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長月散歩 転

転の章

あくまで散歩の話



夕暮れ大阪、雨の街


今夜のお宿
ROTA HOSTELのバルコニー
時刻は17:30くらい

会場が開くまでまだ時間があるので
ちょっと一息 休憩をしている


午前中は 散歩もといロケ地巡りにて
城北公園駅~毛馬閘門経由で天満まで、と
だいぶ歩いて 大阪を見て回れた

足は本調子でないから 時間はかかったが
それでも予定通り 銭湯は2湯の入湯は叶う
どちらも 格別に気持ちよかったなぁ…


バルコニーは とても綺麗に整っている
いくつかのラグジュアリーな椅子が配置され
ふわふわなクッションは座り心地がいい


夏の夕暮れにしては 湿度が高くも快適なのは
涼しい風があるからか 気温が低く感じられる
ここはホテルの3階で 駅前でもある
ホテル裏手には「野田駅」の改札がある
ほんとに目の前だ

電車の発着の音は 時折聞こえてくるのだが
反響する高いビルは少ないからか
ずいぶんと耳に優しい音量へ減衰されている

騒音は抜けていくようで 全く気にならない
むしろ遠くの街の音が 心地よくもある


散歩の疲労と 湯上りの回復の間にいる
夕涼みにはもってこいだなぁ


ひどく なんにも考えずに ぼんやりと

斜陽に照らされ 形を変えていく雲を眺める

まばたきの隙に 睡魔に襲われる






頬に冷たい風が ひゅう と吹いてくる
いつの間にか 夕闇が濃くなり
雲行きも怪しい

時計を見れば まもなく18時半になる
ぐぅ と腹がなる
開演までに ちゃんとご飯を食べておこう
休むとお腹が空くものだから
健康とは融通利かないものだなぁとも思う


バルコニーからウェルカムラウンジへ戻る


今から出かけようとしている宿泊客らが
玄関あたりでなにやら浮かれている
大阪を代表する有名遊園施設へ向かうのか
頭には黄色いキャラクターの被り物

若い女の子たちは見た感じ
年の頃なら大学生くらいかな
皆で旅 一番楽しい時間だろう
目いっぱい楽しんで

ラウンジには宿泊者向けのキッチン
コーヒーメーカーなどは誰でも利用可能できる
PCの作業スペースも完備 Wi-Fiもある
インテリアはモダンで 清潔感抜群

ラウンジからのびる通路の先
トイレや洗濯・乾燥機のスペース
それに個室シャワーもある
全体とても充実した宿の印象
なにより綺麗だ

部屋に戻り、簡単に身支度をすませ
玄関から階段を下りる

ただこの宿の欠点は
エレベーターがないこと
そして、通路の幅が狭いこと
大きな荷物を運んだり
上り下りでの不便さは 確かにある

1階のドアを開けると
土の匂いに似た 雨の香り
夕立ちか 通り雨か
雨脚は強くなり始めている

折り畳み傘はロッカーのカバンの中
また部屋まで戻る気にはなれない
向かいの高架下を歩けば
濡れることはなさそう…

だが なにも心配はいらない
ここからは ほぼ濡れずに
会場入り口の階段下まで移動できる

なぜなら
その距離はわずか10メートルほど
2つ隣のビルに入口があるのだ

やはり次回もMagaYuraに来る時は
ぜひ この宿を予約しようと思う
アクセス最強なのはポイント高い
ROTA HOSTELは 間違いないお宿だ
覚えておこう


雨に濡れ 駅に急ぐ人々を横目に
入口の狭い階段を上っていく


MagaYura 2階


2階はCafé&BARになっている
会場は3階のイベントスペースらしい
2階の扉はガラス張りで中が見える

ガリザベンさんがお店にいて
入れ替わりで3階へ向かうところだった
ガ「おお!来はったん!いつもありがと」
ガリザ兄やんは いつだって優しい

店内はカウンターBARで
調理スペースはコの字に囲われている
眼鏡をかけた細身の女性店員が1人と
カウンター越しの男性客が1人
メモ帳に似顔絵を描いて見せあっている
話が弾んでいる 明るい雰囲気だ

