梨著『かわいそ笑』再び考察メモ
ちょうど去年の今頃に『かわいそ笑』を読み始めたな〜、と懐かしみつつ。
前に読んだときに消化不良だった内容について、もう一度よく考えてみました。
つまりは辻褄合わせのために妄想した記録です。
色々考えたことの垂れ流しになります。
※前に書いた記事↑と重複したことを語っている部分もあるかと思いますが、ご了承ください。
※がっつりネタバレしてるので、読了済の方が推奨です。
考察に使用する用語などは前の記事↑に準じてます。
◆本書が出来る切欠は何だったのか?
・文章で語られている背景から推理するに、『横次鈴』を巡る一連の出来事はだいたい2000年代に起こったものが大半。
・それを現在(2021年頃)になって梨氏がわざわざ取材して、集めた断片を一冊の本にまとめた(2022年刊行)。
……というテイの作品ですよね。
実際は、第一話で “梨氏に怪談話を提供した“ とされる40代女性が、『横次鈴』を呪わせるために色々仕掛けを施した文章を載せた書籍であった、と。
・15〜20年くらい昔の出来事を発端としているのに、何故急に現在で活発化してきているのか?
↑の文章から、“『横次鈴』への呪いは現在までずっと継続されており、それに気付いてなかっただけ“ ということかと。
・細々と続けられていた “『横次鈴』への呪い“ を、梨氏が怪談収集する中で掘り起こしてしまったのかな〜
・第二話の冒頭に「今の時代でも、ネット上に出回る不気味な画像や写真の詳細を追う話題には需要がある」というようなことが書かれています。
死体画像について語っている『20210908.wav 文字起こしデータ』は2000年代ではなく、わりと最近の取材ですよね。
このへんを梨氏自身で調べ始めたのが発端な気がする。
・死体画像について調べるうちに40代女性に目をつけられ、さらなる呪い拡散の手段として梨氏の書籍が利用されたのかな?
・呪いを拡散しようにも、今となっては個人サイトも減ったから名前変換で怪談を読ませることは難しそうだし……同人誌で拡散しても、たかが知れてますよね。
現代で一番、拡散に適していたのはネット掲示板か?
そんな中、一般に流通する書籍を利用することができたなら……
本として物理で残るし、同人誌で敬遠された怪談話という題材でも、ホラー作家の本なら多くの人に喜んで読んでもらえるだろうし、うってつけですよね。
◆40代女性の口パクは何なのか?
・第一話で体験談の後日談のようなものを語る40代女性の様子がおかしくなる描写がありましたよね。
女性の口が早口になってきて、腹話術みたいに口許の動きと声が合わなくなっていって……
じっとこちらを見つめながら口をぱくぱくと動かすだけの怖い状態。
・考えた案は2つあるんですけど。
①40代女性に憑いている何者かが身体を乗っ取って喋らせているから。
②40代女性の姿は仮のもので、本体はブヨブヨの異形。
たくさんいる被害者だか加害者の皮のうちのひとつの姿をとっていただけ。
第五話の最後でパッと消えたところを見るに少なくともあの時点で、もう生きている人間ではなさそうでしたね……
・早口になっていたのは、セリフが決まっていたというか、台本を読むような感じだったのでは?
