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イギリス総選挙 2024:民主主義の勝利

イギリスの総選挙が7月4日に行われ、一夜明けた本日、結果が確定しました。すでに日本でも報道されている通り、労働党の圧勝です。

ちなみに私は日本にいた頃から、地方選挙、総選挙とも欠かさず投票しています。当然、日本国籍を離脱する前は日本の選挙で、それ以降はイギリスの選挙です。


海外在住でも投票できます

今回のイギリス総選挙は、先週、デンマークから郵送で投票しました。
事前にオンラインで登録しておくと、投票用紙が海外(私の場合は、デンマーク)の自宅にエアメイルで郵送されてきます。封筒には「遅れるな、いますぐ開封しろ」と太字で明記されてあります。なかなかの圧です。

イギリスに帰化する以前、日本人として(=日本国籍で)イギリスに在住していたころは、在外選挙制度を利用して日本の選挙に投票していました。

日本の制度だと、海外在住者は現地の日本大使館に出向いて「在外選挙人名簿」への登録申請をしないといけないと思います(20年以上前のことなのでうろ覚えですが)。登録くらい、どうしてオンラインでできるようにしないんでしょうね。まぁ、日本の役所仕事なので、遅れているのは仕方ないですが。

多少は面倒めんどくさくても、投票する権利が与えられている以上、権利は行使しましょう。選挙を通して政治に参加するのは、国民の権利であるだけでなく、責任でもあります。

選挙に行かないのは愚の骨頂

イギリスで私がまだ院生だった時、現地で知り合った日本人女性で、「選挙には行かない、行っても、あえて白票を投じてくる」と、ドヤり顔で主張するひとがいました。その人も確か現地の大学の留学生であり、私よりもだいぶん若かったと思います。

なんでちゃんと投票しないのかをたずねると、
彼女いわく、「今の日本政治は腐っています。投票したい党も候補者もいないし、どの党に投票しても変わりません。それを思い知らせるために白票を投じてくるんです。それも嫌な時は、棄権して意思表示をするんです!」

は…? なにそれ、意味不明なんですが。

今の政治がダメだと思うんなら、なおさら投票にいくべきだし、ろくな候補者がいないなら、一番マシな候補者に投票すべきです。どれがマシかわかんなーい、というのであれば、選挙公約を読んで判断しましょう。

カネや縁故で絶大な力をすでに確立している与党(日本でいうと自民党)は、棄権や無効票がふえれば有利になるので、むしろありがたいのです。

ましてや白票や無効投票をするなど、愚の骨頂です。集計する人の手間を増やすだけの迷惑行為です。

前述の彼女は、確か教育学かなにかを専攻していたと記憶していますが、論理が破綻しているというか、こういう人には教育にたずさわって欲しくないな、と思いました。

選挙は有権者が権力を行使する機会

話をイギリス総選挙に戻すと、今回の労働党圧勝・保守党惨敗の結果は、労働党の勝利というよりも、民主主義の勝利を象徴する、と思います。

何を隠そう、今回は私も労働党に投票しました。そういうと、あ、こいつは左翼、とレッテルを貼る短絡的な人がいるので補足しておくと、私の場合、支持政党はその時によって変わります。あえて分類するなら、自分はいわゆる「政治的関心が高い無党派層」、ようは浮動層に属します。

実際、2015年の総選挙は労働党ではなく保守党に投票しました。ただし、2期目のキャメロンが散々だった上、彼がイギリスをEU離脱に導いた張本人なので、私はこの時の自分の選択を深く後悔しています。

今回とて、労働党が勝ったと言っても、現在のイギリスは問題山積なので、イギリスの政治や社会がどうなるかはわかりません。でも、14年間におよぶ保守党政権にストップをかけたことが重要なのです。

実際、イギリスの与党政権は変わります。保守党、労働党、連合その他、と数年ごと、あるいは総選挙のたびに政権が変わることもあります。
それが民主主義というものです。

ちなみに、民主主義(democracy) の語源は、ギリシャ語の "dēmos" (= the people; 人々) と "kratia" (= power, rule; 権力)を組み合わせた造語です。

長年にわたる闘争のすえ民主主義を勝ち取った欧米社会に比べると、戦後に民主主義のシステムを「与えられた」日本(概念は戦前からありましたが)は、国民が選挙によって政治参加し、政治を変える、という認識が著しく低いです。

今年は、日本でも選挙が目白押しだと聞いています。
日本の皆さん、選挙に行きましょう。

以前、自分のブログ(英国ミニマルライフ)に書いた、イギリスの選挙がらみの過去記事はこちら:
勝者不在のイギリス総選挙」 (2017)
イギリス地方選挙:右派が惨敗」(2017)


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