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2月自選短歌 12首 『できてるの 死んでもいいわと言う準備』

こんにちは。萩原アオイです。
2月はバレンタインですね。猫の日もあったのでチョコや猫の短歌で界隈が賑わいました。
個人的にも美術館に行ったり仕事でいい出会いがあったり動きの多いひと月となりました。

まだ、まだ、私、寒いのだけれど。



夫にも許したことない呼び捨てで 何度も呼んで 昼間のホテルで

一文字も残さず、罪深い。

 

真夜中のチョコに似ている恋の味 微熱の舌でそっと溶かせば

RIUMさんテーマ「罪」。
食べてはいけないものを食べてはいけない時間に、冷蔵庫の灯りを頼って、食べる。


そういうわけではないなんて君が言う だったらどういうわけか教えて

余計なことを言わない君がもどかしくて、でもそのままでいてほしくて。


真夜中に起きて慰む我が色は 誰にも知られず炎のように

誰にも抱かれない。一人で慰めることも、誰にも知られない。
短歌ラジオのいちごつみのテーマの際ご紹介いただきました。とても嬉しかった。


友達で いれば終わりは来ないから ずっと友達でいよう 好きだよ

言っちゃってる。


愛なんかじゃなくってもいい こうやって 傷を舐め合うだけで私は

愛が欲しい強がり。可愛くてごめんね。


この膝の震えはスクワットのせいと 言い聞かせるは歯医者の待合

今日は麻酔して削りますなんて言われて震えない大人っているんでしょうか。


ダリの絵を観て少しだけ切なくて 私のからだは2度と溶けない

ひどい恋が終わってから。不感症になってしまったかと思ったときにカマンベールチーズのような時計の絵を見たの。


首にキスされるとたまらず「あん」と鳴く あたしの前世はきっとしろねこ

2/22猫の日の短歌。


できてるの 死んでもいいわと言う準備 通知を切ったスマホの前で

天体ショーの日に月が綺麗だったけれど、私はその言葉を聞かなかった。
それでもいい。LINEしていることを知られてはいけないくらいだもの。


手付かずのおかずが冷蔵庫で笑う 「まるであなたの人生みたいね」

あのおかずたちも私も同じ。セックスレスってただの日常。


姿見の 鎖骨の浮いた白い肌 脱げる体かひとり確かめ

前の日の晩のこと。

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