【導入事例】クラウド型サービスとは思えない自社業務に寄り添った提案で取次業務を削減。削減時間が次の改善を考える時間に 株式会社サカタ製作所
株式会社サカタ製作所は、新潟県長岡市に本社を置き、主に建築金物を中心に設計・開発・製造から施工指導までを手がける製造業の会社です。事業の主力は、工場や倉庫などの非住宅向け金属製折板屋根構成部品や、ソーラーパネル取り付け金具・架台などで、商社等への納入の他、建設現場へ直接納入することも多くあります。
同社では社の方針としてDX推進を打ち出しており、これまでもさまざまな面で業務のデジタル化に取り組み実績を挙げてきました。見積や製品情報を提供するWebシステム、現場のペーパーレス化、グループウェア導入など、幅広い業務でDXが進められてきました。しかし、製品の出荷・配車手配を担当する物流管理課は、社内外に関わる人が多く業務が煩雑であることからDX推進が特に困難な状況にありました。
なんとか改善を進めようとプロジェクトに乗り出したとき、選んで頂いたのがハコベルでした。物流管理課の課長として全体を統括する早川謙二さんと、入社7年目で実務を取りまとめる北澤啓一郎さんに、当時の課題や導入の背景、現在までの成果をお聞きしました。
営業と運送会社の間で手配依頼・変更内容の取り次ぎ業務に工数を取られ、管理業務に手が回らない
——ハコベル導入以前、御社では出荷業務にどのような課題があったのでしょうか?
北澤:まず一つは、貸切便の手配業務が大きな負担になっていたことです。貸切便は、営業担当者が受注をもとに「車両手配依頼書」を作成して物流管理課へ送り、私たちはそれを確認して運送会社様にお願いするという流れで手配していました。この書類はExcelで作成されメール添付で送られてくるため担当者が個別に処理しなくてはならず、情報が属人化しやすく個々の進捗や全体像も把握しにくいという課題がありました。
さらに大変なのは、依頼内容の変更が続く時です。貸切便の納入先は工事現場であることが多く、工事の進捗などさまざまな事情で納入時間や納品日が変更になることが少なくありません。変更があるとその都度修正された手配依頼書を受け取り、確認して、運送会社様へ送り直す必要があり、物流管理課は間に立った取り次ぎ業務に工数を割かなくてはならない状況でした。口頭で連絡が来ることもあり、伝え漏れや間違いが発生するといった問題もありました。
一般的に工事が増える8月〜10月頃が当社にとっての繁忙期なのですが、新潟では9月頃から米の収穫時期を迎え、その輸送が増えることで車両の手配が特に難しくなります。そうしたときは複数の運送会社様に声をかけてお願いしなくてはならず、忙しいときに個別に電話をかけたり、1本1本メールを書いたりするのは負担の大きい仕事でした。
早川:そうした課題から車両手配業務の改善を検討してきたのですが、「社外とのやりとりは変えられない」という前提を持ってしまっていたので、FAXだった連絡手段をEメールにするくらいの改善しかできませんでした。改めてこの課題に取り組もうと、自社の基幹システムを使った改善に情報システム部門と共に乗り出したのが2022年でした。そのタイミングで北澤がウェビナーをきっかけにハコベルを知り、本格的に検討を始めたのです。
当初理想としたのは、営業担当者が直接車両の手配をできるようにすることでした。営業と運送会社様の間での“取り次ぎ業務”を将来的になくしたいという思いからです。ハコベルの詳しい説明を聞いて、社内だけでなく社外も巻き込んで効率化できることがわかり、これなら私たちのやりたいことが実現できると考えました。更に、もう一つの課題となっていた情報の一元管理がしにくいという状況も解決できるイメージを持てました。もともとは運賃も請求書の情報と照合する仕組みがなく、その管理にあてる時間も取れない状況だったのです。
自社の業務フローに寄り添った使い方提案と、事前のデモ環境・動画マニュアルの提供によりスムーズな導入へ
——御社がお持ちだった課題に対して、ハコベルからのご提案内容はいかがでしたか?
北澤:当社がやりたかったことにハコベルのシステムがかなり合致していたので、最初からビジョンは明確になっていたと思います。当社の基幹システムへのデータインポート/エクスポートによって、配車手配情報の一元管理や分析が可能になることも魅力に感じました。社内的な情報共有は基幹システムがベースになっているので、他部署との連携においても基幹システムと接続できることは大きいですね。
ハコベルさん側が私たちの業務フローを詳しく聞き取って、それに沿った形でシステムの使い方を調整してくださったので、私たちの業務内容等への大きな変更点はありませんでした。Excelの手配依頼書の書式が少し変わったくらいで、社内的な学習コストはとても低かったです。手間のかかっていた配車依頼や取り次ぎ業務の部分がハコベル上でできるようになった形です。
早川:物流管理課としてクラウド型のシステムを導入するのはこれが初めてでした。社内で別のクラウド型サービスを導入した際に、あまり柔軟性が高くない印象を持っていたのですが、ハコベルさんは私たちのやりたいことにピッタリ寄り添ってくださり、その印象が変わりました。非常にありがたかったですね。
——実際にお使いになる物流管理課や運送会社のみなさまは、どのように受け止めていらっしゃいましたか?
