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【天文館】怪しいカフェで食べたカレーのアレな感じ【ビビアンリー】

どうもハヂメだす。
今日は某Webメディアに掲載するか
悩みに悩んで、結局ボツにした
食事処のお話をする。

秒速カレー計画

あれは年末のこと。
私は忘年会に誘われていた。
かれこれ、4回目くらいの忘年会。
もはや、年忘れは2回目くらいで完了してるはずなのに、それでも尚、忘れたいのか?ってほどには忘年会の多い年だった。
もはや忘年会という口実の元、タダの飲み会なのである。強いて言えば違いは、〆句が「良いお年を」になるようなものである。
それさえもなければ、もはや「忘年会」としてのアイデンティティさえも失うだろう。

その日は年末仕事の大詰めだったこともあり、凄くドタバタしていて昼ご飯を食べていなかった。THE 空きっ腹だった。もう、お腹が空きすぎて胃液が唾液に混ざるほどの空腹感に見舞われていた。
私はどうにも酒に弱い体質なので、空きっ腹に酒をやってしまうと、基本的に赤鬼のように全身が真っ赤になり酩酊してしまう。
来年のことを話すと鬼が笑うと言うが、もう酔った私は、鬼どころか慈母が見てても笑えないくらいにダメになる。

そういうわけで、なんとしても忘年会の前に空腹を少しでも解消する必要性に駆られていたのだ。
幸いにも仕事を早く切り上げたため、待ち合わせまでの時間にも余裕があった。

寿司、牛丼、カツ丼、サンドイッチ。
色々な選択肢があるのは鹿児島イチの繁華街、天文館ならではである。
しかし、どれも人目につくところだ。
万が一にでも、入退店時に「あれ?なにしてんの?今から飲み会じゃん!?」みたいな感じでバッタリ人に会ってイジられるのは面倒だなとも思ったし、せっかくだから行ったことのない店に行くべきだろうとも考えていた。

・・・そうだ、カレーを食べよう。

僕にとってカレーは飲み物のようなものだ。
およそ大抵の標準サイズなら5分あれば、口を拭って両手を合わせて「ごちそうさま」までイケるという自負がある。

こうして、この日、この瞬間に。
「秒速カレー計画」が発案されたのだ。

素通りの「ビビアンリー」

カレーだ、カレーを食べよう。
そう思った私は天文館のアーケードをふらふらと歩いて回った。道行く人の忘年会の装いみたいな、少し小綺麗な感じに年の瀬を感じた。
相変わらず待ち合わせスポットがタカプラ前になっている様子だった。
少し見入ってしまうほどには綺麗なお姉さま方もいてたのだが「この中にも今日の飲み会で一発芸をやらされたりする子がいるかもしれないんだよな」とか、そんなバカなことを考えた。

ちなみに僕の脳内で、その綺麗なお姉さまは、アキラ100%の芸をやらされていた(妄想)。

そんなアホなことを考えている折、
タカプラの近く、吉野家の向かいに看板を見つけた。カレーライス430円、これは安い。

ちょうど通りに入っていく角のところだ。
今はエッチな諸々が売っているお店の脇、そういや昔は本屋だったよなとか、少しだけ懐かしい気分になっていた。

よく、見てはいたし気になっていたお店だ。
よし、ここにするか。

ビビアンリーというお店らしい。
ちなみに僕の狭い見識では、「ビビアン」まで聞いて思いつくのは「西の木」か「スー」だけだった。ビビアンリー、なるほど覚えた。
今までスルーしてきたのだから、さしずめ
素通りの「ビビアンリー」ってとこか。

玄人向けのビビアンリー

店内に入ろう、そう思って看板下に広がる空間へと足を向けた。
思いの外、階段が下へ下へと続いていた。
決してハイセンスではないものの、看板の電工装飾といい、小綺麗にしようという心意気を感じる。手すりも有難い。

階段を下ると、下にも看板があった。
もうすぐドアだ。

いやに重たいドアを開ける。
驚くほどに真っ暗な店内だった。
ああ、なるほど。そういう店なのだな。
と僕の経験則がモノを言った。
つまり、「玄人向けのビビアンリー」なのだ。

外の喧騒とは打って変わって、静かな店内。
クリスマスは終わっていたが、ここではクリスマスツリーが照明器具として確り、役目を果たしていた。それにしても暗い。

席を案内され、水とおしぼりを渡される。
「カレーをひとつ」
「かしこまりました。」
優しそうな顔をした店員さんは、非常に丁寧な接客をしてくれた。

で、案内された席には僕の予想通りに、
液晶画面がついていた。
もちろんインベーダーゲームではない。
こちらの予想通り、花札だった。

そういう店なんか〜い。
ガチの玄人向けかーい!!!

