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馬鹿夫婦遊び

今日は早上がり…

ちょっと前まではこの時間はまだ明るかったのに、すでに日は落ちて暗くなっている。

中央道脇の坂道を歩いていると前に人影が見える。

もう少し登ると俺は歩道橋を渡る為に左に寄るのだが、前の人影はなんとなく右へ左へウロウロしている。

あまり外では見ない人だよなぁなんて思っていたが、すぐ背後まで追い付いてみると…

そりゃ外では見かけないわけだよ。

家の中でよく見る嫁さんだった。

今日は嫁さん早い時間の仕事だったので、先に帰っていると思ってたのに重ねて、いわゆる「帰るメール」をしていなかったせいもあり、嫁さんもビックリしていた。

家に帰ればお互いに今日の戦利品を並べ自慢大会。

まだまだダイエット中の嫁さんはハンバーグ、じゃがいも、米の三種のみの男メシをかっ込んでいる俺に意味不明なちょっかいをかけてくる。

「男子禁制〜!」♪

「女人歓迎〜!」♪

何を意味して唄っているのかを聞く意義も感じなかったが、男の人以外で楽しもうとしている感じは理解できた。


「プリンターの設定がさぁ…」

なんだよ、どうしたいんだよ?

それならああやってこうやって…

「それをやろうにも、まずはこの鼻くそをどっかに置かないと手が空かないんやて〜」

じゃあまず鼻くそを片付けろよ…

「だってこんなに長くて透明なヤツだし…」

どれどれ…オォすごいな!

透明具合&乾燥具合もなかなかいいな!

我が家では“クリスタル鼻くそ”という名前で嫁さんが呼ぶ宝物だ。俺がスピルバーグならインディジョーンズシリーズで撮っているだろう。


「この用紙はどこに入れればいいやろか?」

厚手のヤツやで後ろからがいいよ。給紙の設定も変えろよ。

「曲がって出てくる〜」

ちゃんと用紙のガイドも合わせろよ〜。ほら、両サイドのガイドを用紙に合わせてさぁ。

「出来た〜!」

紆余曲折はあったが嫁さんの印刷作業は終わったようだ。

大半のことは独りでこなす嫁さんだが、時折頼ってもらえることで、俺が満たされているってのは嬉しい…っていうのは計算なのか?まあそれでも全然かまわんのやけど…

夫婦でありながらその接し方をほぼ気にしたことはないのだけど、やはり俺が嫁さんの手の上で転がされているのかもしれんなぁ。

ところで鼻くそは何処に行ったのだろう…


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