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アニマルウェルフェアって何?!
初めまして。獣医学科に通うHaiです。私は、動物福祉(アニマルウェルフェア)を誰もが選択できる社会を創りたいと思っています。
どういうことなのか。
先日、「動物福祉の悪いイメージは何ですか?」というアンケートをTwitterを使って取りました。動物福祉を勉強中の私が人様に教えるなんてできないと思っていたのですが、アンケートを行い、多くの方に答えていただきました。お礼の意味、伝える練習、そして、動物福祉について知ってもらいたいという意味を込めて、動物福祉(animal welfare)(アニマルウェルフェア)について素人ながら少しだけ語ろうと思います。
動物福祉とはanimal welfareの翻訳であり、英語のwelfareにあたる日本語がなかったため「福祉」という言葉が用いられています。日本は、イギリスを始めとしたヨーロッパなどで広まっているanimal welfareを「輸入」している最中です。
welfareとは「良く生きること」であり、animal welfareとは「動物の、身体的・精神的に苦痛のない良い状態」のことを指しています。
つまり、
動物福祉という言葉自体には「思想」の意味はなく、単に「動物の状態」を表す言葉だと言えます。
少し拡大解釈するならば、動物福祉は「動物の苦痛をできる限り減らしながら必要であれば動物の利用を認める」という考え方と言えます。
優しさや思いやりを持つことは大切ですが、welfareを達成するためには必ずしも必要ではありません。日本語の「福祉」とは少し違うのです。
では何が必要なのか。
科学的な研究、調査、統計
こういった視点で科学的根拠を持って、動物の苦痛を減らすこと。
動物福祉には「科学」や「冷静さ」が必要になると私は思います。
よく、動物愛護という言葉を聞くと思います。こちらはどちらかというと感情的だと私は思います。
「可哀想、可愛い。助ける、優しく接する、親しみを持つ」こういったイメージを皆さんもお持ちなのではないでしょうか。
一方、福祉では
何が動物にとって苦痛なのか調べ、より良い方法を探る
→「ウェルフェアを目指す」
となります。
動物福祉(アニマルウェルフェア)は、「動物愛護」や「動物の権利(アニマルライツ)」とは別の言葉であることが伝わりましたでしょうか。
アニマルウェルフェアには「5つの自由」という有名な原則があります。
1飢えと渇きからの自由
→お腹すいた、喉渇いたを解消する
2不快からの自由
→暑い寒いをなくす、衛生的な環境を整える
3痛み、負傷、病気からの自由
→痛みを軽減する、痛みをなくす、怪我を治す、病気を治す
4苦悩、恐怖からの自由
→殺されるかもしれない、襲われるかもしれない、と思わせない
5正常な行動を発現する自由
→動物が本来なら行っているはずの行為を制限しないようにする
動物全体に言える例は、「体の向きを変える」。もっと具体例を出すのであれば、鶏なら「つつく」という行為など。
(色々あります。書くのがすごく難しいです。)
分かりにくくてすみません。
これが5つの自由です。個人レベルではペットを飼育する際にも、指標として役に立つのではないでしょうか。
「こんなこと当たり前じゃないか!」と思ったあなたは素晴らしいです。しかし、これが当たり前ではないから、こんなことを訴える人がいたり研究したりする人がいるのだと思います。
話は変わりますが、動物実験の3Rというものも紹介します。
・Replacement (代替) 動物実験をしない代わりの方法があるならそれを使う
・Reduction (削減) 動物実験に使う動物の数をなるべく減らす
・Refinement (改善) 実験動物たちの飼育環境を整えるなどして、動物の苦痛を減らすこと
これを達成した動物実験なのか、達成できていない動物実験なのか。
私自身、今まで、動物実験は悪いものという印象がありましたし、動物実験は「している」か「していない」かの2択でした。
でも、動物実験をしなかったなら、私たちは現代の医療を受けることができなかったでしょう。(事実、ノーベル生理学・医学賞の多くは動物実験を行った研究に授与されています。※善悪の話ではありません)
動物実験なんてしない方が良いと思いますが、しない場合の代わりの方法は、まだ、あまり見つかっていません。
代わりの方法に置き換わるまで、新しい医療や薬を放棄できないのなら…??
