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JAZZ


新しい眼鏡を新調した。2、3年程前から気になっていたBJ CLASSICのJAZZ。ビル・エヴァンスらが愛用していたAmerican Optical社のフレームをBJ CLASSICが復刻したもの、らしい。2019年か2020年頃にtwitterで最初にその存在を知ったときから気になっていた。

前々回の免許の更新のときなので6年程前に、阿佐ヶ谷のアーケード街にあるメガネ銀座にて購入した眼鏡を今日までずっと使用していた。視ることができればどれでもよかったので、レンズ代込で¥7,000くらいだったと思う。それでまったく問題なかったのだけれども、そろそろ新しい眼鏡が欲しいなあとぼんやり考えていたところにJAZZの存在を知った。とはいいつつそこそこいい値段がするものなので、後回しの後回しの後回しくらいになるほど優先順位が低かった。そしてなにより、優先順位が低かった最大の理由は、メガネ銀座の眼鏡が機能していたから。ボロになって使えなくなったら新調する、という考えを長年持っていたので、まだ使えるし、と真面目に考えることはなかった。
2020年末に、一度本格的に購入を検討する為、JAZZの取扱店を調べて新宿のお店で一度試着させてもらったのだが、あまりしっくりこず。ぼくには似合わないな、と思い購入を断念。
しかしずっと眼鏡を新調したい気持ちと、やはりJAZZしかないのでは、という諦めの悪い気持ちがふと過ぎってはいた。先々週渋谷のBunkamuraで開催されているミロ展をみたあと暇だったので、渋谷にJAZZを扱っているお店があるか調べたら何店舗かあったのでふらっと寄ってみた。一年数ヶ月振りにもう一度試着させてもらったら、まあ似合っているかはさておきそんなに悪くもないな、と思い、検討します、ともう一度持ち帰った。毎晩JAZZのことで頭の中がいっぱいだったので、これは買うしかない!と、漸く購入に踏み切った、という、同じところでぐるぐる回ったり座ったり悶えたりをしただけの話を原稿用紙2枚分くらいに渡って長々と説明してしまった。これといって盛り上がりもないまま終わりに近づいている。

眼鏡屋さんをあとにして、このまま帰るのも寂しかったので、渋谷から代々木公園の方まで歩いて、代々木公園内の河津桜を眺めたりして、あっこっちの方歩いたことないな、と代々木公園の歩いたことのない道をずんずん歩いていたら、めちゃチリンチリン鳴らされるな、なんなんだ、公園を歩いているだけだぞ、と思っていたらいつの間にか歩行禁止のサイクリングゾーンを歩いていた。申し訳ない気持ちになりつつも逃げ場がなかったのでいそいそと歩いて漸くサイクリングゾーンから逃れるも、まったく予想だにしていなかった参宮橋駅近くの出口に出てしまった。
参宮橋駅あたりを歩いていると美容室に貼り紙があり、犬を探してます、という文言とかわいらしい小型犬の写真があった。通り過ぎようと思ったのだが、懸賞金500万円の文字に足を止めてしまった。500万円…!代々木公園内で迷子になってしまったらしい。なぜ、懸賞金500万円も出せるくらいの立派な家で暮らしていた小型犬は逃げ出したのだろうという思いを巡らせた。それはさておき、なによりも無事で飼い主の元に戻ることを影ながら祈っている。

結局、それから歩いて家まで帰ってしまった。眼鏡を買った喜びだけのエンジンで人は10kmくらいの長距離を歩くことができるのだ。

いい休日だった。

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