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人は本当にいろんなことを忘れる

先日両親に会った。月に2回は会っているから別に珍しいことではない。

だが、やっぱり年齢かなぁと思うのが同じことを何度も話したり訊いてきたりするのだ。

・台所を磨いたから反射して眩しい
・明日は何時に出るの?
・いま住んでるところの選挙区はいくつある?

思い出せるだけでもこんなにあった。まだ60代だし母親はまだパートに出ているし、ボケちゃったとかじゃないと思うんだけど、やはり心配ではある。認知症を発症する人はそろそろ傾向が出てくるころだ。

むかし私が中学生だった頃、同居を始めたばかりの祖母と折り合いが悪かった母は強度のストレス下にいた。今だから想像もできるが、当時の私にそれを理解することはできなかったし、多分母も見せまいとしていた。

でもその頃、母は私が頼んだことをとことん忘れていた。内容は例えば「翌朝早く出発するから、お弁当早めにお願い」とかそんなことだが。でも1度「なんで覚えててくれないの!」と怒ってしまったことがある。その時の母の悲しそうな、情けないような顔は忘れられない。自分で早起きして作るというような自立心は、当時の私には皆無だった。

人の記憶は本当に不思議で、はっきり覚えていることもあれば完全に欠落していることもある。そして覚えているつもりが、周り擦り合わせると事実と全く違ったことを記憶しているときもある。

「他人と過去は変えられない」とはよく言ったものだが、しかし思い出はその人を形作る要素である。特に感情が大きく動いた時ほど記憶は鮮明に長く残るものらしい。パック旅行より自分で段取りした旅行の方がよく覚えているのはそのためだろう。

まぁ、しかしほんと覚えてないよね。私自身も「あれこの話しは誰にしたんだっけな?」という気持ちに多々なる。なので「話したかもしれないんだけど」という断りが多くなる。まどろっこしくて仕方ない。

だから、私がそうしてほしいからだけど、本当に親が同じことを繰り返し話すようになったり、同年代の友人たちもそうなってきたら、「さっきも聞いたよ!」なんて言わないでその度に「そうだね」と返そう。正確さより大切なのは、そこに生まれる感情だから。楽しい記憶が残ればいいから。

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晴海通り
お読みいただきありがとうございました。今日が良い日でありますように。

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