もちろん、医療や薬を放棄できるのであれば良いと思います。
でも、そんなことができる人ばかりではないはずです。それならば、動物のために私たち人間が出来ることは何もないのか...。
せめて動物の苦痛を減らす方が良いのでは?と私は思っています。
もちろん、医療に限らず、化粧品などにも動物実験は使われていることが多いです。(興味のある方はお調べくださいm(_ _)m)
そもそも、人間は動物を利用して生きています。肉、卵、牛乳といった食べ物はもちろん、ワクチンや薬、医療、化粧品、ペットや動物園、水族館、動物の登場するテレビ番組など。
仕事である以上、安く商品やサービスを作って(高く)売らなければ、お金を得ることはできません。
しかし、行き過ぎた経済合理性によって、動物たちのウェルフェアが無視されるようになりました。アニマウェルフェアを実現するには、お金も手間もかかるのです。
狭い箱に何匹も飼えば、その分利益が上がる。
死なない程度の餌と水だけで、衛生管理や病気の治療をしなければ、その分お金は浮く。安く済む。
逆にその場でお金さえ払えば、その後かかるお金を払うつもりがなくても、時間をかけるつもりがなくても、どんな人であっても、簡単に命を買えてしまう。
動物のストレスを考えればよくないことも、「可愛い」を押し通すほうが、お金になる。
そして、動物たちを搾取している現実は、表に出ない。
実際に人が動物をどのように扱っているのか私は知りませんし、知ることができません。
もしかしたら、良い環境が整っているのかもしれない。
もしかしたら、残酷な現実が隠れているのかもしれない。
動物をどう扱っているのかを知ることができないのです。
ただ、何も見えない不透明な状態、消費者や利用者にバレない状態ならば、動物を雑に扱うほうがお金になるのは間違いないだろうと思います。(※実際どう扱っているかは関係ありません)
これに警鐘を鳴らしたのが、イギリスだったわけです。
今の日本においても、もちろん、最低限のアニマウェルフェアがなければ動物は死ぬので、最低限のアニマルウェルフェアは存在すると思います。
(ペット界は例外で、その最低限すら怪しいという話は、長くなるので割愛します。)
しかし、各分野においてアニマルウェルフェアが実現できているかと言うと、決して実現できているとは言えません。実現できているのなら、もっとアピールするべきですし、アニマウェルフェアをアピールすることすら許されない社会ではいけないと思っています。
動物に関わる全てに「アニマルウェルフェア」は必要だと思います。本当に範囲が広いため、多くの方々の協力が不可欠です。
最大限気をつけたつもりですが、アニマルウェルフェアに誘導的、扇動的な表現があると思います。大変申し訳ないです。私は、これを読んだ上で判断するのは皆さんだと思っています。
本当は私は、アニマルウェルフェアという選択肢をお伝えしたいだけなのです。
もちろん、できることならアニマルウェルフェアを目指すことは当たり前のことになってほしいです。
各家庭にいるペットのQOLを守ることに始まり、飼い主のいない犬や猫のQOLを守り、ペット産業を大きく変え、畜産のアニマルウェルフェアを皆で応援し、アニマルウェルフェアが製薬会社や化粧品メーカーを選ぶ際の一つの基準になり、動物園や水族館の在り方を日々模索し、動物の登場するテレビ番組は動物の負担を減らし、野生動物と適切な距離を保ち、、、、。
書いてみると、都会に住んでいても、動物が好きではなくても、なんだかんだ動物と関わって生きているのだなと感じます。
しかし、アニマルウェルフェアという選択肢は、まだ日本には、ほとんど存在しません。皆さんがウェルフェアを買おうと思っても、その機会は限られています。ペットショップ、スーパー、コンビニで「アニマルウェルフェアを実現しています」という売り文句で売られている商品や企業や動物に出会ったことは、ほとんどないかと思います。それはアニマルウェルフェアを目指すことが、まだ日本に広まっていない価値観だからです。(アニマルウェルフェアの信頼できる認証制度は、ほとんどありません。アニマルウェルフェアを謳っていたとしてもいたとしても、どの程度ウェルフェアかどうかを確かめることは難しいです。)
