「セミヘブン」の稽古場。
稽古開始から一週間経った。
毎日アップデートされた脚本が刷り上がる。
読み合わせから立ち稽古を繰り返して。
この船がどこへ向かうのかを彷徨う時間だ。
しかし、大原さんは落ち着いている。
変更するかもしれない箇所でもしっかり稽古を重ねる。
僕は疑問に思い、稽古後、大原さんが何を大事にしているかを聞く。
「不確かで新しい倫理観との対峙」この軸をぶらさずに描きたい。
と教えてくれた。
そして、脚本について、この軸がブレていないかと相談をいただいた。驚いた。私を一人の作家として認めてくれ、且つ意見もしっかりと聞いてくれる。「セミヘブン」という人間をアップロードする特殊な設定。ここに情報として何を足し、削るか。そして登場人物の心情の流れを一緒に考える数日を通している。俳優と演出家という立場を超えて、私をこれほど創作に深く拘らせて頂ける今回の現場はとてもありがたい。
今回は大原さん自身と距離の近い脚本だそうで。
今までにない、身の削り方をしているそうだ。その歪さや、不安定さをそのままにしつつ、より伝わるように。たくさん話を重ねる。
この一年間で大原さんとの関係を演劇以外でも結べてよかったと思う。
大原さんの筆はとても早い。
昨夜、こうじゃないか、ああじゃないかと話し合ったシーンは翌日には大きく修正され、みんなに共有される。その分量が凄まじいものだ。どんどん意味があるシーンに書き換わるので、登場人物の感情や行動の流れが、わかりやすくなっている。すごい。
今日の稽古ギリギリまで大原さんは脚本を書いている。はず。
毎日身を削る姿勢をみて、創作はいいなと思えるのです。
この「セミヘブン」を面白くしたいし、その一員でありたいです。
さあ、稽古2週間目に突入します。
今日も新しくなったセミヘブンを楽しみに稽古場へ!
前田隆成。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?