「なんで海外食洗機があんなに人気なんですか?」
こんにちは、ハチノです。
何週かかけて食洗機の話をしています。
今日は海外食洗機のことについて書いていこうと思います。
施主様と話していて
「ミーレの食洗機が使いたいです」
「ボッシュの食洗機が使いたいです」
というご希望を言われるようになって数年が経ちました。
「ミーレ」「ボッシュ」と言われても、
普段普通に生活していたらなんのことやらわからないと思いますが
海外製のビルトイン機器メーカーのことを指しています。
食洗機以外にもオーブンやコンロや洗濯機などいろいろな
住宅設備を販売されています。
※今回は最も話題に上りやすい2社のお話になっていますが、
他にも様々な海外メーカーの製品があります。どれもデザインがかっこいいのよ、すごく。
令和に入る前からボチボチ言われていたのが、
コロナが流行った頃は仕事をしていてその名を聞かない週がないぐらいそれはそれは人気が上がったものでした。
一時期はあまりの人気(とコロナ)で品薄になって
キッチンを納入してから数ヶ月から数年間食洗機のところだけ
ぽこっと開けた状態で納入・引き渡しが行われていました。
今は納期も落ち着いているみたいですがその人気は相変わらずで、
施主様の方から「調べて希望している条件」として
挙げられることが多いお話です。
そんな中でも「ミーレの食洗機ってなんで人気があるんですか?」と
質問されることがありましたので、
今日は海外食洗機の人気について考えてみようと思います。
普段耳馴染みのないメーカーの製品が、
家作りの場面では「コレだ!」となるまでにはどんな理由があるのでしょうか。
情報収集にSNSが使われるようになった
今「家が欲しい」「リフォームしたい」となったら
とりあえず情報収集のためにネットで検索しますよね。
それにInstagramが使われるようになり、
施主様から「こんなふうにしたい」と画面を見せられることが
スタンダード化したのが大体2018年前後でした。
ここが海外製品を身近に感じられる大きな理由だと思っています。
そのころに家づくりについて投稿されていた方は
一般的な注文住宅というよりも
設計や設備にかなりこだわって家づくりをされていたのだと思います。
「住む」だけでなく「好きなもの」「個性」を大切にした家づくりの一部として
その頃国内で一般的ではなかった海外製の設備機器が紹介されたのです。
ミーレやボッシュの機器自体は今のように広く認知されるまでは
建築設計事務所が関わっている住宅や海外の住宅を扱った住宅専門誌に
載っているような、「ちょっと特別」な位置付けだったと感じています。
そういったレアな住宅でしか使われていなかった設備がSNSのおかげで
ハウスメーカーや地方の工務店で家づくりをすることを考える時にも
タッチしやすくなったため、採用したいという方が増えたのだと思います。
容量が大きい
前回投稿した記事で、わが家は多い時で食洗機を多くて1日6回、
少なくとも3回は回しているという話を書きました。
私は今のところ食器を多く持っておらず、
洗っては使い→洗っては使い を繰り返しています。
食事1回分が食洗機の容量とほぼ同じなのでコンパクトなサイズでも
不便は感じていませんが、
「食器も調理器具もなんなら別の時間帯の分も全部まとめて洗いたいんだ」という
ご家庭には物足りないと思います。
海外製品はとにかく大きいものが選べるんですよね。
日本の食文化や家事に対する考え方もちょっと前までは大きく違っていたためか、
庫内の大きさや扉の開き方が国内のものとかなり違います。
よくSNSでおすすめされている「フロントオープン」(扉が前に倒れる形で開くタイプ)だと、何回かに分けて行った食事の食器がセットしやすいのだろうなと思います。
私は新人だった頃、国内メーカーの食洗機は
「日本でよく使われる茶碗や小皿などの食器(小さめで一食に使う食器が多い)
がうまく収まるように設計されているサイズ 」
「一家族の人数が減ってきたためにコンパクトにし、
その分省エネ設計になっている」
と先輩から教えられました。
日本の家族の人数は昔よりも減ったとはいえ
家事に対する考え方も欧米に近づいて変化し、
あたりまえのように洗い物をしていた時代ではなくなってきています。
女の人が働くようになって家事をする手間を減らす方に進んでいると言いますが、
働いていようがなかろうがやりたく無いものはやりたく無いのです。
なるべく時間をかけずにすむならその方がいいです。
洗い物を減らすためにできるだけワンプレートでご飯を食べる技なんかも