奥の窓際の席へ座り 店内を見回す

ギャラリーも兼ねているのだろう
絵画作品がいくつも壁に掛けられている
抽象的な色彩が踊りだすキャンバスからは
鮮やかで華やかな歌声が聴こえてくるようだ


本物が置かれているお店は
作品に共感する気持ちや制作者への愛情が
お店に溢れているから とても好き

窓の外 道向かいには線路の高架
駅はもう少し上なのか ホームは見えない
列車が入るたび 明かりがまだらに落ちてくる

夜の照明と窓からの光が混ざりあう
美しい時間 いい空間だな 居心地もいい


ハイボールと小腹を満たすのに
魯肉飯を頼む


暫くの後、男性客は退店していき
女の子が1人調理してくれている…も
どうやらレンジが不調らしい

少ししてから調理場から出てきて
奥から別のレンジを担ぎ出そうとしている

重そうなので「手伝いましょうか」と声かける

店「大丈夫!大丈夫!
  ここに来るお客さんはね!
  みんな手伝ってくれようとするの!
  すっごくいい人ばっかり!」

椅子と壁の間に悪戦苦闘しながら運搬していく
明るくて とってもパワフルな子
ははぁ、良いお店には 良い店員さん
これは真理なのかな
「料理、急いでないですからね~」
と声をかける

料理ができたら会場へお持ちしますとのこと
ではありがたく お言葉に甘えることにしよう


店内の色鮮やかな絵画の他
窓際の棚には お店のグッズも並んでいる
グッズの中に「まがゆら」缶バッジを見つけた
1つ記念に購入することにしよう


お会計を先にして ハイボール片手に
会場の3階へ向かう





MagaYura 3階

とても狭い階段は洞穴のようだが
壁は白く閉塞感はない
フライヤーが置かれたりしている

3階もドアはガラス張りで中が見える
演者の1人、藤山さんと入れ違いになる

私「きちゃった///」
藤「はぐぱぱさぁ~ん!ようこそ~!」

変わらず朗らかな彼に安心する

中へ
入口右側にはキッチンとPA卓と受付
純朴そうな青年が、お客へ飲み物を作っている
手とをめて受付をしてくださる

会場には既に何人もお客さんが入っていた
小形さんとガリザベンさんも見える


壁や天井はコンクリ打ちっぱなしのようだが
下の階や階段から 色調は白で統一されている
色合いに継ぎ目がないからか
シームレスに感じる

窓の外は正面に野田駅のホーム
電車を待つ人 進入してくる列車
街が動いて生きていることが観察できる

ホームの蛍光灯の光量は強くて
少しだけ目に痛い


道を挟んでいるせいか
駅のプラットホーム全体は
中空に浮いているみたいに見える

高架の上はまるで
SF映画の宇宙船の寄港や
未来都市の乗り物を連想させる

なんとも不思議な感じ ワクワクする



ステージ正面
最前列中央の席が空いている
腰かけると 見知った顔の女性が2人
お隣にいらっしゃる

私「あらら、また会いしましたね」

7月13日 私同様に
神戸のD×Qでライブを観た後
京都山科のカフヱのちオンガク室にて
ライブをハシゴしていた2人である

わずか2か月前のことではあるが
だいぶ昔の話のようにも感じられる

それぞれ たまに 名古屋でも見かけるので
2人とも移動距離は相当バグってる気もする

わかっている
全く人のこと言えたものではないことも
2人以上に おかしい自覚があることも

ライブ開始まで しばし歓談
魯肉飯はすぐに届いた



ライブ

お時間となり
藤山さんが戻ってくる
3人は集まってなにやら相談

「演奏順どうする?」
「なんも決めてないね」
「じゃんけんでいこか」

仲良しか

最初はグー じゃんけんほい
小形さんがいち抜け

2人で も一度
最初はグー じゃんけんほい

結果

トップを飾るはガリザベン

二番手に藤山拓

トリはグッナイ小形となる


まずは このかた

ガリザベン

Set List

あふりかメキシコ
しじみ70
かとられ
サマーリッチ
こくるり
EAST OF THE SUN WEST OF THE MOON
君にペロンチョ
蝋石のうた
てもげる


youtubeに いくつか動画はあるけれど
基本サブスクに音源はないガリザベン
8月に四日市に来ていた時に
アルバム「ほんの気持ち」がやっと買えて
今日も聞きながら散歩してきた

