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C++プログラミング入門―初心者からその先へ: プログラムの構造を理解する (セクション5/25)

  • C++プログラムは、キーワード、識別子、演算子、句読点などの基本構成要素から成り、正しい構文に基づいて記述される必要がある。

  • プリプロセッサディレクティブは、コンパイル前にソースコードを処理し、main関数がプログラムの実行開始点として機能し、return 0で正常終了を示す。

  • 名前空間を活用して標準ライブラリ(stdなど)のシンボルを管理し、cinとcoutを使った基本的な入出力操作がプログラムの重要な役割を果たす。


「Beginning C++ Programming – From Beginner to Beyond」のセクション5では、シンプルなC++プログラムが内部でどのように構成されているのかを詳しく解説します。これは、最初の「Hello World」プログラムの各行が実際に何をしているのかを理解し、#include や main、using namespace といった記述の意味を明らかにする絶好の機会です。


1. C++プログラムの基本要素

C++プログラムは単なるコードの集まりではなく、コンパイラに何をすべきか伝えるために連携して動作する複数の要素から成り立っています。これらの要素には以下が含まれます:

  1. キーワード

    • C++であらかじめ定義され、「予約された」単語(例:int、return、if、whileなど)。

    • 言語仕様では約90個のキーワードが定義されており、これらは変数名や関数名として再利用することはできません。

  2. 識別子

    • プログラマーが変数、関数、クラスなどに付ける任意の名前(例:favorite_number、myFunction)。

    • 識別子は一定の規則に従う必要があり(例:数字で始めることはできず、スペースを含んではならない)、それに沿って命名されます。

  3. 演算子

    • 算術、比較、代入などの操作を表す記号(例:+、-、*、<<、>>)。

    • 特に、<<(挿入演算子)および >>(抽出演算子)は、C++のストリーム入出力において特別な役割を果たします。

  4. 句読点

    • 文を区切ったり終了させたりするための特殊文字(例:;、{}、())。

    • C++では、文の終わりにセミコロン ; を使用し、コードブロックを { } でグループ化します。

  5. 構文

    • 上記の要素(キーワード、識別子、演算子、句読点)を有効なプログラムに組み立てるための「文法」です。

    • 構文が間違っていると、コンパイラはエラーを返します(例:セミコロンの欠落、括弧の不一致など)。

あなたは以下のような最も簡単なプログラムで、これらの要素を目にしたことでしょう:

#include <iostream>

int main() {
    int favorite_number;                      // キーワード int と識別子 favorite_number
    std::cout << "Enter your favorite number: ";  // 挿入演算子 << の使用
    std::cin >> favorite_number;                  // 抽出演算子 >> の使用
    std::cout << "You entered: " << favorite_number << std::endl;
    return 0;                                   // キーワード return の使用
}

2. プリプロセッサディレクティブ

コードがコンパイラに渡される前に、別の処理が行われます。それが プリプロセッサ です。

  • プリプロセッサ

    • ソースコード内で # で始まる特別な行をスキャンし、処理を実行する別のプログラムです。

  • ディレクティブ

    • 例:#include <iostream> は、入出力ストリームの機能(std::cout や std::cin など)を提供するために使用されます。

    • #if 、#else、#endif などは、コードの一部を条件付きで含めたり除外したりするために使用されます。

  • C++を理解しない

    • プリプロセッサは生のテキストを処理するだけであり、C++の文法自体は理解しません。コメントの削除やファイルの挿入、条件付きコンパイルなどを行い、その結果をコンパイラに渡します。

例えば:

#include <iostream>     // プリプロセッサはこの行を認識し、iostreamの定義を取り込みます

このように、プリプロセッサがすべてのディレクティブを処理した後、コードはC++コンパイラに渡されます。


3. コメント:シングルラインとマルチライン

コメントは、コード内に残す人間向けの注釈です。コンパイラはこれらのコメントを無視します。

  1. シングルラインコメント // // これはシングルラインコメントです int x = 0; // コードの後にコメントを記述することもできます

  2. マルチラインコメント /* ... */ /* これはマルチラインコメントです 複数行に渡って記述できます */

ポイント

  • 明らかなことをコメントしない(例:「aとbを足す」など)。

  • 複雑な部分や、なぜその方法を取ったかの理由を説明するのにコメントを使う。

  • コードを変更した場合、コメントも更新することが重要です。


4. main関数

C++プログラムを実行すると、オペレーティングシステムは特別な関数である main を呼び出します。

なぜ int main() なのか?