第五話でのネタバラシにもあるように、本書の構成や内容は40代女性が決めていたようですし。
ここでこの話をする、というのは彼女の中で段取りの一つでしかなかった、とか。
・そんで、このインタビュー時はまだ40代女性も本性を現してなかったから、梨氏は面食らってたのかなぁ……
◆呪いのアレンジ
・最初は、作中の色んな呪いは全部40代女性が考案したものかと思ってたんですけど。
第五話を読むに、“似たようなことをしてる誰か“ が沢山いたようですね。
話によって人物像にブレが出ていることを考えると、40代女性は他の誰かが考案した呪いと怪談を流用したんでしょう。
・第一話に「ここまでに書いた文章はもちろん、元々の話も、すべてが真実であるというわけではありません」とある通り、『横次鈴』を呪わせるために、意図的な嘘や創作部分が混じっていると思われます。
・本書の全体の仕掛けとしては “読者に『横次鈴』を呪わせて【加害者】に仕立て上げる“ というものなんですが……
なんとはなしに人物関係を想像しながら読み進めていくと、気付いたときには手遅れな状況にされているの、すごいですよね。
信用できない語り手に、煙に巻かれているうちに、取り返しのつかないことをさせられてるイメージ。
各話の構成もすごい練られてて、改めてその凶悪さに唸りました!😄
◇各話を読んで想像したこと諸々
以下、「ここはこういう意図なんかなぁ〜?」と勝手に読み取ったことを書いていきます。
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◉第一話 これは横次鈴という人が体験した怪談です.docx
◈『これは横次鈴という人が体験した怪談です.docx』
・ここに出てくる【鬼門線の呪い】は、もとは違う誰かが考案した呪いであり、体験談も別人のものを流用した?
このお話は、おふだ画像の黒塗りに『横次鈴』の名前を入力させる(【名前変換の呪い】)ための布石も兼ねている。
◈『これは横次鈴という人が体験した怪談です.docx』後日談
・次に後日談として、40代女性が最近出回っていたという『横次鈴』のおふだの話を追加。
(これは『りん』のアパートがあっただろう地域に住む友人からの話、というテイの作り話だと推測。)
・ここでは「右上から左下になるように置かれてる、そう読ませている」と【鬼門線の呪い】を読者に強調し、理解させることが目的のひとつ。
・また、タイトルに『横次鈴』と書いておき、お話の中では似たようなイメージをもちやすい『りん』という名前だけを出す。
そして40代女性の後日談を挟むことで画像の黒塗りのところに読者自身で『横次鈴』という名を当て嵌めるよう誘導。(→【名前変換の呪い】を完了)
◈mixiトピック 同人で起こった怪談
・mixiの[23]さんの話は、40代女性がかつて【鬼門線の呪い】を意図した文章で同人誌を出そうとしたが、うまくいかなかった話か。
(→第五話の「縦組みの本で出版してもらって〜」のくだりに対応する内容。)
アンソロで出そうとしたのは、他の作家もいれば、自分の作品も読んでもらえる率が上がると考えてかな?
◉第二話 behead-コピー
◈Amebaブログ「しがないおじさんの独り言。〜つれづれなるままに〜」
・ブログのおじさんが見かけたという画像とスレの書き込みは、おそらく40代女性によるもの。
・「この画像の詳細知りませんか」といっては話題に出して人々の記憶に残るよう工作していたのだと思う。
◈QRコードと首から下だけの女性の画像
・読者は話の流れ上、これがブログで語られていた女の画像だと当たりをつけることになる。
・また、QRコードを読み取ると掲示板のスレッドが表示される。
どうやらブログで語られていたようなやり取りみたいだが……
(後に、脊髄反射でこのページにスマホを向けたことを後悔する仕組み。
QRコード読み取り=【死体画像の全身バージョン】を撮影したことにされている)
◈『ヤバすぎる実話怪談 暗黒の章』
・【首から下だけが写っている心霊写真】についての話。
またもや、ブログで語られていた画像と同一のものだと読者は予想する。
・ここで洋子さんは、【心霊写真画像】を自発的に撮影したことが描写される。
◈『20210908.wav文字起こしデータ』
・どうして「すず(=40代女性)」は死体画像をスレに貼り付けたのか?
その意図を考えてみたんですけど。
ROM専さん同様に、40代女性自身が【死体の幻覚】に悩まされており、その原因を探るための行動だったのかな、と。
つまりは、死体の写真撮影したことが、幻覚の原因なのか探るために、他の人に見せることで確認しようとしたとか?
