運送会社の業務を知り尽くし、「仕組み」による業界変革をハコベルの仲間と共に果たすと決意
ハコベルにはたくさんの物流業界出身の仲間がいますが、業界経験25年に及ぶという辰馬 守哉は別格とも言えます。トラックに憧れてドライバーから業界キャリアを開始し、上場企業の執行役員まで勤めあげた経歴の持ち主。そんな辰馬がスタートアップのハコベルでこそ挑戦したいと考えたこととは?
物流業界経験25年、運送会社のあらゆる業務に従事。いま新たな挑戦を求めて
—— これまで物流業界で培ってこられたご経験について詳しくお聞かせください。
物流業界に従事しておよそ25年になるのですが、その前は建築業をやっていたんですよ。当時、トラックに憧れがあったんですね。見渡すと友人たちも運送会社に勤めていたりして、「トラックに乗りたい」という昔からの野望というか、思いがあって転身しました。「車が好きだから」という理由でドライバーになる人は多い業界です。それで、21~30歳ころまでの9、10年ほどはドライバーをしていました。
25歳で大型免許を取り、もともと関西出身なので、関西から関東、関西から九州、と長距離ドライバーとして勤務していました。その後のドライバーをおりてから17年の間には、運送会社を3社ほど転職をしており、30歳からドライバーでお世話になった運送会社で管理職として30台ほど自社便配車業務、資格も取得して運行管理者、後に営業所所長してました。
運送会社にもいろいろな業種がありますので、「多様な視野を拡げたい」という思いから、いくつかの運送会社で経験を積みました。2社目の運送会社では百貨店による店舗什器、マネキン取扱い多くの会社と携わり、時には大規模な百貨店工事の大手JV下請けとして施工管理に入り各施工会社の輸送の段取り、配置設計を従事、引越業務とかそういった個人宅から事務所移転、一般貨物まで全般的に営業部長として7年ほど携わることができました。
ちょうど40歳のころ、新たに立ち上げと業務拡張をする運送会社があり、そちらに合流させていただくことになったのです。その会社はもともと人材派遣会社、某海外大手EC企業が日本進出して参入間もないころで、運送会社と、ECサイトの庫内の人材派遣、足回りの配送なんかを兼ね備えた新会社ということで、2年ほど京都で営業所長として勤務していました。
さらに2年ほどすると、その会社は設立から5年目で当時の東証マザーズ市場で上場、1年後当時の東証1部へ市場変更しました。2年間は営業所長をし、そこからエリア統括を1年やったところで運送部門のCOOにあたる執行役員を4年ほどさせていただいた、というのが私の物流経験です。上場に至っていろいろと年々成長拡大していくなかで、一般貨物事業営業所、一般貨物取扱事業の各エリア都市進出、ラストワンマイル開設、運用に至るまでさまざまな部門を見させていただいたというところでしょうか。
—— ドライバーから始まり、運送会社内の業務を全般的に経験なさったうえ、車両も大型、軽と、さらに経営層のご経験まで。運送業務を知り尽くした辰馬さんが、ハコベル転身を検討されたのはどうしてですか。
知り尽くしたなんてことはないんですが、日々拡大路線を目指し厳しい部分をくぐりぬけてきた最中にあって、やりたいことがそのままできるかというとなかなか難しい部分が出てきました。やはり、究極は運送の仕組みをもっと変えていかないと、というところに行き着きます。
たとえば、ドライバーさんに就業継続してもらうことや、コンプライアンス経営に徹していくには、いままでの方法ではダメだなと感じるようなことがありました。そういった局面に遭遇することが多々あって、やがて新たなチャレンジをしたいという思いを漠然とですが、持つようになっていったのです。
もうひとつの観点からは私も47歳ですから、これだけ物流業界にお世話になっているので、これからの時間で私になにかできることがあるのであれば、そこに身を投じてみようと思ったのです。ハコベルは「これから」のベンチャー。そういったところに私も共感をしたというところです。
きっかけは、ハコベルからお声がけをいただいて、最初はカジュアル面談のようなかたちだったと思います。会社のこれからのことや、現状のこと、けれど今後はこのようにやっていきたい、といった話を聞いて、ある意味すごいなと感じたことをよく覚えています。
この逆風とも言えるご時世において「運送業界」という領域で新たにベンチャーとしてやっていくということ自体もそうですが、やはり仕組みを構築したうえで「これで勝負するんだ」という諸々の発信力にまず、気持ちが動かされましたね。当時はやりたいことがなかなかできないという私の状況がありましたし、社会的にも厳しい環境にあるなかでも、ハコベルのシステムや考え方をどんどん発信する力に「これはすごい」と、素直に心が動きました。
そこで知ったハコベルの存在は、「なんか本当にやりそうだな」という期待を非常に感じさせるものでした。もちろん、仕組み化や効率化を謳うスタートアップが、伝統的で歴史の長い企業が多い物流業界では、苦労やしんどい思いなどが当然あるはずです。にも関わらず、従業員の一人ひとりに意思疎通をし、意識を共有している会社なのだ、ということが入社するとわかってきますので、そこでまた「これはすごい」と思うわけです。
