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キャリコンことば辞典その4:「内省」と「反省」はどちらも自分を振り返る行為だけど…フォーカスする点はどっち?

キャリアコンサルタントの勉強ではおなじみの「内省」。
もちろん、メンタリングやコーチング・カウンセリングでもよく使います。
一方で、子どものころから悪いことをしたり、何か失敗したときに言われることが多かったのが「反省」ではないでしょうか。
反省文、始末書…書いたことがある方もいるのでは?

どちらも「省(かえり)みる」という同じ字が使われていて、一見意味もさほど変わらないように感じる「内省」と「反省」
今回は、キャリアコンサルタントの視点で「内省」と「反省」について考察します。


どちらも「自分自身の行動や思考を振り返る」こどたけど…

「内省」も「反省」も、基本的に自身の行動や思考を振り返るという点では同じです。しかし、いくつかの重要な違いがあります。

「内省」と「反省」の違い

・「内省」は客観性と成長、前向きがテーマ

「内省」では、客観的な視点で自分の行動や思考を俯瞰し、客観的に観察するのが特徴です。
ある出来事や感情・結果について、良い点だけでなく、悪い点、成功したこと、失敗したことなど、あらゆる側面から多面的に振り返ります。

また、過去の経験を踏まえてそこから学びを得て、将来の行動に活かすための手段として捉えていくのが特徴でもあります。
結果的に「内省」は、自分自身に対する理解を深め、自己成長を促す行為だと言えるでしょう。

・「反省」は主観的で改善、悪い点にフォーカスする

対する「反省」は、主観的な視点で出来事の中でも特に失敗や間違いに焦点を当て、自己批判や自責的な側面に強いフォーカスを当てるのが特徴です。
悪い点や失敗に限定して振り返ることが多いと言えるでしょう。

主観的に悪い点や失敗の中から見出した事象をどう修正し、同じミスを繰り返さないためにはどうしたらいいのか手段や方法を考えるのも特徴です。
いわば、過去の過ちから学び、改善するための行為だと言えます。

どちらも大切なことですが…使い分けることが重要

「内省」と「反省」は、どちらも大切な行為です。
どちらか一方だけを多用すれば、思考や視野にゆがみが生じます。状況や目的に応じて使い分けることが重要ではないでしょうか。

「内省」は、自己成長をしたい場合や、より広い視点で自分自身を見つめ直したい場合に。
「反省」は、具体的な問題を解決したい場合や、過去の過ちから学びたい場合に。
それぞれ、場面や状況によって使い分けていけば、より自分の内面を見つめ直し、様々な気付きを得られるはずです。

現代社会では、単に失敗を責めるだけでは何も解決しません。
その原因を深く分析し、より良い解決策を見つけて実行するることが求められています。
「内省」は、このような状況に対応するための重要なスキルとしてビジネスやカウンセリングなどで重視されるのです。

「内省」はキャリアコンサルティングやカウンセリング以外でもできるのか?

「内省」は、キャリアコンサルティングやカウンセリングなどを受けて、第三者の視点を取り入れることで進めることもできますが、ある程度なら自分自身だけでも可能でです。
例えば…

・日記をつけてみる

その日の出来事や感情の動きを記録することで、客観的な視点を得ることができます。
最初は単に事実の羅列になるかもしれませんが、箇条書きでもいいので書き出す習慣をつけてみると、判断力なども鍛えられるでしょう。

・瞑想や座禅をしてみる

心を落ち着かせ、リラックスして自分の内面と向き合う時間を作ることも有効です。
私たちの脳は、多くの情報を処理して疲れ切っています。深呼吸しながらホッとする時間を作ることは、気分転換だけでなく、疲れをやわらげ、思考を整理する上出も有効だと言えるでしょう。

・信頼できる友人や先輩などに相談してみる

カウンセリングなど第三者がいい場合もありますが、信頼できる友人や先輩への相談で気軽に意見を求めてみるのも有効です。
専門的なことについては、その道の専門家へ相談するのが一番ですが、日常的なモヤモヤなどは話してみるだけでもすっきりするでしょう。

「内省」と「反省」を使い分けてよりよい自分への道しるべにしよう

「内省」と「反省」は、どちらも自己成長に不可欠な要素です。
両者を効果的に使い分けることで、より豊かな人生を送ることができます。
キャリアコンサルタントはクライエント(相談者)の「内省」を促す問いかけや展開を求められますが、同時にキャリアコンサルタント自身も「内省」を深めることが大事だと感じています。
クライエントと一緒に「内省」から学び、気づき、成長する…この仕事の醍醐味だと感じる今日この頃です。

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