・アングラ掲示板なので、その画像を自発的に保存する人も多いだろうと予想したのかも。
◉第三話 受信トレイ(15)
・入れ子構造の書き手を整理してみると、こんな感じかなぁ……↓
・第五話のネタバラシで「画像を加工した」発言により、この話の「提供者」=40代女性だとわかります。
・メールの【あらいさらし】の儀式は対象者が男性なので、もとは別の誰かが考案した呪いと怪談を流用か?
【鬼門線の呪い】を混ぜたり、【女の死体画像】も盛り込んでいるので、元の話に色々改変を加えてると推測。
それを「メールで来た」という話に落とし込んだ。
・【あらいさらし】を、本当に話の通りに行っていたとしたら、ずっとトイレで生活してない限り、ドアから出入りするたびに、ドアノブで首を吊ってる死体を動かすことになるのよね……
現実的でないからやっぱり創作だよねぇ……
それかリダンツ中に儀式をしたか。
・あと、どうしても捜索者の話に出てくる「友人男性」が何か引っかかるんだよな……
この人も創作の人物なのかどうか……
整合性を取るなら、この友人男性が『横次鈴』の怖れていた「ゆうれい」に当たる人物っぽいんだけど。
友人男性は執拗にスレッドを検索するよう言ってくるので、おそらく検索した先で、呪い度MAXの【首から上も写ってる女の死体画像】を見て、幻覚に悩まされる状況になってそうなんですよね……
・もしかしたら【あらいさらし】メールを本当に作って知り合い数名に送りつけて、素知らぬ顔で話中のように友人男性と、やり取りをしていたかもねぇ。
・鈴へのメッセージの「ここまでしてあげてるんだから」というのは、形式上は「死者を悼む儀式」である【あらいさらし】をしてあげてるという皮肉かな〜、と思ってたんですけど。
『横次鈴』が自殺するに至った原因の「ゆうれい」に当たる男性を呪ってあげたことを指してたりする??
◉第四話 ##name1##
◈削除されたウェブページのアーカイブ
・このアーカイブ、「まえがき」「あとがき」以外は引用しかないな……
まえがきにあった「あの子が皆さんの心の中で生き続けることを、心から願っています」ってのが、この第四話のキモですかね……
・「りん(=横次鈴)」のサイト小説をわざわざ載せたのは、流れ上、これが次のmixiトピックで話題になっているサイトだと誤認させるためだと思われる。
(詳しくは前の記事で考察しているが、mixi[36]さんが見た名前変換サイトの管理人は『横次鈴』ではなく、40代女性)
・また、あとがきで書かれている「人の想像や心の中で生きている人間」が本書でいう『横次鈴』なんだろうなぁ。
鈴のサイト小説を読むことで、鈴のひととなりを読者に植え付けて「読者の心の中で生きている」ことにする目的もありそう。
◈mixiトピック 同人で起こった怪談
・第一話の同名のトピックの続きだと思われる。
・様変わりした知り合いのサイトにて。
名前変換のテキストボックスの下に「これは横次鈴という人が体験した怪談です」と書かれており、[36]さんはそこにその名前を入力したというが……
よくよく読むと、これ第一話で読者がやらされたことにすごく似てるね……!
