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長月散歩 承

承の章

あくまで散歩の話



銭湯への道

川から見えていた一番近い橋
そこを通る大きな道は県道14号
(大阪だから府道だったかもしれない)

後から気付くのだが 以前ここを通っている
昨年11月24日の菅野さんのワンマンライブ後
深夜 酒に酔いつつ漆黒の水面を見たあの橋だ


14号から東に1本入った
「長柄西通」を南下すると
東西に横たわる通り「城北公園通」に出る
ここを左折してずっと行けば
降りてきた駅「城北公園通駅」につく

「おや」

信号待ち 見上げた位置に「ゆ」の文字

大きな入浴施設「天然温泉 なにわの湯」
パチスロしながら入れる(入れません)

ちょっとだけ惹かれるが 思い直す
行きたいのは銭湯であって
スーパー銭湯ではない

なにも スーパー銭湯が悪いわけではなく
ただ、いまは日曜の昼下がり
気になるのは 施設内の人出である

繁盛するのはよいことだが
人が多いのは苦手なのだ
叶うなら のんびりとしたい
できれば少数で 10人以下で

あと、なるべく出費を抑えたいという
せこい考えもあってのこと



道を渡り「長柄西通」を南下し続ける
JRの駅までの道すがら、銭湯があるはず
地図上で見つけただけだが
そこを目指している

名前は「楽天地温泉」というらしい

「ラクテンチ」と聞くと別府を思い出す
別府市内の遊園施設だ
また別府88湯巡りを計画したい けれども
いまのところ スケジュールは未定である



しかしなぁ ちょっとくたびれてきたぞ
スーパー銭湯の看板を見たのもあって
早く風呂に入りたい…体ほぐしたい…


ザバァ…


ああ、風呂に入りたすぎて
お湯をかけ流す音が聴こえてきた


カッコォーン…


銭湯の音の響きってのは本当に耳に心地良い
たとえ空耳であっても




左に視線をやると 銭湯がある


なんでかなぁ おかしいなぁ


ついに頭がおかしくなったかと思った



天六温泉


最初読めなかった

これは啓示か天啓か
頭がおかしいのは自覚あるので良いとして
犬も歩けば棒に当たるし
はぐぱぱも歩けば銭湯が現れるらしい

ありがたく さっそく入ってみよう


番台で受付をする 昔ながらのスタイル
サウナもあるようだが
このあと夕方にかけても予定があるので
入湯のみとしよう

こぢんまりとしている
地元に親しまれているようで
脱衣所には3、4人の先客がいる

ロッカーも年季が入っており
昭和から時間が地続きなのを感じさせる
浴室はどうだろうね

ガラリと入り口を入る
非対称の浴槽が中央にあり
右手奥にサウナ 傍に小さな水風呂
そしてなんと、露天風呂の文字まで見える

銭湯成分の凝縮された空間に
思わず目を見張る

https://e-sento.com/ten6/ 

そうそう、こういうのがいいんだよ
この狭い空間に全部ある安心感 最高

体を洗い流し
まずは露天に足を運ぶ
温泉の名の通り湯は熱め

露天は三面を壁に囲まれており
天井のみ外界と繋がっている
狭いながらも落ち着く湯舟である
しばし湯を揉み楽しむ

露天から屋内へ戻り
水風呂へザブン かけ流しのおかげか
キンキンに冷えている 流水がまた最高すぎる


最高の銭湯には
それをよく知っている客が集まるもので
譲り合いや 軽い挨拶も自然と出てきては
この空間を心地よいものにしている

屋内の電気風呂はじめ どの槽も湯船は熱い
湯舟自体繋がっているものもあるが
基本的に湯元は同じなのだろう

併せて水風呂を使う
水風呂も狭いからこそ 水温がぬるむことなく
冷たいままなのかもしれない

このルーティン
2時間くらいしたいが
ほどほどに

ホカホカの気持ちのまま 湯上りする


エンカウント


「長柄西通」を南下して現れた交差点
