0409 俳優日記:「立川談春を聴く」
今日は北区の北とぴあにて立川談春師匠の落語を聴きに行った。
とはいっても前もって予定を立てていたわけではなく、たまたまである。
14:00頃に「散歩しよう!」と思い立ちフラフラと街を歩いていると駅でポスターを見かけたのだ。
「そうやん!今日やん!!」
あちゃーとダメもとで当日券を狙ったら2階席が空いていた。
しかもセンターだった。超ついてる。ラッキーだ。神に感謝した。
出囃子の「鞍馬」が鳴るだけでドキドキする。
談春師匠の枕から面白い。NHKの「どうする家康」への出演と楽屋話。
最近フライデーに撮られたが、完全に加工されていた話。
最近の男は顎が細くなって、中性化が進んでいる。口説くという行為がもはや気持ちがわるいと言われている。などなど話題は身近なところから始まり、最後はテーマは不倫になった。
その昔は「不倫」とは言わずに「間男」と言った。現行犯で重なっている最中を発見したら、女房と相手を切っても罪に問われなかったそうだ。
覚悟があるならやっても良いがみなさんはどうだ?との問いかけ。
そんな枕からスラリと本題へ。
演目はやはり「紙入れ」だった。
「命を懸けてでも会いたい人がいる」そんな時代の話である。
冒頭の女将さんと若い男の会話から始まる。
男は旦那に申し訳ないから女将さんと会うのを渋る。
女将さんは旦那は横浜の方まで出かけているから泊まって行けと誘う。
この引っ張り合いは常に女将さんが上手で貫禄と狡さが面白い。
最後には泊まらないなら全部旦那に言いつける。「あなたが無理やり襲ったって言うから」と吹っ掛ける始末。酒を飲ませて男をその気にさせて。
と、ナニが始まるまでを細かく描写するのに下品さがまったくない。
その後に旦那が返ってくることになるのだが……
この旦那の描き方も噺家いよって大きく変わる。
扉を叩いて「帰ってきたぞ」と告げる所、酒で酔っぱらって帰ってくる描き方をする方が多いが談春師匠の旦那は凛としていた。仕事をきちんと終えて、帰ってきたという姿が取れる。翌日の旦那と男の掛け合いも、旦那がしっかり者なのに不倫に気が付かないというフリが聴いてて滑稽だ。
談春師匠の落語は映画を観ているような心地になる。
と、あまり1から10まで書きすぎると野暮になるのでここまでにしたい。
今日の心の動きとして、これだけは書いておく。
私は談春師匠の落語に出てくる女性が大好きだ。
品があり、ずる賢く、そして強い。
今回の「紙入れ」だけでなく
「文七元結」や「芝浜」に出てくる女将さん。
「紺屋高尾」に出てくる高尾太夫。
江戸の威勢のいい野郎に負けない芯の強さがたまらない。
あの芸がやりたくて私も落語をやっていた。
今までやってきた演目は【廓噺】が多い。
女性が出てくる描写を好んで掛けていた。
これまで落語で学んできた「女形」を
今度は俳優として挑戦してみたいと思った。
前田隆成