ですが、いつか、アニマルウェルフェアは購買基準の一つになっていてほしい。私はそのために何かしたいと思っています。
繰り返しになりますが、アニマルウェルフェアを広めたいといのは、基準の一つになって欲しいという意味であり、ウェルフェアかどうかを知った上で、気にしない人がいるならば、それはまた別の問題だと思っています。
まず最も変えたいことは「選択肢にない、考えたこともない、知らない」という今の状況です。
今、私は色々な人とお話したいと思っています。多くの方と繋がって、様々な視点を知りたいです。
今は起業系コミュニティに入っているだけですが、今後はイベントの企画・運営、ビジネスモデルの模索をしていこうと思っています。学生が参加できるようなイベントも作れたらいいなと思っていますし、様々な方法を模索して、学生のうちにできることは何でもやろうと思っています。
そして、将来獣医として働くと同時に活動を行い、必要であれば起業したいと考えています。
アニマルウェルフェアを持続可能なものにするため、ボランティアではなく、事業として取り組みたいと考えています。
一人の獣医としてアニマルウェルフェアを推進すること。アニマルウェルフェアが多くの人々の選択肢の一つになること。(できることなら、アニマルウェルフェアが世の中の当たり前になること。)
これが私の夢です。
そして、現在、動物に関わる仕事をしている方々を応援したいです。アニマルウェルフェアを実践したい人や企業がいたとしても、それを応援できなければ、その人や企業が売れなければ、アニマルウェルフェアは進んでいきません。逆にアニマルウェルフェアを実現した商品が売れるなら、より参入しやすくなります。
アニマルウェルフェアは経済とのバランスがなければ、一般的な普及にまで到達できないと思っています。
アニマルウェルフェアを実現するためには、多くの方の協力が必要になります。そのためには、まず、アニマルウェルフェアについて多くの人に知ってもらう必要があると思っています。私1人では到底成し遂げられません。1人でも多くの方々と協力して達成していきたい課題です。これを多くの方に読んでいただき、コメントをいただきたいと思っています。これを機に「こんな視点があるんだな」と知ってもらえたらものすごく嬉しいですし、このnoteが誰かの新しい視点になったら、嬉しすぎて泣きます。
もし誰かが、私と一緒に、または私と同じように動物関係で頑張ろうとするなら全力で応援します。
一緒に頑張る仲間と出会いたいですし、頑張っている仲間と応援し合いたいのです。
最後に、ひとつだけお願いがあります。
動物に関わる仕事をする方々を誹謗中傷しないでください。ネットには様々な情報があふれ、調べれば調べるほど、酷く悲惨な現実(のような情報)が出てきます。動物を利用することは悪いこと、動物を利用してお金を得るなんて「悪」という風に感じるかもしれません。
(もちろん、それを見て「動物を利用するのをやめる」というのも皆さんの選択肢の一つであり、利用するのをやめても良いと思います)
しかし、悲惨な現実(のような情報)が流通の何%を占めるのかすら、私たちは知ることができません。悲惨な写真も、いつのものなのか分かりません。だからどうかお願いします。動物に関わる人を誹謗中傷しないでください。
どうすれば動物たちを搾取することなく、経済とのバランスを取ったうえでアニマウェルフェアを目指すことができるのか。どうすればそういった企業が増え、そういった企業が生き残れるのか。
確かに現状を知ることは非常に大切なことです。しかし、現状を知った時、他の人を傷つけるより、知恵を振り絞って明るい未来を目指すほうが、ずっと素敵ではないでしょうか。
話したいことはまだありますが、今回はここで終わりにします。至らない点はまだまだあると思いますし、もっと勉強していきたいと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
Hai
個人的に分かりやすいと感じた参考資料(図書)を載せます。
参考資料:農林統計出版「動物福祉の現在 動物とのより良い関係を築くために」上野吉一・武田庄平 編著