ライブに足を運んでみたくなるのは
その人懐っこいキャラクター
酒のみのおじさんというよりも
いたずら好きの少年のようである


「弟みたいなン、2人とやれて嬉しナ~」

嘘の影など微塵もない 言葉の無邪気さ
彼のホームである大阪で聴けるのも
また嬉しく感じてしまう

この日はガリザベン生誕日であり
さらに嬉しい日となった


続いては このかた

藤山拓

Set List

飛行機雲
春は
喫茶店
とげとげ
夏の庭
girl2
台風10号
みなも
ひかり


最近の奏法やステージが大人しい…
いや「大人らしい」といったらいいのか
とても芯が通った歌を響かせる

彼を知った最初期、2、3年前の
奇天烈で鮮烈な印象に引っ張られているため
そう映ってしまうのかもしれない

しかし良い方向に変化している
丁寧に歌い奏でては
声の柔らかさから伝わる熱量に
胸を焦がされていく
進む限りは成長期なのだろう

『春は』のロケ地が目の裏に浮かび
川辺の風の匂いまで連れてくる
彼には そういう凄みがある




最後は このかた
(この写真しか撮れてませんでした…)

グッナイ小形

Set List

大人の領分
ライフイズペチャクチャ
快遊船(ヨット)
病気
駆け落ち
サーカス
走れ、月
忘れない!
きみは、ぼくの東京だった



あとから知ったが MagaYuraでの
彼の過去の演奏がYouTubeに残っている

とてものびやかに
肩に力を入れず歌い上げる

心赦せる対バン相手だという以上に
会場を包むような安心感
きっとまた この場所で歌うだろう
その時は 新しい曲も聴けるかもしれない



ライブはやはり立ち会わないといけない
伝えられない部分が多分にある


こんな私の ちっぽけな言葉では
とてもじゃないが伝えきれない


だから足を運んでしまうし
会いに来てしまうのかもしれない




帰り方


わりと みんな へべれけ

ライブが終わり
お客さんも ひとしきり帰り落ち着く

ライブで良く会う女性のうちの1人(Kさん)は
電車の時間もあり先に帰られた
きっとまたライブハウスで会うことだろう

残ったのは 演者の3人と
良く会う女性のうちのもう1人(ゆのめさん)と、
店主さんと、私の、6人だけとなる


皆で随分と ガヤガヤと長く話し込んだ

ポテチを床にぶちまけたりしつつ
やいのやいの2時間ほど ゲラゲラ笑いながら
酒を飲んだり話したりしていた


全ては店主 扇芝さんのご厚意
本当に感謝である


当然この日はまだ
店主、扇芝さんの名前や素性は知らない
まさか11月に名古屋の鑪ら場にて
ライブを聞きに行くとは
微塵も想像していない



自分の酒のペースで飲んでいたが
ゆのめさんもペースを合わせて
飲んでくれていた
まあまあ深酒になりつつあったので
少しセーブする

余計なお節介だが
ゆのめさん ちゃんと帰宅できるか
ちょっと心配になり
だいたいの最寄駅を聞いたりして
帰りの電車の時間を調べたりしてみる

この時、出発する駅が目の前なのは
すごく助かるなぁと思ったりする

間もなく、ゆのめさんも終電の時間となり
「またね」と、お別れをする
藤山さんは店内におらず
入れ違いとなってしまう


ゆのめさんが店の階段を降りてすぐ
藤山さんが顔を出す
あれっ?帰っちゃったの?と言う反応に
「いま、駅の改札に向かったところだよ」
と伝えると、慌てて階段をかけ降りていく



窓から外を見おろす

駅前通りとの改札前が見える



ちょっとフワフワとした足取りのゆのめさんが
改札方面へ向かっていくのが見える
藤山さんが駆けつけている

どうやら彼も「またね」が言えたみたいだ

声は聞こえないけれど
愛おしい時間だなぁと見て思う



「はぐぱぱさんは?どうするんです?」
小形さんが尋ねてくる

今日は宿があるから心配無用というのと
明日、早朝に名古屋へ行く予定だと伝える


小形さんは
「ぼくも明日あさから、名古屋なんですよ」
と言い

少し間をおいてから、こう続ける
「よかったら、一緒に行きませんか?」



デジャブとトラウマが
たぶんお互いあるのだが
断る理由もないので、了承する


今度の道中は 大丈夫だろう

たぶん

きっと


大丈夫なんじゃないかな









今回はここまで


こんにちは まいど どうも
ありがとうございます


次回は

大阪から名古屋までの道中
     &
浜松から京都までの道中(1月)

トラウマエピソードの予定

次回、完結編となります
よろしくどうぞ



きっと 大丈夫だと思う





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