視座高く、会社の使命を意識して仕事に臨む仲間の姿に深く感銘を受ける
—— 入社して当初いだいた「期待」はどうなりましたか。
入社する前に重ねた面談では、その都度「本当にやりそうだな」という期待はさらに高まっていき、入社したいまは「実際にそのとおりだったな」というのが一つの感想です。非常に年齢層の若いかたが多いですが、会社のトップから全社にわたって同じ思いを共有し意識している。各自が本当に責任を持って仕事をしているという姿は、常々感銘を受けるところではあります。
やはり過去在籍した他社と比べてしまうのですが、どうしても行き詰ったときに「ダメだった」と諦めてしまいがちなんです。けれどハコベルでは、「これをクリアするには、まずどうするべきか考える」ということが徹底されていて、自分ひとりで困難であればチームと、あるいは会社との連携をはかって、それに対して責任を取っていくことがこの会社の特性だと感じています。
—— 現在は営業職として従事されています。率直にこの数ヶ月のご感想をお聞かせください。
2023年の12月に入社してから今年の6月まで半年間は配車チームにいまして、7月から一般貨物営業部に異動し、営業職になりました。今回西濃運輸さん向き合いの営業なのですが、半年間の配車業務によって、お客様のオーダー傾向や仕組みをかなり理解することができたので、営業にスムーズに移行することができました。
配車をしていた際に自分なりに感じていた課題だったり、「こういうふうにした方がいいのかな」と感じていたことなどを、お客様と向き合うなかで重点的に活かすことができています。また、西濃運輸の皆さまが、とてもあたたかく迎え入れてくださったことで、大変ありがたく仕事をさせていただいています。
—— 業務を進めるうえでご自身で心がけていることなどはありますか。
うーん、言い方が難しいのですが、なにか目標を決めたときにスケジュールを当然引きますよね。で、私は必ず逆算するんですよ。大きな仕事だけでなく、細かい仕事であっても同じで、いったん逆算して「いつ・なにをすべきか」ということをちゃんと明確にして、確認を充分にシミュレーションするなどしています。これは心がけていることのひとつだと思います。
やはり「目標は実現するもの」だと思っていますから、いつ、なにをする、ということを明確にやる必要があるんです。ハコベル入社前の最終選考での面接で、狭間さんに、過去の成功などに対して「満足してます?」って聞かれたんですよ。それがすごく印象的でした。それで、言ったんですよ。「いや、いままでひとつも満足したことがないです」と。満足してしまうとそこで止まってしまうので、もちろん満足したいときもあるんですけれど、それはもう自分に言い聞かせるようにしています。「そうじゃないよ」って。そう思いながら仕事をしていますね。なにか仕事1つ収めたあと、数日後に「もっとこうすれば良かった!」と突然頭をよぎることがあり、反省して次に活かすといった繰り返しです(笑)。
全社でひとつのビジョンを忠実に追い求める姿にこそ、ハコベルらしさを見出す
—— とても勉強になります。ほかの物流会社とハコベルの違いについてはどうお考えでしょうか。
車を保有する運送会社の「実運送会社」に対して、ハコベルは「利用運送事業者」であるという大きな違いはもちろんですが、利用運送事業者であるからこそ、実運送の会社に対しても、我々は二重、三重の多重下請け構造をひとつでも解消していくプラン等、付加価値を高めてゆくことができるのは他ではできないことだと考えています。これが我々の仕事、ハコベルなのだと。
入社して半年ほどですが、とにかくハコベルで働く人はみんなチャレンジング。仕事においてはもちろんですが、やはり代表の狭間さんを筆頭に、進むべきビジョンを忠実にみんな意識しているということが、私のなかで非常に印象に残ることなんです。なかなかこんなふうにまとまる会社って、少ないんですよね。そこは本当にすごいこと。言いたいことを言い合えるだけでなく、言ったことに対して答えをきちんと返してくれる会社というのは、すごく働きやすい環境だと思うのです。
—— ハコベルが果たしていくべき貢献について、どのようにお考えでしょうか。
社会的な貢献を担っている我々による「仕組み」は、当然ほかにも活用が利くものと考えていたりします。物流というのはインフラですよね。インフラなんですが、大手が構築し切ったようでいて、まだ日本全国に行き届いていないところもあったりもする。そう考えたとき、物流以外にもなにか、社会に貢献できることの要素がこの「ハコベル」というものにはあるのではないか、と思ったりしますね。もちろん現在は物流に特化していますけれど。
もともと印刷のラクスルで培った仕組みを物流にも、という発想で始まっているように、構想自体は可能性があると思うんですよ。いまは軽貨物や一般貨物という考えですが、固定概念を取り払うと、なにか他の貢献の芽がありそうだなと思いつつ、もちろん答えはまだ出てはいません。
とにかくいまは、これまでお世話になってきた物流業界に対して、ハコベルだから実現できることをこの仲間たちと一緒にやっていくと、そんなふうに思っているところです。