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ビオトープ
タイトルは急に頭に浮かんだ言葉
調べてみたら「生物空間」とあった
動植物が自然な状態で生息するところ
自然な状態とはなんだろうか
そんなことを考えたら壁に囲まれた
とりあえず部屋の電気を消してみる
視界の端で散らつく人工的な光
それならばと今度は目を瞑ってみる
光は消えて感覚がひとつ閉じた
暗闇の左側から聞こえる風の音
正面奥からは空気が外にはき出される音
左右の耳を鳴らし抜ける正体不明の音
呼吸を整えていると身体が熱を帯びた
脈動にあわせ微かな揺れを起こす
同時多発的に感じる筋肉の緊張と緩み
目を瞑ってわかる瞼をなぞるような細波
吸って吐くたびに生じる空気の微振動
次第に暗闇に浮かび上がる色の揺らぎ
不規則に輪郭を変える鮮やかな紫色
いつのまにか明るい紺色になりまた戻る
生きているかのような大きさを変え動く
瞼に意識を持っていきゆっくり開いた
色は消えてまた暗闇と対峙している
視界の端で散らつく光りがひとつ減った
完全な自然な状態がないことはわかった
「自然体でいられる」と解釈を拡げる
それなら自分のビオトープはベッドの上
いつかまた考える