07/22「うわさにきく風2020-2021」 本番までの記録〜その⑤
おまくら
本日も一稿のお付き合いを願います。
昨日のインスタライブもご覧いただきありがとうございました。
なんと相方岩田光風も飛び入りで参加してくれて、二人のビデオ電話を聞いてもらうみたいな時間が流れました。今晩も22時からやってみようと思います。テーマもなく一人で今思う事をツラツラ語る時間。皆様もお酒片手に覗きに来てください。明日からのオリンピックはどうなることやら。悲しい気持ちなのか、やるせなさなのか。情報に疲れたり一喜一憂したり。問題意識を持っていても発言をすべきかの立場を考えたり。このように文章を残す行為こそが未来の私の首を絞めているのかもしれないし。それでも、今できる精一杯と想い、来月に迫った舞台の事を考えるのです。
眠る街、流れる川辺を徘徊する。
インスタライブ後に岩田と電話する。お互いの近況を報告して。次回の公演のことを計画した。電話を切って、川辺で立ち止まる。月が大きくて。ずっと橋から眺めてたら。帰れなくなった。ぼーと1時間くらいいたのかな。側から見れば身投げを考える人だ。河に映る月。高速道路を走るトラック。団地からこぼれた光。自分のことを深く考える。
最近は何をしていいのかわからない。だけれど飢えている。演劇を作っていないとただの人になってりまうという強迫観念。だから今は、知識を求めて本を読んだり勉強したり。巡ってくるチャンスを掴めないときに頂いた、今回の舞台。飢えていた分、嬉しさであったり。ちゃんとしたいって自分を締め付けたり。追い込んだり。まだ稽古序盤だからとか関係なく「向き合う」から逃れないように。
今回の「うわさにきく風2020-2021」は風で止まった電車を待つ2020と、この騒動に巻き込まれた2021を描く2本立ての芝居。この一年で変化した社会からも目を逸らせない。
「うわさ」という言葉の小さな風は徐々に大きくなって社会を巻き込む。近所のあいつが感染したらしい。都心部から帰ってきた子らしい。俺は、俺たちはちゃんと自粛してるのに。俺は我慢してるのに、あいつはふらふら遊んでたらしいから、あいつを追い出せ!って石をなげる。小さな噂から大きな分断がいくつも生まれている。
明日に迫ったオリンピックも中止すべきだという声が全体に広がって、個人を苦しめている。声を上げる人間は、声を上ない人間を避難したり、反対に静かに傍観している人はむりやり当事者意識を植えられたり。誰かの正義に疲れ、たくさん境界線ができていく。それを目にし続けるのはとても悲しいです。
この時世で、それでも演劇を届けようとするたくさんの団体、意思があって。万全の対策をしても上演されない舞台もいくつもあって。その中で出会えた舞台。「届けたい」と「観たい」が合致する瞬間。その一瞬の煌めきに私はたくさんの助けられました。願わくば、今回関わる舞台も誰かの叫びたい声に重なって寄り添えればと願います。
本日もご愛読ありがとうございました。
前田隆成