ありますので、「日本でよく使われる食器」という括りもあって無いようなものなのかもしれません。
そう考えると「とにかく大きくて配置をあれこれ考えなくてもセットできる」
海外の大型フロントオープンタイプが魅力的に見えるのも
良くわかるなと思っています。
海外製の食洗機を採用したいと思ったら
海外食洗機を検討されている施主様に私がお伝えしている注意点をお話ししていきます。
洗浄力は国内の食洗機もよくできている
たまに「海外食洗機は洗浄力が優れている」という投稿を見かけるのですが、
これはたくさんの機種を使っている人が比較している内容なのかどうかはチェックされた方がいいとお伝えしています。
国内のメーカーのビルトインタイプの食洗機もすごくよくできていて、
ベーシックなタイプでも油汚れはとても良く落ちます。
下洗いも食器に残飯が残らないようにさっと洗う程度で大丈夫です。
(グラタンのようながっちりくっついたものは落ちにくいです)
ヒーター乾燥がないことがある
ヨーロッパ製の食洗機の場合はヒーター乾燥がない場合があります。
洗剤のほかにリンスを使って撥水をよくし、
洗浄が終わった後に扉が少し開いて洗浄後の余熱を利用して
水分を蒸発させるようになっています。
もうSNSでユーザーさんの口コミを見られている方もいると思いますが、
この仕組みを知らないという方が結構いらっしゃいます。
ヨーロッパは日本に比べて乾燥しているため とか
電気で熱を起こして乾かすという工程をやめて省エネ性を上げている とか
私はそんなふうに聞いています。
カウンター高さの選択肢が狭まる
カウンター高さが85cm以上でないと設置できない場合が多いです。
日本のシステムキッチンは高さ80cmから選べるものが多いので、
「身長に合わせて選びたい」と思われている場合は体に合ったものが
何cmなのか確認が必要です。
こういった仕様にも海外と日本の体格差で出てくるんですね。
配管が特殊
国内メーカーのビルトイン食洗機は食洗機のほぼ真下に
給排水の配管をとっています。
海外製のビルトイン食洗機は本体の横に配管を取ることが多いのですが、
そうすると食洗機の隣の収納や、水洗金具に影響が出ることがあります。
手をかざすと水が出るタイプのセンサー水栓や
ビルトインタイプの浄水器を採用しようと考えている方もいらっしゃいますが、
そうするとシンク下の収納キャビネットの中の見えない部分が
配管や配線で大混雑するんですね。
キッチンのサイズや製品の組み合わせによっては設置できない場合もあるので
優先順位が高い設備があるのであれば
早い段階で設計士さんに伝えられた方がいいです。
コスト
国内の製品よりは製品自体の金額が高いことが多いのは
調べればすぐにわかる事なのですが、
将来のとりかえの時のことや
日々の使用にも洗剤プラスリンスを使った方が快適なことなど、
何かとコストがかかりがちです。
(余談ですが家だけじゃなく、車や服やありとあらゆる値段の高いものって維持にも何かとかかるのが辛いな〜と思っています。)
私が海外食洗機に思うこと
私が引っかかるのが、SNSで情報収集をされて海外製品のことを知った方が、
色々考えたうえで標準仕様の国内メーカーの食洗機を選ぶと決める時に若干悲しい顔をされる場合があることです。
YouTubeのサムネイルやInstagramのタイトルには
「コレしかない」「これ一択」「超おすすめ」などなど
かなりインパクトのある言葉を並べてられていることがありますが、
そういった言葉が印象に残って話題の製品以外を選ぶことに対して
少しでもネガティブな気持ちが起きているのであれば
それは違うよ、あなたはあなたの価値観で良いものを選んでいると思うよ、と思っています。
普段仕事をしている時は毎回施主様と家族や友達のように砕けた話ができるわけではないのですが、現場の私たちが少しでもたくさんの決断をしなくてはいけない施主様の気持ちが軽くなる言葉がけをしていけたらいいなと思っています。
ちなみにどっぷり卓上食洗機にお世話になっている私が
今家をもつなら海外食洗機が欲しいかと聞かれたら
どっちでもいいです。
というか、お金的な問題で多分採用はしないです。
どんな設備でもどうしたら使いやすくなるか考えて攻略していく方が
自分には合っているかなと思っています。
でも1週間ぐらい使ってみたい気持ちはあります(笑)
フロントオープンに慣れてしまってからは国内の引き出し式が嫌になって
そのあとはもう手放せない!っていう感じになるのでしょうか…?
今回も最後までお読みくださってありがとうございます。