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内面を感じさせる漫画の描き方【構図&カットバック】を説明します(レシピNo.4)


「暖かい日」という漫画を描きました。カフェにいる女性が何かを考えている感じで、木漏れ日の絵が女性キャラクターの内面の風景になっています。

この表現は構図とカットバックを使って描きました。構図とカットバックを使うと、キャラの表情と風景の絵を重ねて、キャラクターに内面があることを表現できます。

内面を描くことは魅力的なキャラクターを立てるのに役に立ちそうです。この構図とカットバックを描く手順の説明と、使った構図の解説を描きましたので下の2ページの画像をごらん下さい。

右が漫画を描く手順で、左が構図の解説です。画像が小さいので、文字が読みにくいですね。(画像クリックで拡大できます。また、この記事の下の方で高解像度の印刷用PDFがダウンロードできます)

下記に補足を入れつつ説明していきます。まずは、どんな事が書いてあるのか目次をご覧ください。


組み合わせる素材を用意しました

カットバックしやすそうな2つの素材を用意しました。構図の取りやすそうなものを選び、くわえて、関係性があるような組み合わせを選びました。下の画像がそうです。

上の段は、木漏れ日の風景です。下の段は、キャラのアップとカフェの風景です。

木漏れ日は、輪郭で表現でき、風で揺れたりしそうな感じの流れにしました。クローズアップやアウトで柄の表情が変わります。

アップ+カフェは女性のキャラクターのアップの後ろにカフェの風景があります。アップのキャラはズームせず大きさを固定し、アングルをだけを回します。

くわえて、何かを考えて目をつぶる演技をしてもらいます。

組み合わせる手順

この2つの素材を組み合わせて漫画にします。カットバックと構図という漫画技法を使っていきます。その手順を説明します。


1.プロットとして絵の流れをイメージする

まず、木漏れ日とアップ+カフェの絵を交互にカットバックさせてどんな感じにしようか、イメージします。

女性のキャラが何か考えていて、それは、暖かな春の木漏れ日のようなもの、とイメージします。

カットバックとは交互に絵の流れを入れたりすることです。 


2.構図とカットバックを使うとアイデアを出す

そのイメージを表現するには、「カットバックされる2つの絵の流れを構図で繋ぐ」とアイデアを出します。2つの絵の流れに構図で関連性を出すと、それはキャラの内面を表しているように見えたりします。

同じような曲線で分割された構図を4コマに使い、2つの絵を交互に入れました。この様に構図を何らかの方法でつなぎつつ交互に絵を替えて、カットバックさせますと色々な感じにつながって見えます。木漏れ日の絵は輪郭で構図を作れます。アップ+カフェの絵は遠近の背景をぼかすことで構図を作れます。

上の画像がその説明です。吹き出しで説明を入れています。

上の吹き出しは構図とカットバックの説明です。余白と絵が円の曲線で大体区切られているのが構図です。グリーンに塗られたコマが木漏れ日で、グレーで塗られたコマがアップ+カフェのコマで、その2色が交互になっているのがカットバックです。

下の吹き出しは、構図を作るコツを説明しています。


3.構図だけのネームを描いてキャラクターと内面を考える

絵よりも先に構図の流れのラフをとります。1.で決めたイメージ通りになるよう、カットバックする絵を想像しながら構図を取ります。さらに構図の流れが感情変化のストーリーに見えるようにコマを割っていきます。

1段目には曲線の分割線で反転させた構図を使っています。何か考えているようです。2段目には左右対称の構図を使っています。キャラ自身と木漏れ日を比べているようです。3段目は円の図形を拡大と反転させた構図を使っています。まるで見ているように木漏れ日のことを考えているようです。

上の絵と吹き出しの説明のように、どんな風にキャラクターとその内面が、変化していくのか考えて構図を入れました。

1段目は反転で木漏れ日がキャラの内面だとしめし、
2段目は比較することで対比してるような感じにし、
3段目でスッと真っ直ぐにキャラと木漏れ日を通す感じです。

この段階では本当に構図だけでネームを書きました。難しそうですが、2つの絵にどんな風に構図を入れられるか、2.のアイデアを出す段階で確かめたので、大胆に構図だけで考えます。


4.書き直しながら下書きする

構図を崩さないよう絵を描き込みます、うまくいかなかったら、構図を直して描き直します。これでいいとなったら、ペン入れをして出来上がりです。


使った構図の解説

下の画像を見てください。左のグレーのコマが、漫画から取り出した構図です。右のコマのブルーの部分を見てください。どこを構図として取り出したのか分かると思います。

上段、中段、下段で、3つの構図を使っていて構図が対になっています。この3つに番号を振りましので1つづつ説明します。

①同じ構図で余白と絵の部分が反転しています。余白だった所に次のコマでは絵が入るので、関係性が生じます。

②左右対称の構図です。対象なので右と左に置かれた絵が比較される感じです。存在感が増します。

③2つとも同じ円の構図です。余白と絵の部分が反転していて、円の構図が拡大されています。関係性が生じつつ真ん中が強調されます。

このように色々な構図を使うことで、色々な内面があるようにできます。

入れ替え柄パターン

木漏れ日の絵を他の絵に入れ替える事ができます。木漏れ日とはまた違った雰囲気になります。下に2種類、描いてみました。それぞれ構図を意識して描きました。

④水の柄です。水が流れている様な静かな感じになるでしょう。

⑤石畳の柄です。整然と並んでいる感じになるでしょう。

まとめ、構図が取れる素材を用意すれば初心者でも簡単!

構図とカットバックを使って、キャラクターの内面を表現することは、難しそうですが、絵に構図を入れることができれば、そんなに難しくないと思います。

なので初めに、輪郭で構図を取れたり、遠近をぼかせるような奥行きのある舞台を考えればいいと思います。構図が取れる素材なら、組み合わせで内面を表現するのは初心者でも簡単だと思います。私でもできたのですから。

構図やその繋がりは、ここで紹介した方法以外にも沢山あると思います。構図を取れるようになればキャラクターの色々な内面を表現出来る様になると思います。

あと、補足ですが。キャラクターの内面を表すモノローグもこのように構図を考えて入れればとても効果的だと思います。漫画のモノローグは文字であると同時に、絵である要素でもあります。モノローグを絵の中に入れ込むことは、上記で説明したようなカットバックを使っているみたいだと思います。

ですので、構図とカットバックを使って繋がりを考えて配置を決めたら面白いとおもいます。

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この記事はnoteのマガジン、「サイレント漫画の作り方レシピ」の中の1つの記事です。1ページのサイレント漫画と、その漫画の描き方についての記事をまとめています。



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