目の前、商店街の入口に見覚えがある

「天神橋筋商店街」

おや、ここは来たことがある道だ
「天神橋筋商店街」
11月の菅野さんのライブ帰りや
谷澤さんの雲州堂ライブ後にも通った道


なんだか大阪にくると
いつもここにきてしまう気がするなぁ
ただ、これまで昼に来たことはなかった

やはり店も開いていて 人も多い中心街の様相

人波を緩やかに進む
足は思うように動かないので
なるべくテンポを一定に 止まらないように

ゆっくりと ゆっくりと



地図を確認することもなく 進んでいると
JRの駅「天満」に到着してしまう
あれ?銭湯は?「楽天地温泉」は?
地図を見なおす

よく確認すると銭湯の立地は
商店街の通りから少し入ったところにある
どうやら目測を見誤ったようだ


う~ん どうしよう
戻るのは味気ないし 足も痛む…


深刻に考えず 結論から出す
残念だが 今回は先へ進むことにしよう
「天神橋筋商店街」には
またきっと来ることだろう


「天満」から「大阪」「福島」を経由し
目的地「野田」へ向かう


今回の大阪来訪は
あくまで散歩の延長に「銭湯に入るため」
としていたものの
夜にはちゃんと予定があった


流石に何もないのに大阪まで来ることはない


今夜「LIVE&BAR MAGAYURA」で開催される
ライブイベント『メメメのメ』に行くのが
もうひとつの目的である

演者は
「ガリザベン×藤山拓×グッナイ小形」
私の傾向を知ってる人なら
来訪しない理由が見当たらない
そんな組み合わせのイベントである

かつて同じメンツでライブが開催されている
名古屋の「HUNNY×BUNNY」にて
とてもよい音楽の夜だったのを覚えている



「野田駅」

線路はずっと高架になっている
階段を下りた改札の北側正面は、たこ焼き屋

野田駅前高架下
積層する居場所の数々

たこ焼き屋の2つ隣 狭いビルの3階に向かう
エレベーターはない

明日は月曜日
昼は普通に名古屋で仕事のため
早朝に出発することを想定している
まずは宿のチェックインを済ましてしまおう

そう、なんと今回は
既に宿を予約済みなのである

泊まりで散歩する人は
いるかいないかで言えば
ここにいます

痛くない足を支えに ゆるやかに上る
綺麗な簡易ホテルではあるものの
受付は丁寧に説明してくれたし
設備も自分には十分すぎるくらいだ

チェックインを済ませ 荷物を整理
銭湯セットを改めて準備する


銭湯へは元から2軒行こうと考えていた

「天六温泉」をスルーしていれば
たぶん「楽天地温泉」へ寄っていた

「足るを知れ」と思うかもしれないが
銭湯って場所ごとに違って面白くて
次行くところも駅から近いので
行かない理由が思いつかない

止める人がいないって 怖い


宿の個人用ロッカーに
不要なものを置き 軽装で出発する


高架沿いを南西へ
銭湯はすぐのところにある はず

手前の高架下にコンビニが
夜に酒を飲むためにウコンを飲んどこう


入店


おや?あれは…


店内に灰色のギターケースを背負う後ろ姿
大柄な彼には見覚えがありすぎる


おやぁ 小形さんですねぇ


MAGAYURAまで声をかけるのを我慢するか
一瞬迷うものの
遠方の地のコンビニで
いないはずの人に名前呼ばれるのも
なかなかショッキングだろう




私「…小形さ~ん」

一瞬びくっとして振り返る

小「ぇっwwちょwww」

いつもの

私「きちゃった///」

小形さんは諦めたように笑っている


買い物を済ませ、コンビニの外で少し談笑

小形さんは、銭湯から出たばかりらしく
ガリさんと合流しようかなと考え中とのこと

私は「これからその銭湯へ」と言うと
「すごくよかった」と教えてくれた
目の前の道路を渡ったとこにあるらしい


後にまた会うこととして 別れる
湯処が近いのはありがたい

いや、もう見えてるわ



栄湯


