デカ盛り飯のトラウマ
昔から小食です。
子供の時には親から「あなたは霞を食べて生きているみたい」というくらい、好き嫌いも多くて、量も食べられませんでした。
お酒を嗜むようになってからは、驚くほど好き嫌いはなくなったものの、相変わらず量は食べられません。
飲み放題はいいですが、「食べ放題」というキーワードには何の魅力も感じられません。
若い部下と昼食に行こうとすると、揚げ物のドカ盛りとか味は二の次で量で勝負といったお店に案内されて辟易することがよくあります。
それでも、たまには美味しい揚げ物とか洋食ランチを食べたくなることってありますよね。
神戸で仕事をしていた頃にも時折そういう衝動がありました。
神戸はなぜか洋食屋さんが多いイメージもあって、気になるお店は何店か押さえていました。
事務所の近くの神社の脇にこじんまりとした有名な洋食屋さんがあって、たまにふと思い立ってランチに行くことがありました。
大振りのエビフライやデミグラスソースのかかった俵型のハンバーグ、それから筒状にこんがり揚げられて厚めにカットされたヘレカツ、そして大きく盛られたキャベツとお皿に色を添えるケチャップ色のスパゲッティ。
それらのコンビが各種定食にあって、おかずの量やキャベツの量が多いのもさることながら、別の平皿で出されるライスの量のとにかく多いこと。
普通に頼むと普通サイズのライスが出てきますが、そのままだとお茶碗3杯分くらいの山盛りの量が出されてしまいます。
食いしん坊が沢山集まるお店なので、あえて「大盛りで」なんて頼む客が結構いるのですが、対応する女将さん風のがっしりした体格のお姉さんはそういう時は満足そうに微笑んで、まるでエアーズロックやピラミッドのような山盛りの量のライスを「はい、大盛りね」と嬉しそうに給仕します。
私はといいますと、「えーと、キャベツ少なめの、ライスは小の小で」と恐縮するように頼むと、女将さんからは「はい、レディースサイズね」と上から少し見下す感じで蔑むような目で対応をされるという印象をいつも受けていつも萎縮していました。
そして、前述した「はい、大盛りね」の時とはうって変わって、「はい、可愛いやつ」とニヤリと嘲笑うような不敵な笑みを浮かべて小さめサイズのライスをテーブルに置くと、フンッと鼻を鳴らし踵を返していかれます。
まあ、すべては私が勝手に受け取っていたイメージなんですけどね。
それでも、大盛りを食べる人が女将さんの中では評価が高く、「よくそんな小食のくせにウチに来たな」という私みたいな人への評価は低かったのではないかと思っています。
何の評価か分かりませんが、内心では「ライスのサイズは小さいけれども、オレはそんなに小さな人間じゃないぞ」なんて強がっているのですが、なにせおかずの量も尋常ではないため、最終的にはため息をつきながら何とか完食をして、やっぱりライスは少なめにしておいて良かったとホッとするのでした。
ご飯はやはり「美味しいものをよく噛んで腹八分目」に越したことはないですよね。
美味しい洋食が食べたくて行っていたのか、女将さんに見下されたくて行っていたのかは定かではありませんが、今でも大盛り飯と聞くたびにあのお店のことをよく思い出します。
オチのない話にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
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