世界が違う人間と少しだけ分かり合えた気がした話
おはようございます。
今日はマネジメント系のお話。
僕の部下には、苦労せずに東大に入り、スポーツも全国トップクラスというまさに「神童」がいます。
しかし、仕事には今一つ身が入り切っていない様子。
本人は、「人に感謝されればそれで良い」のだそうで、
特に野望めいたものとかは無いんだそうです。
ここ数ヵ月、
彼についていろいろ考えました。
最初は、あまりに自分と違い過ぎて、どこから話をするべきかも分からなかった、というのが本音です。
上記のような一般的にすごい、と言われるプロフィールを持つ彼と、
田舎に生まれ、中の上くらいの進学校から中小企業に入った僕。
僕からすれば、「そんなに能力があるのにもったいない!」という先入観が大きくありました。何なら、「使わないならその能力、くれ!」くらいのものでした。
何度か面談を繰り返しましたが、いつも話は平行線。
なかなか前進しない面談に付き合ってくれた彼には感謝しています。
そんな時に、この書籍と出会いました。
「他者と働く/宇田川元一」
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そして、”人と人は最終的には分かり合えない”ことを前提に彼と向き合おうと思った瞬間に、新たな考えが出てきました。
彼の学歴や能力は、本人にとってはたまたま備わっていたものであって、
それを活かすも活かさないも彼の自由なんですよね。
そして、私と同じように、周囲から無用なプレッシャーやおせっかいを受けてきたんだろうなぁ、という想像も何となくできました。僕には理解出来ない生きづらさみたいなものがあるんだろうなと。
そして、彼のプロフィールというフィルターを取り除いて、これまでの発言だけを回想した時に、「うらやましい!」と思いました。
私は、割と上昇志向高めなので、常に高い目標を掲げ、達成してきた(時々は達成できなかった)人間です。つまり、人生の大半は、”目標を目指している”状態なので、充実はしていますが、同時に苦しくもあるんですよね。
それに対して、「人に感謝されるだけで嬉しい」彼は、1日の中で喜びを感じる瞬間がたくさんあって、人生トータルで言えば、僕よりも幸せを感じている時間はきっと長いだろうなと思ったんです。
初めて、彼の学歴ではなく、心の感度を尊敬しました。
そして、上の一段落のことをそのまま伝えました。
一人の人としては相当うらやましい。ただ、営業の上司としては…というスタンスで会話を始めた時に、グッと距離が近づいたように感じ、「上司としての要望」を「部下として受け入れて」くれるようになりました。
何度も言うように、人間のタイプとしては全く別です。
自然にしていたら気が合うような二人ではありません。
だからこそ、「違うことを認めること」そして、「違うことを尊重すること」をした時に、人と人は同じ方向を向いて少しだけ前に進めるのではないかと。
また、「東大卒」という分かりやすいラベルがあることで、いかに自分が色眼鏡を掛けて相手を見ていたか。本人には無いラベルを他人が勝手に貼ってるんですね。
最後に、やっぱり人と人は分かり合えない。
分かり合えないからこそ、
分からないことを知ろうとする努力や、
分からない相手を尊重することが必要で、
少しだけ分かり合えることがうれしい。
その繰り返しであって、それ以上でもそれ以下でもなく、
それをコミュニケーションと呼ぶのだろうと腑に落ちました。
人生のパートナーとして自分が選んだ妻であっても、
きっと死ぬまで分からないことがたくさんあります。
分かり合えるうれしさを感じながら、
人生を少しずつ前に進めていくつもりです。
大きな気づきをくれた彼に感謝。