何をしていいのやら。
下手にスマホ弄って不審に思われるのもアレだったので、そそくさと写メった後は、おしぼりを顔に当てて「めちゃくちゃ疲れきった人」アピールに勤しんだ。

早く来てくれ、カレー!!!!

カレーは飲み物なのだ

しかし、この手のお店にありがちだが
カレーの提供がやたらと早い。
こちらもその例に漏れず、5分もしないうちに出てきた。香ばしい香りが食欲を刺激する。

いただきます。

可もなく不可もなく。
サラ系のカフェカレー。
大抵、カフェで食べるサラ系カレーというのは、よほど見栄えや具材に特徴がない限り、「食べたことのある風味」になりがちだ。

・・・というかレトルトだと思う。

まぁ、下手に実家とか給食感あふれる「家カレー」を出されても味の好き嫌いが分かれるし、当たり外れもある。 その点、レトルトは間違いがない。カフェのレトルトカレーは美味い。

そんなことを考えながら、飲むようにしてカレーを食べ進めていく。カレーは飲み物なのだ。

いやに、アップで写真を撮るね?と感じた人もいるかもしれないが、弁明させて欲しい。

なぜなら、
どうしても液晶画面が入るからだ。

この通り、カレーの隣には花札の画面が常に「こいこい」をしている。よくみると、1982年製。僕よりも先輩なゲーム機だ。

ボタンも、どことなく百戦錬磨な雰囲気を感じる。色んな人が色んな思いを重ねながら、このボタンを押したのだろう。
とはいえども。世間の禁煙風潮なんのそので、ガンガン喫煙できる店内にも関わらず、意外とボタンは黄ばんでいなかった。
しっかりと手入れされてるのだろう。

ホスピタリティの高さを感じる。

クールに去れない残念な私。

ごちそうさまでした。
と大声でない範囲で声を出した。
そして、見えるように両手でバツ印を掲げる。
おそらく、この店内なら、このサインが正解なんだろうと勝手に思ったから、そうした。

店員さんがこちらに気付いた。

ふふふ、我ながらデキる男だ。
いかにも紳士に、クールに去るのだ。
レジの前で財布からすっとお金を取り出す。

「あのう・・・コーヒーをお持ちしますのでお待ちください」

クールに去れなかった。
クールに去れなかった残念な男なので、もちろん、この後、アイスコーヒーには、なみなみミルクとシロップをいれた。


ぐっと、甘ったるいコーヒーが喉を通っていく。口元をリセットするために、お冷を1口飲み込む。

今度こそ、と。
席を立ち、手元でバツ印を作る。
今度こそ会計だ。

レジ前にはブラックリスト的なモノや、警察の立入り証明書など貼られていた。そして、やはり両替機が置いてあった。色々と察する。

会計は430円だった。
サラダを付けると530円になるようだ。
シンプルにカレーだけ食べたいならコーヒーまでついてこの価格は、正直言ってアリだ。

「また来ます」
「ありがとうございました」

フレンドリーではないが、しっかりとしたホスピタリティを感じるような気持ちのいい接客、僕はとても満足した。

ドアを開け、階段を登る。
冬の天文館の子気味良い肌寒さが、頬にぴりぴりと伝わってきた。

中は別世界だったのかと思うほど、
外には師走の風景が広がっていた。

今度来る時は、少しだけ遊んでみよう。
そして、ほかのメニューも食べてみたい。

少し、そんな余韻を感じながら
僕は酒の席へと歩みを進めた。
そんな年末の。
あまり人に話していない思い出だった。

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