https://osaka268.com/sento/%e6%a0%84-%e6%b9%af/ 


昭和薫るノスタルジックな雰囲気の軒先に
良い銭湯の条件がそろいすぎている

早速入ってみる

良い天気の日曜午後と言うこともあり
お客の入りは上々である

この時間帯までに お客さんは
何人も 湯から上がっただろうに
脱衣所の床はカラッとしている

ほうほう これはいい

お風呂から上がる時
きちんと体を拭く人が多いのか
管理の手が行き届いているのか

そのどちらもかもしれない

浴場がいいと お客もよくなるし
お客がいいと 浴場もよくなる…
これは…銭湯品質向上の永久機関…!

しょうもない思考になりつつ浴場へ


ははぁ アタリですよ 今日は
先の「天六温泉」もそうだったけれど
サウナ&水風呂
各種湯船のほかに
露天風呂もある

完璧な銭湯形態をしている
今日は良いことばっかりで 最高ですよ

体を洗ったあとは それぞれの浴槽で
じっくり湯を揉みしだく

良い銭湯に出会えたのが嬉しくって
ずっとニヤニヤしていたと思う


今思えば、だいぶ薄気味悪い光景である



夕涼み


銭湯を出る 時間は17時
ライブ開場まで2時間以上ある


腹ごなしに何か食べておこう
ホテルの部屋あった
周辺の店の案内を思い出しながら
高架沿いを歩いてみる

有名芸能人も贔屓にしている店を当てにしたが
今日はお休みのよう


食運は弱い


高架沿いをぐるりと1周歩いてみるも
何を食べたものかと 決めかねる


結局 駅前のたこ焼き屋の椅子へ腰を下ろす

そういえば大阪でたこ焼きを食べたことは
1回くらいしかない
あれは、かみさんと結婚する前
かみさんと、かみさんの友達と
皆で来たような気がする
ハッキリしないので来ていない可能性もある

まあいいか たこ焼きを食べよう



未だにMAGAYURAの入り口が
見つけられずにいた
この辺なのは確かなんだけどな…看板もない


そういえば小形さんは
ガリザベンさんと会えたのかな


たこ焼きをひと舟 食べ終える


まだ時間があるので また少し散策するかと
歩き始める

ふと高架下、ガラス張りの飲み屋の奥に
見知った2人の影を見つける

小形さんとガリザベンさんだ

なんだ、ちゃんと会えたんだ
サシ呑みできたんだね よかったよかった
仲睦まじい姿にほっこり

どうやら、もう会計して店を出るところ
あちらさんは こちらに気づいていない

慌てて店から少し離れる

別に隠れる必要もないのに
なんとなしに
覗いていたことを
知られたくないと思っての行動

それでいて、少し離れた場所から
出てきた2人を観察しているのだから
わけがわからない

ギターを背負った2人は
たこ焼き屋の横から
ビルの中へ吸い込まれていく


えー…そこだったの?


MAGAYURAは目と鼻の先
たこ焼き屋の、上の階だったらしい



この上が会場らしい
びっくりすることばかりだね



目的地も 具体的な場所が判明して
街歩きする必要がなくなってしまった…

……

………

よし

宿戻って ラウンジで のんびりするか


20メートルも歩かず宿へ戻る


銭湯セットをロッカーへ片付けたら
ラウンジへ

宿には バルコニーラウンジがあり
寛げるようになっている

ラグジュアリーなイスに 深く腰掛ける

雲が多くて 光の濃淡が美しい

時間がくるまで 夕焼け空を眺めよう

そうして うたた寝をはじめてしまう




今回はここまで


こんにちは いらっしゃいませ

今夜 11月8日は名古屋『鑪ら場』
MAGAYURAでお世話になる扇芝さんが
ライブに来てくれる とても楽しみ

次回はライブ回です
よろしくどうぞ


メメメのメ











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