うわーー😭
◈微電波コピペ保管庫 ログno.52
・ここには【名前変換の呪い】の詳しい方法が書かれており、読者は『横次鈴』を知らないうちに呪ってしまったということを、うっすら理解させられる。
◈微電波コピペ保管庫 ログno.112
・「書き手(=40代女性)」は夢の話だと何度も念押しをしているが、冒頭の『横次鈴』との電話のやり取りは現実で起こった出来事だと思ってます。
電話口での様子から『横次鈴』は、薬でバッドトリップをして「ゆうれい」の幻覚を見て40代女性に電話をかけてきたのではないか。
・作中では、電話を切ったあと夢の中で『横次鈴』のもとへ駆けつけているが、現実では駆けつけず眠りに就いた。
電話の後、一度落ち着いたかに思えた『横次鈴』だが、結局は幻覚に耐えきれなくなり自殺。
翌朝、40代女性が死体を発見。
……とかになったのかな。
・第五話のお話を前提にして考えると『横次鈴』はリダンツの世界で、現実で憎んでいる男の「ゆうれい」を作り出し呪っていた。
が、逆に幻覚として現実に侵蝕するようになって、それを苦に自殺したのかな。
呪い由来の幻覚を正当化するために薬を使ってた可能性もあるな……🤔
◈あとがき
→これ、【名前変換の呪い】を施した文章をスレッドに貼り付けてる様子が思い浮かぶのですが……
そして「様々な怪談やそれに対する考察を読んでいると、読んでいるだけで薄ら寒い気分に〜」「その書き込みでも本文に負けず劣らず非常に怪奇で陰惨な想像が展開されており〜」なんて言ってるけど、これが目的なんだろうなぁ……
怪談を読んだ人の想像の中で『横次鈴』を酷い目に遭わせる。
「ぜひ、皆さんが考察した鈴さんの恐怖体験を、鈴さんに何が起こったのかをコメントや感想でお聞かせください」
って求めてるし……
◈『ヤバすぎる実話怪談 奈落の章』
・作中で洋子さんが友人に見せられたケータイ画像は【掲示板にアップされている例の心霊写真】。
つまり、この時点ですでに呪いを拡散している。
・この話で、かなり追い詰められてる感がある「洋子さんの友人」ですが、私はこの人=40代女性だと考えてるんですよ。
そんでもって、『奈落の章』の洋子さんと前作『暗黒の章』の洋子さんは別人であり(詳しい説明は前の考察記事にて)『奈落の章』の「偽洋子」=40代女性でもあると考えてます。
・これは40代女性が洋子さんのふりをしてライターに語った話なのではないかと。
そうすると自分の窮地を自分で嘲笑うような変な状況に感じるとは思うんですが……
これについては後に独自見解を述べます。
◉第五話 『0x00000109』
◈検索してはいけない言葉
・これ、最初に「幽霊に合う方法」を見つけて検証してしまった人が、他の人が辿り着かないように、ウイルスサイトだったと嘘をつき、「検索したらだめ」と警告までした。
けど、逆にネット民の興味を引いてしまい特定しようとする動きになった、のよね?
◈幽体離脱・明晰夢スレ
・本書中で説明されている「リダンツ」とは、だいたいこんな意味かと。
・そしてその「リダンツ」の手順と、「幽霊に合う方法」にあった手順が似通っているとの情報が出た。
浅い睡眠時に「怖い幽霊の姿を想像すること」は、金縛りで「幽霊を見ること」と通ずるものがある。
(「恐怖心が心霊現象として具現化」)
→幻聴や幻覚で「幽霊を見る」ことになり、精神が不安定なバッドトリップと似た状態になるらしい。
◈勇気がなくて踏めないURL鑑定スレ
・鑑定スレで『幽霊に合う方法』のサイトについて「PC無害です」「423は有害ではありません」とレスをしていたのはIDから同一人物だと判明。
マナー違反であっても、どうしても「無害」だとアピールしてサイトに誘導したい意思が感じられますね。
・そしてネット民の関心が薄れたときに、URL鑑定スレに「幽霊に合う方法」のリンクが共有されたのは、再び人を呼び集めようとした誰かがいたため?
初めはカウンターが二桁だったのが、この時は三桁になっており、すでに何人もの人がたどり着いていることが伺える。
◈幽霊に合う方法
・異形男性のわかりにくい語りを要約すると……
リダンツ先でのサンドバッグ役を「幽霊」と呼称し、「幽霊」を痛めつけ鬱憤晴らしをするために「呪い」を使った。
そして各自が作り出した幽霊に合う「呪いの方法」を各々が考えるようになった、ということ?
・そもそもこの「幽霊に合う方法」ってサイトは、リダンツにて「幽霊」を作り鬱憤晴らしをする人用に作成されたっぽくないですか?
初見じゃ何のこと……?ってなる文章だから、事前知識持ってる人に向けられたものだと思うのよね。
・そしてハイパーリンクからダウンロードした音声。
「“自殺した人が死ぬ直前の音“を繰り返してるもの」らしいですが……
ひょっとして、この音声聞くことで呪いに加担させられてない?
