別れ 序章

人生とは出会いと別れの連続、そんな言葉がある。数多の人と出会い、数々の人と別れる。そうして私を含め世の中の人は人生を謳歌している。

そんな言葉がピンと来なかった25歳の自分に、社会人となって2回目の仲間と別れる時期に当たった。

丁度2年と半年前、1回目の別れの時だ。仲の良かった後輩君と別れる時と思いを重ねる。後輩君は四国出身で就職を地元でした関係で、別れることとなった。当時私は社会人1年目で岡山へ配属となり、地元を離れ一人暮らしをしていた。その頃は後輩君と頻繁にラインをしていた。岡山に来たての私は岡山に一人きりな気持ちが強くて良くトークを1時間ほど毎日のようにしていた。

そんな部活動の後輩君も、過ぎて行く時間の如くやはり変化の波、すなわち就職でお別れをする時期が来てしまった。

彼が学生時代の最後の時期にお別れを兼ねて会った。会った時はお別れな感じもなかった。しかし車に乗って、しばらくして目的地が近くなると彼と過ごした時間が自ずと甦り、そして清算されると分かると涙を浮かべてしまった。

あゝ、これで最後か、

故郷へ帰る仲間を見送る時は実際の距離と同じように、思いの外心理的な距離を感じるものだなぁ、としみじみ感じたものだった。

そう今回2回目の別れは彼が地元の関東に帰るのだ。すなわち故郷へ帰るのである。前回と同じ件というわけだ。

彼とは学生時代のバイトで出会った。何気なく話すと意気投合してそれから良く遊ぶようになって、配属先の岡山へもよく遊びに来てくれた。そんな仲の濃い2人だった。

その話は、彼が大切な話がある、会って話したい、と切り出してきた。故郷の関東に家の事情で帰ると、4月のことだった。

切り出された時はスムーズに別れる自分が想像できなかった。きっと別れが近づくにつれ涙が堪えきれない。気持ちの整理がつかなくなるんじゃないか?寂しさを堪えきれない自分がいた。そんな自分に耐えられる自信がなくて別れに逃げた自分がいた。

目先が真っ暗になった感じがした。


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