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#035 母暮ALS ロゼバラミン
昨年2025年9月に承認された筋萎縮性側索硬化症による機能障害の進行抑制に効果のある用剤「ロゼバラミン(一般名:メコバラミン)高用量ビタミンB12」。今か今かと待ちわびていて、やっと今月(2025年1月)の通院時にめでたく処方してもらえた。今後は訪問看護師さんに週2回(1回2本)の筋肉注射をしてもらうのでスケジュール調整など準備を進めてもらっている。
早く打ってもらって、母にも効き目がありますように、この新しい選択肢に家族の願いが集まっている。命が助かるとか、病気が治るとかいう薬ではないけれど、新しい選択肢が増えたことは大きな希望。
ちなみに、正確な表現かわからないけれど記載しておく。今飲んでいるリルゾールやラジカットは症状の進行抑制は90日と言われているが、このロゼバラミンは500日。効けば1年以上寿命が伸びることになる。
会ったこともないけれど、私の知らないところで、ALSの研究や新薬開発をしてくれている人がこの世にはいる。日々難しい問題に取り組んでデータを集めて地道な実験や検証をコツコツして、そしてそれを患者に届けるまでに携わってくれているあらゆる間接的な人、医療従事者すべての人々に感謝したい。本当に世の中には人の役に立つ素晴らしい仕事をしてくれている人がたくさんいるのだなあと、薬の箱を眺めながら思った。
<参考資料>
1. 製品概要
製品名 :ロゼバラミン®筋注用25㎎
一般名 :メコバラミン
効能又は効果 :筋萎縮性側索硬化症(ALS)における機能障害の進行抑制
用法及び用量 :通常、成人には、メコバラミンとして50mgを1日1回、週2回、筋肉内に注射する。
薬価 :ロゼバラミン筋注用25㎎ 1バイアル 10,425円
包装 :ロゼバラミン筋注用25㎎ 8バイアル
2.「ロゼバラミン」(一般名:メコバラミン、開発品コード:E0302)について
メコバラミンは、「メチコバール®注射液500µg」として末梢性神経障害およびビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血の適応で販売されています。また、「メチコバール®錠250µg」、「メチコバール®錠500µg」、「メチコバール®細粒0.1%」が末梢性神経障害の適応を有しています。メコバラミンのALSの病態に対する作用機序については解明されていませんが、非臨床研究の結果から、神経保護作用、神経軸索再生作用により有効性を示す可能性が示唆されています。1990年代より厚生省(当時)研究班によって実施された臨床研究において、「メチコバール」としての承認用量の50倍~100倍量となる高用量メコバラミンがALSに対して臨床効果を示す可能性が示唆されたことを受け、当社は2006年より臨床第Ⅱ/Ⅲ相試験(761試験)を実施しました。2015年5月、761試験の結果を基に国内で新薬承認申請を行いましたが、追加試験が必要との指摘を受けました。その後、医師主導治験として実施された臨床第Ⅲ相試験・JETALSにおいて良好な試験結果が得られたことを受けて、当社は徳島大学と協議の上、2024年1月に日本におけるALSに対する承認申請、2024年9月に承認取得し、本日の新発売に至りました。本剤は、2022年5月に厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定されています。
3. 臨床第Ⅲ相試験(763試験)・JETALSについて
本試験は、多施設共同、プラセボ対照、二重盲検、無作為化臨床第Ⅲ相試験として、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者に対する、高用量メチルコバラミン(メコバラミン)の有効性、安全性を検証する目的で実施された「高用量メチルコバラミンの筋萎縮性側索硬化症に対する第Ⅲ相試験」(Japan Early-stage Trial of Ultrahigh-Dose Methylcobalamin for ALS:以下、JETALS)の医師主導治験です1。
罹病期間1年以内で、Updated Awaji基準において、definite、probable、probable-laboratory supportedに該当し、ALS重症度基準1度又は2度、投与前12週間で改訂ALS機能評価尺度(ALSFRS-R)合計点数が1点又は2点低下し、努力性肺活量(%FVC)が60%を超える、ALS患者様130人を対象に、メコバラミン50mg又はプラセボを週2回、16週間筋肉内投与しました3。主要評価項目である観察期終了時から治療期16週時のALSFRS-R合計点数の変化量は、メコバラミン50mg群で-2.7[95%信頼区間(CI): -3.9, -1.5]、プラセボ群で-4.6[95%CI: -5.8, -3.4]であり、変化量の差は2.0(95%CI: 0.4, 3.5; p=0.012)となり、メコバラミン50mgのプラセボに対する優越性が検証されました3。副作用の発現頻度はプラセボ群で1.6%(64例中1例)、メコバラミン50mg群で7.7%(65例中5例)でした。メコバラミン50mg群で認められた副作用は、便秘、注射部位疼痛、発熱、心電図QT延長及び発疹が各1.5%(65例中1例)でした3。
1. Oki R, et al. Efficacy and safety of ultrahigh-dose methylcobalamin in early-stage amyotrophic lateral sclerosis a randomized clinical trial. JAMA Neurol. 2022;79(6):575-583.
2. 難病情報センター 筋萎縮性側索硬化症(ALS)(指定難病2) https://www.nanbyou.or.jp/entry/52. Last accessed: September 2024
3. 添付文書に基づく記載内容です。