手順“ にこの音声を配置した人は “他人を使って呪わせる“ 意図を持っていた可能性も……?
・自分と同じように誰かを呪う人が増えれば、その人たちに責任を押し付けて、自分は逃れられるという考え。
そのために、「幽霊に合う方法」という手引きのサイトを作って、新規参加者を増やそうとした……とか?
・異形男性が語っていた「そうやって被害者を上書きして複製して、それを繰り返していったんですね」とは、まんま【名前変換の呪い】では?
どっかから見つけてきた怪談の名前部分を憎い相手の名前で上書きしてコピペして、それを見た別の人がさらに上書きして同様に……って。
・「幽霊に合った方へ」の隠しリンクの先は作中では不明ですが……
ここに各自が考えた 「呪い」 を公開してたりして……
そんで善意の顔で「これ使ってもいいですよ〜」って言って、自分の責任を押し付けようとしてたりして……
という妄想。
・「幽霊に合う方法」で公開されていた手順で夢の中に入り、そこで人を呪うと呪った相手の幻覚を現実でも見るようになるのかな……🤔
あれ、もしかして……地の文強制金縛り体験ツアー参加者は「幽霊に合う方法」の手順で夢に入ったことにされている?
文章中では、音声をダウンロードして再生したまま寝ちゃってるし。
しかも異形男性の語りの合間合間に地の文で「こわい幽霊の想像」もさせられてますね。あ〜〜あ。
そして書籍を読み進める中で、何度も呪いの「加害者」にされてるし、これは逃げ場がないぞ😇
◇40代女性の呪いあれこれを再考察
◉霊体験の消化にこだわる理由
・『微電波コピペ no.112』での話です。
この文章、“鈴という友人の話“、“電話で呼び出された話“、“夢の中で公衆トイレに向かい死体を見つける話“までは、ずっと一繋がりなんですけど、その後の “鈴を死に直しさせる話“ にいく前にだけ、一行空くんですよ。
これ、全部が一晩で見た夢なのではなく、一度途切れて、別日に見た夢なんじゃないかと思う。
・あと、読んでて少し違和感あったのが、「鈴が幽霊を見ること」「鈴が霊体験をすること」を、話者(=40代女性)がこだわってる様子なんですよね……どうしてなのか?
・ムリヤリ理由を考えてみたんですけど……
自分は “呪いと責任の擦り付け合い“の渦中に巻き込まれてるのに、鈴はまだ完全に巻き込まれてなかった(霊体験に至りきってなかった、足りなかった?)ゆえに、死んだことで逃げ切れそうだったから、とか?
勝手に死んだのも許せないし、ひとりで逃げ切るのも許せない。
ので、これから霊体験の消化をさせて鈴を巻き込むことにした?
・プラスして、鈴に「むかついた」腹いせに、40代女性の分の責任も鈴に擦り付けることにしたのかも。
◉夢の中から現実へ
・どっかの誰かが考案した “夢の中で幽霊相手に鬱憤晴らしをする遊び“ は、いつの間にか形を変え、“呪いと責任の擦り付け合い“ に発展していった。
・しかしこの “遊び“は夢の中だけのものだったはずなのに、40代女性は現実世界に引っ張ってきてるんですよね……
呪いの対象が【架空の人物】でなく【実在の人物】になったから?
それとも【死んでしまった人物】だからか?
・呪いを夢の中から現実世界へ引っ張ってきたのは、現実世界の人の心の中で、鈴が【生きている人物】ということにしてもらうためかなぁ。
そうすれば【死んでるけど生きてる】状態となり、中断されてしまった霊体験を再開して、当初の予定通り消化できる……という寸法?
