【日本史】江戸時代における心中の始まりと流行①
みなさま。
心中って江戸時代に流行していたのを
ご存知でしょうか?
今回は心中の始まりと流行について
書こうかな~と思います。
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心中の始まり
毎度毎度心中について記事を書いていますが、
一体心中の始まりっていつなのか?
ご説明します。
王朝時代から鎌倉時代にかけて心中らしい例はなかったが、
南北朝時代になり心中の一例は現れ、
これは『吉野拾遺』の中から確認できる。
里村主税の若と内侍の女童が、身の置き所のないので、山林に分け入り、共に刃に伏して、自殺した記事がある。
『此の世こそ、つたなからめ、後の世は久しう』と語ったとあり、
未来の世までも添い遂げるという思想である。
これは後世、江戸時代における心中思想の先駆けであって、
すでに南北朝の時代から存在していたことがわかる。
その後は江戸時代初期に至るまで、心中は確認されていない。
江戸時代での心中の始まりはいつなのか??
江戸時代における心中の初めともいうべき事件は、
『藻屑物語』に記される1640年(寛永17)に発生した
伊丹左京という美少年と舟川采女の心中事件である。
この事件は、男色の関係による起こった同性の心中であり、
相思相愛の男女の自殺ではないが、
恋慕の気持ちを持つ者同士の死という観点からみると、
心中ともいえるのではないだろうか。
そう、江戸時代において
恋愛関係における死の始まりは
男色なのである。
男女の心中ではなく、
男色が始まりなの
おもしろすぎないか。
興味深すぎないか。(東大医学部頭悪くないか)
普通に男色の心中についても調べてみたいよね。
江戸時代で最初の心中は??
江戸期における相愛の男女が合意の上で同時に自殺する、
すなわち心中の最初は
1683年(天和3)大坂新町の遊女大和屋抱え市之丞とその馴染み客で呉服屋の長右衛門の心中とされる。
近松門左衛門「心中刃は氷の朔日」(1709年)のなかで、
「誰がはじめしこの契り、音に聞しは生玉のそれが始めのだい市の丞」
と述べており、これを江戸時代最初の心中した。
2人の心中は世間で評判となり、
大坂三座で狂言に仕組んで上演した。
この後、近松門左衛門の浄瑠璃時代が到来し、
近松が「曾根崎心中」(1703年)「心中天の網島」(1720年)で、心中事件を扱った。
心中が悲劇的でありながらも、恋愛の美しさを描いたことで、連鎖反応のように流行していった。
吉原における心中の始まりは?
(一応記載しておくと、上記の心中よりも前に
心中っぽいのが吉原でもありました)
1679年(延宝7)に白井権八が鈴ヶ森で斬罪に処された。
権八と恋仲であった吉原の遊女小紫はしばらくして、
権八の墓の前で命を絶った。
これは後追い心中であり、殉死に近いため、
公式文書には記されていない事件であるが、
吉原遊女の最初の心中ともいえるだろう。
江戸時代の心中流行
(先ほど、近松門左衛門が心中事件を作品で取り上げ、
それを悲恋として美化したことが
心中流行のきっかけになったとしました)
近松門左衛門は生涯で世話物を24作品発表し、その中で遊女が心中するものは全部で7作品あり、以下の通りである。
これだけ心中物の作品を
世に出してるの近松って、
心中ヲタクだとしか思えません。
心中が世間でうけるって味を占めてますよね。
近松門左衛門の心中浄瑠璃において、
江戸を舞台する作品、
及び江戸で起きた心中事件をもとにした作品は
確認できず、京坂を設定とする作品のみである。
また、近松が取り上げた心中事件は、
1723年(享保8)に発令された男女相対死処罰令よりも前に発生した事件であり、
江戸より先に大坂や京で心中が多発していたと考えられる。
『窓のすさみ』にも、
と記述される[6]。
男女の心中といって、男女で共に死ぬことが
(京都や大坂で起こっていたことが
今は江戸に移って、年々絶えないよ)
『心中大鑑』においても、
(心中大鑑:当時の心中事件が書かれてる本のことです)
吉原での心中事件は確認できず、
天和(1615~1623)、元禄から正徳(1688~1715)にかけて上方で発生した心中事件が集められる。
心中は京坂の地で多発してから、
江戸に移ったと考えられ、
江戸と上方では心中発生の時期に差が生じている。
「江戸期では近松門左衛門の影響により
心中が流行していた」としましたが、
上方と江戸では
流行時期に違いがあったんですね~~
おもしろすぎ~~
ではなぜ上方と江戸では心中発生の時期に
差が生じたのか、
次回にでも書こうかなと思います。
以上。
丸岡桂 松下大三郎『国文大観4 物語部4 雑下』(板倉屋書房、1902年)
丸岡桂 松下大三郎『国文大観4 物語部4 雑下』(板倉屋書房、1902年)50頁
岩本佐七『燕石十種 第2(国書刊行会刊行書)』(国書刊行会、1907年)378~395頁
近松門左衛門『近松全集 12巻 第八巻』(朝日新聞社、1927年)771頁
無膓居士『絵本白井権八実録』(いろは書房、1889年)27頁
松崎尭臣『窓のすさみ 武野俗談・江戸著聞集』(有朋堂書店、1927年)102頁
国書刊行会『近世文芸叢書 第4 (国書刊行会刊行書)』(国書刊行会、1910年)