ヒップスラストは重量を求めるよりも「効かせる」を目的にすることがいいかも
ヒップスラスト:科学的根拠に基づくトレーニングアプローチ
ヒップスラストは、過去数年間でその人気が急上昇し、特にアメリカのストレングスコーチ、Bret Contreras氏の影響が大きいとされています。このエクササイズは、大臀筋(俗に言う「ケツ」)に強く効果を発揮します。
ヒップスラストの特性
ヒップスラストは基本的に股関節だけを動かす「単関節エクササイズ」です。単関節エクササイズは特定の筋肉に焦点を当てやすく、フォームも比較的簡単なため、「効かせやすい」という特性があります。ヒップスラストで大臀筋が強く効くのは、この特性が反映されています。
競技アスリートのトレーニングでは、スクワットやデッドリフトのような多関節エクササイズで基礎的な筋力を鍛えた上で、単関節エクササイズを用いて特定の筋肉に刺激を加えることが一般的です。これらはそれぞれ「メインエクササイズ」と「アシスタンスエクササイズ」として分類されます。
ヒップスラストは単関節エクササイズでありながら高重量を扱うことが可能なため、一時期、スクワットやデッドリフトと並ぶメインエクササイズになり得るのではないかと考えられました。しかし、ヒップスラストの最大のメリットである大臀筋への集中的な効果は、他の筋肉も動員する高重量トレーニングでは半減してしまいます。
効果的なヒップスラストの実施方法
ヒップスラストは「単関節アシスタンスエクササイズ」であるという認識を持つことが重要です。挙上重量を追求すると、他の筋群を動員したり勢いを使ったりして大臀筋への刺激が弱まり、また可動域が狭くなって股関節がしっかり伸展し切れなくなる弊害が起こりがちです。
そのため、ヒップスラストの効果を最大限に享受するためには、効かせることを優先し、しっかりと可動域を使って股関節を伸ばし切ること、大臀筋を使っている感覚を感じながら丁寧に行うこと、動きをしっかりとコントロールする(特にエキセントリック)ことが重要です。
結論
ヒップスラストの人気が出始めた頃は、非常に興味を惹かれました。そして、自分でやってみたり、アスリートのプログラムに加えたりして、このエクササイズをどのように捉えたら良いのだろうと試行錯誤してきました。
その結果、現時点での私の結論としては、スクワットやデッドリフトのような多関節メインエクササイズに取って代わるようなものではないし、それらに並ぶようなものでもないということです。ヒップスラストはあくまでも「単関節アシスタンスエクササイズ」であり、その特性を理解し、適切に活用することが最も効果的なトレーニングにつながります。