◉第三話の意図を妄想
ここで、新たな思いつきをしたので書いておきます。
・『微電波コピペ no.112』にて、夢の中で「掲示板用の画像」を撮影し、「あらいさらし」に使えそうな布を服から切り取っていましたが……
なんだか思惑があるような動きと口ぶりでしたよね。
・そしてこれらの物品、ちょうど第三話の【あらいさらし】メールに出てくるものと一致しますね。
(あらいさらし用の布は死体が着ていたセーラー服の穴と合致しそうだし。死体画像もメールに添付されている)
もしかして “鈴が生きてるうちにできなかった霊体験“ を第三話で消化している?
・そんでもって「彼女を死に追いやった幽霊もどき」に対して「そちらも早めに処理しておかなければなりませんでした」とあるから、ついでに第三話の【あらいさらし】の儀式で「追悼されていた男(=ゆうれい)」を処理した可能性……😐
◉鈴を巻き込んだあとどうなった?
妄想がどんどん強くなっていきますよ〜
・40代女性の地道な工作のおかげで、【死んでしまった鈴】を【死んでるけど生きてる鈴】にすることに成功。
当初の思惑通り、“呪いと責任の擦り付け合い“の渦中に巻き込むことができた。
して、その後は……?
・第四話の『ヤバすぎる実話怪談 奈落の章』のような状況になったと推測します。
呪いの責任逃れに失敗し、ブヨブヨの異形となった鈴につきまとわれる生活。
結局、他人に呪わせようとしても逃れられない仕様だったんですよね。
この呪いだか呪い返し。
しかし、ここでお話が終わりになるわけではない。
現在まで呪いは続いてましたよね。
◉呪いを続けた理由
・あのあと、40代女性がなんとか人間の姿を保てていたのなら、自身で。
あるいはブヨブヨ異形の仲間入りを果たしていたなら洋子さんあたりを操って【鈴の死体画像】についての話題をネットで上げ続けていたと思われます。
(QRコードの先『behead.jpg』のスレは2015年のもので、40代女性本人らしき書き込みがある)
たぶん、意図としては「スレ上で飛び交う憶測で、陰惨な目に遭った鈴の想像をしてもらう」ため。
・次に、第五話でブヨブヨ異形になってしまった40代女性が語っていた持論を見ていきます。
→『かわいそうな被害者』は化けて出る、を曲解して
『かわいそうな被害者』であり続ければ成仏しない、という理論にしたのでは?
だからずっと呪い続けて「かわいそう」な状況を作り、鈴がこの世に留まり続けるようにした。
・では、こうまでして鈴への呪いを続けていた理由は?
ここで注目したいのが『ヤバすぎる実話怪談 奈落の章』で、40代女性と『横次鈴』の立場が逆転したこと。
40代女性は、今まで小馬鹿にしながら利用しようとしてた相手から、しっぺ返しを食らって追い詰められてるんですよね。
40代女性は、やられっぱなしなのが気に食わなくて、いつか鈴にやり返す時を見計らっていたのではないかしら?
・それが、今回の梨氏による取材。
細々と【鈴の死体画像】の話題をネット上に流していた甲斐がありましたね。
ホラー作家と繋がりが持て、梨氏の書籍を乗っ取ることに成功。
これで、今まで以上に沢山の人に「鈴の恐怖体験」を想像してもらえます。
「人の心の中で生きている」鈴は、人の頭の中で何度も「怪奇で陰惨な酷い目に遭う」ことになる。
・本書の最初に出てくるQRコード先のX(旧Twitter)の『@RingRingChan_』はアカウント名が『転生用』ってなってるけど……
えっ、人の頭の中で何度も転生を繰り返してるって意味……?😰
・本書発売後、bio欄が変化してたらしいけど、今は「もうやめて」ってなってるんよね。
重版も何回もかかってて、結構な部数売れてるようですから、今までの比じゃないくらいの人数に読まれている。
“化けて出て人を怖がらせる“ 余裕もないくらい、鈴は何度も何度も酷い目に合い続けて憔悴してるってことでよろしいですかね……
・しかもQRコード読み取ると「かわいそ笑」ってリプライ飛ばす仕組みになってるけど、鈴=「かわいそうな被害者」の図式が補強され、いっこうに成仏できないのか……?
