とにかく追いかけられたい「ジャイアンおじさん」と「シンデレラになりたガール」
平成生まれ×アラサー女×フリーランス×クリエイターという共通点を持つ秋カヲリ(文筆家・心理カウンセラー)とモモモ♡スパークル(イラストレーター)の対談コラム。
第2回目は、とにかく追いかけられたい!と願う自己愛のカタマリ「ジャイアン男」と「シンデレラになりたガール」について考察します。
俺が許すまで謝れ!中小企業に出没する「ジャイアンおじさん」
秋カヲリ:組織に「信仰しなきゃいけない人」っているよね。その人の言うことは絶対!っていう。大体ジャイアンというか、お山の大将になっていてみんな本心からはリスペクトしていないけど、なまじ地位があるし、本人の「敬え!」って圧がすごいから、半永久的に崇め続ける構造ができちゃってるんだよね。
モモモ♡スパークル:疑問に思っても従わなきゃいけない空気ですよねー。
秋カヲリ:私もできる限り「郷に入っては郷に従え」を実践しようと思ったんだけど、体育会系の精神が皆無だからうまくできなくて怒られたよ。営業会社の営業部長がジャイアンおじさんで、とにかく人から愛されたい、尊敬されたい、慕われたいっていうのがダダ洩れだったんだけど、ぶっちゃけ人間力とか実力がそのレベルに追い付いていないんだよね。
でもそのサル山ではトップだから、わりと普通なことをベンチャー企業風にビッグな感じで語るっていうか、ろくろ回しちゃうっていうか。今思えば憎めない人ではあるんだけど、私は新卒ながら生意気だったから「なんだコイツ」って思ってて、しかもときどき態度に出てた(笑)
モモモ♡スパークル:出てたんですね(笑) 何で怒られたんですか?
秋カヲリ:掃いて捨てるほど怒られてたからもはや何の話で怒られてたのか忘れちゃったけど、新卒3人セットで怒られたときの意味わからん!って感情だけは覚えてる。とりあえずお作法として「申し訳ありませんでした」って謝るじゃん? でも、その人はパソコンの画面を眺めながら「ふーん。まあ、いいよ、別に。自由にやれば?」とか言うの。
こっちはそれ以上言えることないから「すみません……」ってシュンとするんだけど「いや、いいって。別にさ、お前らの好きにやればいいじゃん?」って取り合わないの。ゴールが見えなくて、この人一体何を求めてるんだ?って思って。
モモモ♡スパークル:え~、そんな人会社にいたんですか?
秋カヲリ:うん。そのまま喫煙室行っちゃうし、同期と「え?どうする?」ってなってたら、バリバリ体育会系で上司に気に入られるスキルがとんでもなく高い先輩が「こういう時は許してくれるまで謝んの!追っかけてってずっと謝ればいいの!そういうもんだから!!」って言われて。
モモモ♡スパークル:大変!
秋カヲリ:なんじゃそりゃって思ったけど、しかたないから喫煙所に行って「本当に申し訳ありません」ってみんなでエンドレスリピートしたら、しばらくして「うん、ま、そう。じゃ、態度で見せて。これはお前らの問題だしさ、それ見て判断するわ」とかなんとか言われて、解散した気がする。トータル1時間くらいかかったよ。マジでこの無駄な時間は何だったんだ?って思いながら帰った。金魚の糞みたいにずーっとくっついていって形式的に謝り続けるとか、あほらしいなって。
怒るにしても、育てたいなら説明して納得させるべきじゃん。説明しないで謝らせるだけって、自己満の育成放棄だと思うんだよね。上に立ちたいだけな気がする。
私の捨て台詞ちゃんと拾ってよね!黒歴史量産型「シンデレラになりたガール」
秋カヲリ:こういうお山の大将は男性が多い印象だけど、追いかけられたい願望は男女問わずあるよね。仕事だと男、恋愛だと女が「追っかけられたい」になりがちじゃない? ほら、ケンカすると「もう知らない!」とか言って飛び出して行っちゃう彼女、いるじゃん。
モモモ♡スパークル:ああ、確かに!あれって追いかけられるまでで1セットですもんね。出てって終わりじゃないっていう。
秋カヲリ:そうそう。でも一方的なコミュニケーションだから、相手が追いかけてこなかったりして、ケンカが長引いたり悪化したりする(笑)シンデレラに憧れすぎなんだよね。ガラスの靴代わりに感情的な言葉を残して、走って立ち去って、あとは探され待ちっていう。
モモモ♡スパークル:とんだガラスの靴ですよね。投げつけられた側は、破片が刺さって痛いだけ。
秋カヲリ:コミュニケーションにおいて感情は大事だけど、暴発するといいことないからね。北風と太陽みたいに、ポジティブな感情はプラスに働くけど、ネガティブな感情はマイナスに働くから、ネガティブな感情を伝えるなら理論的に伝えたほうがいいもん。「こういう理由で私はつらいから、こうしてほしいんだよね。いかが?」っていう対話をしないと。
モモモ♡スパークル:私は怒らないタイプで、むしろマイペースゆえに怒られることのほうが多いんですけど、向こうが怒ってだんまりになっちゃったりとか、話し合いできないとソワソワしますね。何も言ってくれないから、え、なんで怒ってるんだろう、とずっと気にしなきゃいけないっていうか。
秋カヲリ:その人はその人でしんどいんだろうけど、実際は自分本位で相手に負担をかけるコミュニケーションだもんね。シンデレラだって勝手にガラスの靴落としていって、王子が一生懸命探して見つけてくれたわけじゃん。王子に丸投げだもん。まああれは意図的じゃないけど。
モモモ♡スパークル:昔のお姫様は受け身ですからね~。カヲリさんはちゃんと話し合ってくれそうですね。
秋カヲリ:………。
モモモ♡スパークル:え?どうしました?
秋カヲリ:さすがに大人だし、できるだけ言葉で伝えて話し合うように気を付けてるけど、そういえば大学生の時は彼氏の家を飛び出したりしてたわ……。しかも追いかけられたがってたわ。彼氏の家の前の川辺に立って、後ろチラチラ見たりしてた……うわー恥ずかしい!川があったら飛び込みたい!!
モモモ♡スパークル:意外!!
秋カヲリ:元彼に「そうやって出ていくとこ嫌い」って言われたの、思い出した…!でも元彼も感情的になると処理できなくなって「寝る!」ってタイプで、やるせないから私は家を出るってスタイルだったな。私がいないのを見て焦るがいい!って復讐心もあったよ。お互いにダメだね。やっぱり話し合いしないとダメ!絶対!!
モモモ♡スパークル:心理カウンセラーでも感情のコントロールってうまくいかなかったりするんですね~。
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▼プロフィール
秋カヲリ(文):平成2年生まれ。文筆家・心理カウンセラー。元恋愛依存症の既婚・子持ち。気になったら試さずにはいられない好奇心旺盛な心理オタクで、思ったことは大体口に出す。エヴァが好き。▶Twitter
モモモ♡スパークル(絵):平成5年生まれ。漫画家・イラストレーター。カリフォルニアでアートとイラストレーションを学んだバイリンガルで、来るもの拒まず去る者追わず、ぼーっとしているのが好き。ゆっくり動く。▶Instagram