十一月に想う人達へ。そして『ハコボレ』につきまして。
どうも前田隆成です。本日も一稿のお付き合い願います。
霜月。十一月は私にとって特別な月でした。
そして、それはこれからも変わらないと思います。
夜更かしの日をして、そのまま早起きになったり。
寒いなと感じながらも布団から這い出て。カーテンを開ける。
朝は六時前。ベランダ。日が登って朝が香る。
懐かしいなと。十年前を振り返る。
私の高校時代。
演劇部の朝練習。集合は7時。
ほぼ始発の阪和線に乗って。
それでも座れない時があったりしたな。
家から一時間半かけて学校へ着く。
「芸棟」という恵まれたホール施設。
みんなぐるぐるのマフラーをして集まって。
高校演劇コンクールに向けて朝から役者はシーン稽古。
スタッフは美術を立て込んだり、集まってプランを練る。
音を探し、照明も卓を操作して。舞台は輝いていた。
私は高校2年の時に脚本を書いた。
一応、みんなの共作という扱いになったが主に手掛けたのは私であった。
「夜明けを忘れたエピローグ」そんなタイトルだった。
演劇部の同志たちはみんな何をしているのだろうか。
あの時のコーチ陣も厳しかったが、あれがなければ演劇に本気になれていなかった。悔しかったり、未熟だったり。大嫌いだった。演劇に夢中だった。
地区大会で敗退した作品は、クリスマス公演としてもう一度だけ上演された。あそこで終わりたくなかった公演。楽しかったと想う。
当時の作品の中身も、夢に囚われて現実に砕けそうになってる作家の話であった。電車に閉じ込められた作家と少女が出会い、万年筆にまつわるエピソードを展開していき、男の過去を追走する話。
私が万年筆を使ってるのも。ロングコートが好きなのも。
あの時の役が、あの作品が今を走らせる。ずっといる。
あれから10年。「こだわり」という言葉が好きで。
夢は目標や計画という言葉に変わって具体的になった。
苦しいくらいの未来予想図に笑ってしまう。
そして、
五年前の十一月ハコボレの旗揚げ公演が終わって。
ハコボレで毎年舞台を作って。一人ずつ出演者が増えて。
カエルになったり、ロケットを作って演奏したり。一昨年の本公演の『はこしき』では舞台がトランスフォームして、戦車を作ったり。去年の暮れと四月開催した、落語から一人芝居『世別レ心中』の上演で今の私があったりと。一歩づつ実を結んでいるはずで。どれも一人では成し得なくて。演劇を作る時にだけ私の周りには人がいてくれる。人の集まりが難しいこの二年。それでも立ち上がる劇団の数々。でも振り返ってばかりでは満足はできなくて。どうしても次、次の舞台を求めている。こうして書いていると、この時期に公演を打っていないことに酷く後悔し、ムズムズする。
だから、今は今、できることをやる。さっきまで、ハコボレの角居と電話をして、来年のことを話した。今いるメンバーのこと。脚本を書くこと。舞台の構想を練ること。来年は3本予定している。
・「落語から演劇へ」の新作一人芝居。
(死神、紺屋高尾、居残り左平時、明烏。もう半分)この中から選ぶ予定。
・原案が別のハコボレ本公演
(初めて家族の話を書く)
・事務所との合同企画の公演
(ハコボレらしい大本命のSF、ロボットの公演)
やりたい。いっぱい演劇がしたいし作りたい。
ひとつ、ひとつがが実現できるように。
今年の冬は脚本を描いて、密かに準備をしています。
悔しいし、苦しい。怒りもたくさん抱えて。
忘れぬ頃に。もう一度お会いしましょう。
そのための2021年にします。
どうぞ、ハコボレ一同をご贔屓に。
もし記事を読まれた方の中に興味があり、
来年、一緒の景色を見たい人がいるなら、
何か一言でもお言葉を頂けたら幸いです。
前田隆成
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