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「PICKAROON!」観劇しました

 前作品(パラデュール)の千穐楽にマチソワ両方観て途中で頭と尻の限界を迎え、「次は別の日に観劇するぞ!」と決意したのに今回もまたチームA、Bを同日に観劇した学ばないお馬鹿こと宮野葉月です。何故なのか。
 本日は劇団壱劇屋東京支部の舞台「PICKAROON!(ピカルーン)」を観劇しました。

記憶を失くした私のたったひとつの手掛かり。
傍に落ちていた7冊の日記。
少女と七人の盗賊が描かれたそれは、私のこれまでの人生が詰まった物語。
かつて"お姫"と呼ばれていた私。
ページに残るは、想い出の言葉たち。
記憶の欠片を抱き締めて、私は旅に出る。
―――
それぞれが名の通った、個性豊かな7人の賊。
天子様がおわす城へ忍び込んだ彼らが盗み出したのは一人の赤子だった。
赤子の存在を鎹にして、七人の奇妙な共同生活が始まる。
その赤子の出生にまつわる陰謀が、明かされるその日まで。
主人公不在でお届けする今作は、己が野望のため七人のPickaroon(=悪党)が入り乱れ斬り結ぶ、超超超エンタメ活劇!

パンフレット記載 あらすじ

「赤ん坊が泣いたときは全力で赤ん坊に向かい合うこと」「赤ん坊を立派な大人にすること」
 これらのルールを定め、天子の寝所から盗んできた赤ん坊こと御姫(おひめ)と、7人の盗賊が共に暮らす。赤ん坊だった御姫はやがて成長し少女になった。ある時盗賊達は、賊を捕らえようとする男、佐久間(さくま)に追われる事になる。更に佐久間は御姫を、国を統治し民衆を導く為の傀儡(=天子)にしようと企んでいた。
 7人の盗賊達は御姫を守る為に戦い、日記を託して御姫を異国の地へと逃した。
 独り異国に辿り着いた御姫は記憶を失くしてしまっていたが、御姫に声をかけた女性に促され、日記を読んで全てを思い出す。

 ――という物語でした。(とてもざっくりです)


 ここから少し推し語りです。
 私が気になっている壱劇屋東京支部の役者さんがAチーム、客演の役者さんがBチームと綺麗に分かれ、更にどちらも紙研(しげん)と伊武(いぶ)という2人のキャラクターでした。何たる偶然……

 今作品の推しキャラクターは紙研さんです。最初から最期まですごく綺麗でした。見た目の華やかさや上品な雰囲気も、その口から出た他の盗賊達への「だっせえなあ」という言葉も最高でしたね。とても好みです。Aチームの紙研は女性、Bチームの紙研は男性でしたが、どちらも父親のような、それでいて母親のような感じでした。儚げな雰囲気を纏う(ように見える)しっかり者です。7人の中ではかなり冷静な方ですね。
 紙研は太陽に弱く、日の光で肌が焼けてしまう為、日中は白い番傘をさしていました。そしてその傘に貼られた紙を自在に操り、戦う事ができるのです。つまり白紙は推しのグッズ……?
 勿論、紙は無限に出てくるわけではなく、全て使ってしまえば番傘は骨だけになってしまう。そうなれば日光に当たってしまう。そんな紙研の夢は「太陽をぶっ壊す」ことでした。
 最も印象的だったのは、物語の最終局面、佐久間とその兵士VS盗賊達の戦闘中、御姫を逃がすシーンです。兵士に追い詰められた御姫を助け、逃がす為、紙研は番傘の紙を全て使い切ってしまいました。晴れた昼間、光を遮る物を失った紙研は、自らが作った紙の羽で空を舞う御姫を見て「綺麗だ」と言いながら日の光に焼かれてしまったのです。もう涙が溢れて止まりませんでした。

 気に入っている役者さん達が演じていたもう1人のキャラクター、伊武について。
 自分では喋らないが、様々な人間の顔を描き、描いたその人物になれる者でした。喋る時用の顔、文字を書く時用の顔、話を聞く時用の顔、踊る時、歌う時、町中で話しかけられて美味しい物を聞かれた時etc……とにかく色んな人間になれるキャラです。それらを駆使して盗賊として仕事をしたり、人とコミュニケーションを取ったり、戦ったりしていました。
 伊武が持っている筆の中に1本特殊な筆があります。それは一度だけ描いたものを具現化できるというもの。
 1回目に見た時は「話題にはなったけどいつ使っていたんだろうなあ」と思っていたのですが、2回目に見た時最後の最後で気が付きました。
「独り異国の浜辺にいた御姫に話しかけた女の人だ!!」
 
独りになってしまった御姫に話しかけて日記を読ませ、背中を押し、生きる活力を与えてくれた貴女!! 最後その女性は旅に出る御姫の背中を見送ったら消え、残った紙には伊武が描いたであろう似顔絵が……
 気づいた瞬間号泣しました。何という作品なんだ……そして千穐楽翌日の朝、その女性を演じた役者さんのツイートで、女性は伊武が日常で人の話を聞く時用の顔として描き、使っていた顔でした。そこが繋がるのか!!
 
 竹村さん(脚本/演出)すげええええ!!! と感激しています。いやあ凄い。伏線回収の天才ですね。今回もまた、人が人を想い、人の為に戦う、そんな物語でした。

 もう1つ言いたい。
 ラスボスである佐久間が最後の最後七賊の1人である男虎(おのとら)が現れた時に自害した理由についての考察。
 あの時、見た目では分からないが佐久間も恐らくかなり疲弊していたでしょう。しかしそれ以上に男虎が満身創痍だった筈です。背中に沢山の剣やその他武器が刺さっていましたから。その状況で数秒対峙した後、佐久間は剣で自らの首を斬りつけました。何故?

  • 佐久間は自分が男虎には勝てないと知っている(悟った)から?

  • その上で自分を憎む男虎に、母の仇を取らせなかった?(佐久間は男虎に男虎の母への不穏な発言をしていた為。そしてその母は既に死んでいたことから、佐久間が殺したのではないかと推測している)

  • あるいは男虎の気迫に負けた?

 1つめと2つめの理由じゃないかと私は考えています。どうなんでしょうか?
 答えがどこかで出されるのかもしれないし、出てこないかもしれない。どちらでも良いです。考えるのは受け取った側の特権ですからね!

 全キャラダブルキャストの公演があっても今度こそは2日に分けて観たいです。

 ここまでお読みくださり、ありがとうございました! 



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