北澤:操作説明の資料と動画マニュアルをご提供頂いたことがとてもありがたかったです。導入担当とはいえ私自身も初めて使うので、部署内で説明する際にも助かりましたし、社内的な情報発信もスムーズにできました。また、社内用のデモ環境をご用意いただいたことも非常に良かったです。動画を見ながら実際に操作することで学べる度合いが高まりますし、社内のワークフローに問題なく合致するのか、事前に確認することができました。
運送会社様に対しても、説明動画や作業手順書などをハコベルさん側で用意してくださって、それを活用して提案することができました。これまでのやり方を変えることに対しては不安や抵抗感があって当然ですが、丁寧な対応が安心感につながったと思います。おかげさまで前向きに検討してくださる会社さんが多かった印象です。当初は導入に至らなかった運送会社様に対して、ハコベルさんから業務フローを変えた提案の仕方をアドバイスしていただいて再度交渉したケースもあり、大変助かりました。
ハコベル導入により配車手配の連絡業務を大幅削減、運送会社の業務改善にもつながり、社内外から好評
——実際に運用を開始されてから、業務改善に効果はありましたか?
北澤:はい。やはり連絡業務は大きく改善されました。特に効果が大きかったのは依頼内容の変更連絡です。変更があるたびに、手配依頼書を作成し直しメールで送っていた作業が不要になり、システム上で修正すればリアルタイムに最新の情報を共有できるようになりました。また、全社員がハコベルにログインして配車状況を確認できるようになったため、個別の配送に対する担当者からの問い合わせもかなり減りました。複数の運送会社様へ依頼する際も、ボタン1つでできるので助かっています。
運送会社様からも「操作がわかりやすい」「混乱なく導入できた」との声をいただいています。以前は、積み込みに来る車両の車番やドライバーさんの連絡先をメールやFAXで物流管理課へご連絡頂いていたのですが、それもシステム上で共有できるようになりました。運送会社様の手間を減らすと同時に、当社の営業担当者側にも同時に通知メールが届くので、営業部からも好評です。
社内の業務改善ならいろいろとやりようはあるのですが、社外の運送会社様が関係する業務となるとそうはいかず、どうすればいいのかずっと悩んでいました。当初は基幹システムを使って社内の連絡業務を組み立て直すことを考えていたのですが、それを社外の方に使ってもらうわけにもいきません。社内で配車手配業務のDXが手つかずだったのはそういう事情がありました。それを今回、社外も含めて実現できたことが本当によかったです。
運送会社様は全国規模の大企業からご夫婦だけの事業所まで、規模も体制もさまざまで、どの会社にも適した連絡方法を見つけるのはなかなか難しいのです。誰にでもわかりやすく使っていただけるのは、ハコベルの強みだと思います。
——ハコベル導入による作業時間の削減は、御社の業務改善にどのような成果がでているでしょうか?
北澤:物流管理課では現在配車管理を3名の社員が担当しており、これまでは手配依頼などの作業に勤務時間の大半を費やしていましたが、ハコベル導入後は出荷情報を元に運賃が適正であったか確認するなど、管理業務に充てる時間を確保できるようになりました。そうやって考える時間ができてくると、みんな自分たちで知恵を出して仕事を改善していこうとするんですね。業務を通じた社員の成長や人材育成も、当社のDX推進の目的のひとつです。
——物流の改善というと以前はコスト削減が命題でしたが、現在は物流法改正や持続可能な物流の構築を念頭に、考える時間と人材がより重要になっていますね。最後に、新たに見えてきた課題やハコベルへの要望があればお聞かせください。
北澤:現在の課題は、出荷現場への情報共有です。当社では一部社外倉庫を利用しており、トラックの入場予定時間の共有とともに、積み付け指示書の共有ができるとよいと考えています。パレットに製品を積み付ける際、例えば広い敷地内の荷下ろし場所ごとにパレットを分けたり、クレーンで吊り上げ可能な横幅に収めたりなど、納入先の現場の都合でさまざまな指定を受けることがあります。工事現場も人手不足なのでできる限りご対応はしていきたいのですが、パターン化ができず、ご依頼ごとに積み付け書を作成して現場に渡している状態です。これが添付ファイルなどの形で共有できるとより情報共有がスムーズになります。
早川:社内的には、当初想定していた営業担当者が直接配車依頼をする仕組みを実現させたいですね。まだ決めなくてはいけないルールなどはありますが、将来的な筋道は立てられたと思います。