  • C++では、プログラムごとに 1つだけの main 関数が必要です(小文字で「main」と書かなければなりません)。

  • return 0 は、プログラムが正常に終了したことを示します。0以外の値はエラーコードとして扱われることがあります。

main関数の2つのバージョン

  1. int main()

    • 引数を受け取らないシンプルな形式。

    • コンソールアプリケーションなどシンプルなプログラムに適しています。

  2. int main(int argc, char *argv[])

    • コマンドライン引数を受け取る形式(argc は引数の数、argv は引数の配列)。

    • より高度なアプリケーションや実際の運用プログラムで用いられます。


5. 名前空間(Namespaces)と std::cout の理由

名前空間 は、複数のライブラリが同じ名前の識別子を使用する場合の衝突を防ぐために導入されました。

  • std は、C++標準ライブラリの名前空間です。

  • std::cout は、std 名前空間内の cout オブジェクトを指します。

  • using namespace std; と宣言すれば、以降 cout や cin を直接使えます: #include <iostream> using namespace std; int main() { cout << "Hello, World!"; return 0; }

  • ただし、大規模なプロジェクトでは、すべての名前を取り込むことによる衝突を避けるため、必要なシンボルだけを取り込む方法もあります: using std::cout; using std::cin; using std::endl; この方法は、必要なシンボルのみを明示的に取り込むため、名前の衝突を最小限に抑えられます。


6. 基本的な入出力:cin と cout の使用

C++は、入出力をストリームとして抽象化しています:

  • std::cout:標準出力ストリーム(通常は画面に出力)。

  • std::cin:標準入力ストリーム(通常はキーボードから入力)。

  • 挿入演算子 (<<) は、出力ストリームにデータを送るために使われます: cout << "Hello, World!" << endl;

  • 抽出演算子 (>>) は、入力ストリームからデータを読み取り、変数に格納するために使われます: int age; cin >> age; cout << "You entered " << age << endl;

ホワイトスペースの扱い

  • cin は、数字の読み取り時、数字以外の文字(空白や改行)に出会うとそこで読み取りを終了します。

  • 例えば、10.5 と入力した場合、整数型に読み取ると 10 が格納され、.5 は次回以降の入力に残ります。


全体をまとめると

最小限のC++プログラムの例は以下のようになります:

#include <iostream>      // プリプロセッサディレクティブ(ヘッダーファイルの読み込み)
using namespace std;     // 標準名前空間の使用

int main() {             // C++プログラムのエントリーポイント。必ず1つだけ存在する。
    // ユーザーに整数を入力させるプロンプトを表示
    cout << "Enter your favorite number between 1 and 100: ";
    
    int num;           // 変数の宣言
    cin >> num;        // 抽出演算子を使って入力を読み取り、変数 num に格納
    
    // 入力された数値を画面に表示
    cout << "You entered " << num << endl;
    
    return 0;          // プログラムの正常終了を示す
}

これにより、以下のことが理解できるようになります:

  1. キーワード識別子 の違い

  2. 演算子句読点 の役割

  3. プリプロセッサディレクティブ が行う前処理

  4. コメント の書き方とその意義

  5. main関数 の必須性とその構造

  6. 名前空間 を利用する理由とその使用法

  7. cincout を使った基本的な入出力の方法

この基礎を身につけることで、どんなに大規模なC++プログラムでも、その構成要素がどのように連携しているのかを理解できるようになります。そして、次のステップである変数、関数、クラスといったより高度なトピックへとスムーズに進むための土台が築かれます。

これでプログラムの構造が分かったので、次は変数やそれ以降の概念について学んでいきましょう。ハッピーコーディング!


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