした厚みのある和紙に、菊花とHAIBARAという文字が施された、大切な方に贈りたいカードです。
こちらは国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)に所蔵されている、《菊籬模様振袖》が切手になったものです。
菊は従来、「菊菱」や「菊立涌」など、有職文様 (※) に多く見る図案。
長寿と邪気払いの意味を持つ菊花は、今も昔も格式高い模様として様々に用いられています。
清澄な明るさをまとった蛇腹便箋
便箋部分に連なる千代美草がとても愛らしい蛇腹便箋です。
「七宝」の榛原千代紙と合わせて撮影しました。七宝もその名のごとく縁起のよい吉祥文様で、繋がる様が永遠を表します。
千代紙は本を美しく表装したり、手帳を彩ったり、額に入れて季節ごとに飾ったりと、アートを日常に取り入れられる万能アイテムです。
通常の便箋の半分の単位で切り取ることができるこちらの蛇腹便箋は、書きたい分量に調整しやすく、横書きとして使用することもできます。
お話をするように形式を気にすることなくしたためたい時にも活躍します。
品格と愛らしさを備えるぽち袋
榛原復刻図案である菊繋ぎ(左)と岩菊(右)のぽち袋です。
古来から菊は、邪気を祓い、不老長寿を表すものと言われてきました。
菊は通年使用していただける文様ですが、特にこの時期はより一層素敵にご使用いただけます。手のひらサイズの芸術品としてバッグにしのばせておきたいとっておきのアイテムです。
やさしく可憐、華やかでありながら落ち着いた佇まいの蛇腹便箋
雛菊の舞う華やかな意匠の横書き蛇腹便箋です。
色味のやさしさとクリーンな知的さをあわせ持つこちらを日常的に使えたら素敵です。箱に収まる様子も愛らしい、贈り物にも最適なレターセットです。
箱の中の便箋と封筒は濃紺と薄鴇色の二重のゴム紐に包まれて、コンパクトに収まっています。
こちらの切手は前述の切手と同じく、菊籬模様振袖(部分)の切手を使用しています。
重陽、オリジナル切手と葉書の見事な共演
合わせる切手に悩んだ時、これほど心強い存在はありません。葉書と同じ柄行きの切手がついたセット(※)です。
図案は狩野派の門を出たのちに独自の世界を生んだ絵師・河鍋暁斎。
河鍋暁斎は、三菱一号館や通称ニコライ堂を設計した建築家ジョサイア・コンドルを弟子とした人物です。
美しさやその精神性は洋の東西を問わず、その魅力を伝えてくれるものだと感じさせてくれる絵はがきです。
切手という小さな額に入ってもなお美しさが際立ちます。
結びの言葉一例
秋にぴったりな結びの言葉をご紹介いたします。
※ 本連載に掲載の切手は、
日本郵便株式会社において販売終了しているものを含みます。
何卒ご理解の程お願い申し上げます。
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