うわ〜〜凶悪😖
◉加害者→被害者へ
第五話の最後のあたりの梨氏の文章。
よくよく読むと……
あれ、本書の被害者って『横次鈴』だけじゃないの……!?
完全に読み飛ばしてた〜😧
最終的に『その関係者』も被害者ってことになってますね。
関係者らしき人って何人か思い浮かぶけど、40代女性も勿論これに含まれるでしょう。
・まあ、40代女性は確かに本書の至る所に存在を感じましたし、「どういう人物か」というのも断片的に示唆されていた。
……これって40代女性も『横次鈴』と同じく「読者の心の中で生きてる」ことになるのか?
・40代女性の名前は出てこなかったけど、本書全体で【鬼門線の呪い】により呪われた「被害者」ということかしら。
自分も呪われることを織り込み済みだった……?
◉「被害者」になった理由
・40代女性が最終的に「被害者」となることを選んだ理由……
私は「ブヨブヨ異形の姿を脱するため」かな〜って妄想しました。
以下、こじつけです。
・あのブヨブヨの異形姿についてのイメージ。
おそらく沢山の人が「呪い」を流用しまくった末の姿なんだろうな。
「最初の被害者」という核の上に、書き換えられた被害者の皮をどんどん重ねていったようなもの。
一方で加害者側も、「最初の加害者」という核の上に加害者の皮を重ねていったんじゃないかな。
・『ヤバすぎる実話怪談 奈落の章』で出てきた「セーラー服を着たブヨブヨ」は、沢山の被害者の皮に重ねられた鈴。
第五話の異形男性や、40代女性のブヨブヨは、今までの加害者の皮をたくさん重ねた姿。
・そんで、この記事の途中で『ヤバすぎる実話怪談 奈落の章』の洋子は40代女性がなりすましてる偽物……みたいな話を出したと思いますが。
偽洋子の話す態度、なんか意地悪いというか「大学の友人」の窮状を嘲笑って憐れんでるようなニュアンスでしたよね。
この話は読者に、40代女性を「憐れでかわいそうな被害者」と意識付けるための装置なんじゃないかと考えてます。
・この話が『横次鈴』と違う点は、“誰かが考えた呪いの話“ の流用ではなく、“オリジナルの話“ だということ。
流用ではないから「他の誰かの皮を重ねていない被害者」になれるというわけ。
つまり「加害者の皮だらけだった姿」を脱ぎ捨てて、「ひとりの被害者」の姿になれる。
・40代女性も本書が読まれる限り「かわいそうな被害者」であり続け、鈴同様に成仏はできなそうだけど……
鈴が酷い目に遭い続ける姿を、ニヤニヤしながらずっと眺めるんだろうな〜、と思ってる。
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……という感じで辻褄を合わせてみました。いかがでしたでしょうか😀
しばらくずっと『かわいそ笑』を読み込んでいたので、梨さんが描く悪意の解像度が上がった気がします!満足!
表面なぞっただけでも怖いのに、さらに奥を覗き込んで「ウワ〜〜ッ!😫」ってなった感じ。良き。
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今回、読み直すに当たって頭に降りてきた嫌な想像(ちょっと前にふせったーに投稿したやつ)を最後に書いて終わりたいと思います。
↓↓↓↓↓
・ふとカバー絵見てて思ったんだけど、これって「鈴の死体画像」の上に、「生きている鈴の画像」を描いたもの……?
・第二話のQRコードも、【首から上の画像】の上に「掲示板のスレ画像」をレイヤーみたいにして貼っつけてたじゃないですか……
・だから、カバー絵のコンピューターの乱れっぽい加工に隠れてる目。
よく見ると「黒く濁った死体の目」がこちらを見上げてるのも、もしかしてレイヤーの下層の絵が断片的に透けて出てきたのでは……?
✻✻✻✻✻
鈴ちゃん。
いっぱいかわいそうなこと想像しちゃったごめんね🥲