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背中に「ええよ」が気持ちいい。そんな喫茶店。

昼間から3人組がビールを飲んでいる、年末のとある日。ちょっとうらやましく思いつつも、妻と娘と来ているので、ここはグッと我慢。別に話を聞くつもりもないけど、めちゃくちゃ声がでかいから、どうしても耳に入ってくる。どうやら、どこかのMくんという人の話らしい。

あまりよい話ではなさそうなので、娘と妻との喫茶時間を楽しむことにする。ホットケーキを頼んで、ブレンドと言わず、敢えて「コーヒー」と言う。そう、ここは下町の喫茶店。抽出したコーヒーを手鍋で温めた、熱々のコーヒーが出てくるところ。シュガー2本とミルクをすべていれて飲む。なぜだか、今はそれが正解だと確信する。

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背後のドアが開いた。店主の娘らしき人が、孫とともに顔を出した。「帰るわ」と一言。突然、店主が孫に手招きをした。そして、孫の手を引く。

何となく聞こえたのは、この前豚まんもぉたおばちゃんやで。っといっているような…。「ちゃんとお礼を言いなさい。」これははっきり聞こえた。先ほどの大声の3人組のもとへ、孫二人がお礼をいいに行く。少し不安な気配を漂わせながら。

同時に、たばこの匂いも漂いはじめる。娘のミックスジュースを眺めつつ、ホットケーキをほおばる。

Mくん、職場でも声でかいねん。という、めちゃくちゃでかい声が聞こえる。かと思うと、今度は「お代わり」。ビールが追加される。

濃厚な時間を、甘い「みぃこ(ミーコ)」で受け流す。そして、つられて自分もお代わりを頼む。なぜか今度はシュガーが1つだ。ブラックで飲んだ。温め直しの独特の香りが、賑やかしい店内のバランスを保っている。

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帰り際、店主がうちの娘にカステラを手渡す。
娘は、恥ずかしがって「ありがとう」が言えない。「ちゃんと挨拶せなぁ。」と、ちょっと大きめの声で娘にいいながら外に出ると、背後から「ええよ、ええよ」と言う声がきこえてきた。自分の生まれ育った町の日常。そんな気がして、少し誇らしかった。

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